FIBAアジア選手権2013 直前対談  [男子代表]

比江島慎 × 田中大貴 日本代表

「初めてのアジア選手権は不安より楽しみのほうがずっと大きい!」

男子アジア選手権が開幕する。ワールドカップ出場権獲得の道は決して甘くはないが、大型ポイントガードとしてチームの舵取りを任された比江島慎、身体能力を武器に相手のエースを抑え込む田中大貴の2人は「楽しみでしかたない」と初のアジア参戦を心待ちにしている。これから先の日本男子バスケットボール界を間違いなくリードしていくであろう2つの星に、大会への意気込みを聞いた。

インタビュー・文/松原貴実  写真/小永吉陽子

大学時代からライバルであり、お互いに認める存在

――FIBAアジア選手権2013 直前対談――

  比江島 慎 × 田中 大貴

「初めてのアジア選手権は
不安より楽しみの方がずっと大きい!」


 
 
8月1日~11日までフィリピン・マニラで開催される第27回FIBAアジア男子バスケットボール選手権に出場するため、日本代表チームが7月30日に日本を飛び立った。

この大会は来年のFIBAワールドカップのアジア地区予選も兼ねており、上位3チームにはワールドカップの出場権が与えられる。前哨戦とも言える7月のウィリアム・ジョーンズカップで7位(1勝6敗)に終わった日本だけに「3位に食い込むのは難しい」「非常に苦しい大会になるだろう」と周囲からは厳しい声も聞かれるが、当の選手たちの表情は決して暗くない。中でも大型ポイントガードとしてチームの舵取りを任された比江島慎、図抜けた身体能力を武器に相手のエースを抑え込む田中大貴の2人は「本番が楽しみでしょうがない!」と笑顔で言い切った。

これから先の日本男子バスケットボール界を間違いなくリードしていくであろう2つの星が、本番の大舞台でどんな輝きを見せてくれるのか。その活躍に期待を寄せながら、大会を目前にした若きエースたちの意気込みを聞いた。(取材日7月28日)
 
 
「自分が少しずつ成長している実感はあります」(比江島)

●比江島慎(ひえじま・まこと)/日本代表#6/190㎝/G/洛南高→青山学院大→アイシン/抜群の1対1と跳躍力を持ち、高校時代からチームを全国制覇に導くエースとして活躍。これまでの日本にはいないスケールの大きなポイントガードになるべく挑戦中

――アジア選手権大会を目前に控え、今の自分の調子はいかがですか?

比江島 順調です!5月の東アジア(選手権大会)のときはいきなり選ばれて、いきなり試合に出てという感じだっので調子も上がらなかったのですが、ジョーンズ(ウイリアムジョーンズカップ)をはさんで徐々に上がってきました。もう今はピークというか、かなりきてます(笑)

田中 自分はジョーンズのときはよくなかったので、それに比べればだいぶよくなってきました。今年の代表(活動)が始まってから今が1番いい状態です。

――そのジョーンズカップですが、勝ち星は1つだけで8チーム中(レバノンが途中で棄権)7位という結果に終わりました。振り返ってみて、その感想を聞かせてください。

比江島 辻(直人)さんがケガをしていてあまり出られないことはわかっていたんですが、途中、桜井(良太)さんも体調不良で自分が30分くらい出る試合もありました。自分では「20分出るか出ないかだろうなぁ」と思っていたので、30分は想定外だったし、その準備もしていなかった。やっぱり外人が相手だとスタミナ面で30分はきつかったですね。だけど、(そういう経験を通して)手ごたえはありました。

――それはどんな?

比江島 自分がやりたかった1対1とか、(相手のディフェンスを)崩してからのアシストパスとか、去年に比べたらミスも少なくなって、結構できたかなと感じてます。もちろん、流れが悪いときも同じリズムでやってしまったり、チームがイケイケのときはいいんですが、悪い時間帯のときの修正の仕方がまだよくわからなかったり、反省点や課題は多いですが、それでも少しずつ自分が成長して、できることも増えてきたという実感はあります。

田中 自分はプレータイムもあまり多くなくて、チームがやられたときも何もできなかったというか、コートに立っていないのでそういう体験すらできませんでした。だから、ある意味、チームが勝てなかったというのとはまた別の悔しさもあります。ただ他の(国の)チームを見て、特別この選手というのはないですが、たとえば韓国だとペリメーター(3Pラインより内側でペイントゾーンより外側のエリア)の選手はパスにしても、シュートにしても、判断にしてもやっぱりうまいと思ったし、刺激にもなりました。自分と同年代のやつらがどんどん出てやってるのを見て、自分も負けたくないという気持ちが強くなった気がします。

比江島 そういうのは自分もありますね。やっていて嫌だったのはイランのガード。ちっちゃいのにフィジカルが強いし、ちょこまか動くし、落ち着いていてミスも少ない。ディフェンスもいいし、点も取れるので本当にやっかいでした。他の(国の)ガードはそんなに苦手意識はないんですが、イランのガードだけは嫌でした。真似をしたいというはないけど、勉強にはなりました。

――今の日本代表チームはみんなコツコツと真摯に練習に励んでいますが、今ひとつ元気がないというか、声が出ていないという印象があります。正直、そのあたりにやや物足りなさを感じるのですが、2人の意見は?

比江島 もっと声を出さなきゃいけないっていうのはあります。それは練習から意識してやらないと。でも、まだダメですね。うーん、明日からもっと出します(笑)

田中 自分もそういう意識はありますけど、意識し過ぎるとなんか違和感がある(笑)。でもゲーム中、選手同士は結構しゃべってますよ。プレーの確認をしたり、伝えあったり、そういうことは結構多いです。

比江島 コミュニケーションという意味では(同じポジションの)桜井さんや辻さんともよく話します。ゲーム前とかハーフタイムに「次はあのプレーでいこう」とか「あのプレーを活かそう」とか必ず話しますね。

田中 自分ら(2人)も大会中はバスケの話しかしないですよ。バスケのことを常に考えているので口から出るのはバスケのことしかないっていうか。
 
 
「こいつの話は全然おもしろくないですよ(笑)」(田中)

●田中大貴(たなか・だいき)/日本代表#5/190㎝/SG/長崎西高→東海大4年/日本大学界のエース。身体能力の高さを生かしたオールラウンドなオフェンスと相手のエースを抑えるアグレッシブなディフェンスが武器。勝負所でその威力は発揮される

――では、そのバスケを離れたコートの外の話を聞かせてください。代表チームの合宿が終わったオフの時間はどんなふうに過ごしているのですか?

田中 別に特別なことはしないです。むこう(東海大)に帰ると、(チームメイトと)一緒に住んでいるのでみんなでご飯を食べたり、しゃべったりたり。そこでもバスケの話になりますね。むこうの話も聞くし、自分の話もするし。帰ったら一応キャプテンですし(笑)

比江島 オフには刈谷(アイシンのホームタウン)に帰りますけど、まだ友だちもいないし、何にもすることがなくてDVDを見てるだけですね(笑)

――どんなDVD?

比江島 どんな?えっ、どんなって聞かれると恥ずかしいな。お笑いだったり、洋画だったり、邦画だったり、まぁいろいろです(笑)

田中 自分も映画は見ますね。最近では『ワイルドスピード』と『華麗なるギャッツビー』を見ました。

――年齢的も近いし、代表チームの中ではコートの外でも仲がいいと聞いていますが。

田中 それは間違いないです。大学生は(チームの中で)自分1人だけだし、ショーン(ヒンクリー)は同い年だけどすでに25、6歳の感じだし(笑)、ほとんど気を遣わなくて、なんでも話せるのはこいつとナベちゃん(渡辺雄太)ぐらいですから。自分にとっては貴重な存在です。

――田中選手が『こいつ』と言ってますが、比江島選手は1つ年上ですよね?

比江島 はい、確か…(笑)

田中 ええっ?(笑)

――いつもこんな感じですか? 楽しそうですね。

田中 いえ、こいつの話は全然おもしろくないですよ。間違いなく精神年齢が低いですし(笑)

比江島 おまえ、俺を見ていつも笑ってるやろ。ストレス溜まるわ。

――それでも仲がいい?

比江島 まぁ、そうですね。言いたいこと言えますし。

田中 さっきも言ったように、自分にとって貴重な存在です(笑)
 
 

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