チームリーダーを通して見た中国の現状と今後 [海外]

リュウ・ウェイ 中国代表# 5 上海シャークス# 8

国家隊の再建と上海の発展に尽くす中国のリーダー

中国代表とCBA上海シャークスのキャプテンであり、アジアを代表する司令塔のリュウ・ウェイ。北京五輪後の中国は、キャリアある選手と若手の差が縮まらずに、ロンドン五輪では一勝も上げられずに苦戦している。“上海のスター”リュウ・ウェイのフィロソフィーを紹介するとともに、中国を代表する司令塔を通して見た中国の現状と課題についてインタビューをした。

インタビュー・文・写真/小永吉陽子  通訳・翻訳/千佳子 Chikako

2002年から中国代表のポイントガードを務めるリュウ・ウェイ(写真は2011年アジア選手権より)

リュウ・ウェイ
(劉 偉 Liu Wei/中国代表#5/上海シャークス#8/190㎝/PG/33歳)

国家隊の再建と上海発展に尽力するチームリーダー

中国代表とCBA上海シャークスのキャプテンであり、アジアを代表するポイントガードのリュウ・ウェイ。
上海シャークスで、中国代表で、精神的な要として包容力のあるキャプテンシーが光る。
中国代表では同級生のヤオ・ミン(NBAヒューストン・ロケッツ)とともにコンビを組んできたプレーヤーでもある。
中国は近年、このリュウ・ウェイが不動のポイントガードとして活躍しており、
後に続く若手のガードがなかなか出現しない。
そんな状況を踏まえて、ロンドンオリンピックでの戦いぶりと、今後の中国の課題についてインタビューした。
また、リュウ・ウェイを通して見たCBAの現状と、盟友ヤオ・ミンとのエピソードも語ってもらった。
(取材日/2013年2月17日 取材協力/CBA上海シャークス)
 

CBAに増加するNBAプレーヤーの影響

「NBA選手を相手にプレーできることは
自分の戦術レベルを引き上げ、さらなる可能性を知ることができる」

2013年2月17日、レギュラーシーズン最終日に取材。1時間にわたるロングインタビューに快く応じてくれ、CBAと中国代表の現状を語ってくれた

――今シーズンのチームと自分の戦いぶりを振り返って。どんなシーズンでしたか。

まず自分のことから話しましょう。私の全体的な状態としては悪くありませんでした(シーズン平均35.6分出場、21.3得点、4.5アシストをマーク。※CBAは48分ゲーム)。これは時間調整の関係です。これまで一般的に、リーグ初めはとても調子が悪かった。主な原因はナショナルチームの試合とリーグ開幕までの時間がとても短いこと。それが今シーズンはオリンピックが終わって上海に帰ってリーグまでの調整時間が1ヵ月ありました。これだけの時間があったことは、自分にとってとても大きな助けになりました。そのおかげで今シーズンは初めからいい状態をキープすることが出来ました。これまでは、リーグが始まってだんだんエンジンがかかるといった状態でした。

チームのことを言うと、実際、リーグ開始から自分たちへの期待はすごく高かったし、CBAのすべてのチームは私たち上海のチームを恐れていました。アリーナス(ギルバート・アリーナス、NBA選手。中国では「阿里納斯」)の加盟があり、さらに若い選手も成熟してきてかなりの期待がありました。ですが、開幕戦でアリーナスのケガがあって、シーズンのほとんどをプレーすることができなかった。また他の選手のケガも重なった。クラブの現状からいうと、プレーオフを逃したことはとても失望しました。私とアリーナス、DJ・ホワイトの3人が万全の状態で出場して力を発揮すれば、どの試合も勝つことができますが、それができなかったことが残念です。(チームは17位中14位)

2009-10シーズンからCBAでプレーし、リーグの主役となっているステフォン・マーブリー(北京、左)と、平均34.4得点で2011-12シーズンの得点王となったJRスミス(浙江、右)のマッチアップ

――ここ数年でステフォン・マーブリー、JRスミス、ギルバート・アリーナスら、CBAに在籍するNBA選手が一気に増えましたが、彼らはCBAにどんな影響をもたらしていますか。

ここ最近のCBAは多くの有名な選手を引き込みました。彼らはリーグ全体に大きな貢献をしています。彼らの貢献は試合の場だけではありません。チームの立場でいうと、NBAレベルの選手を相手にプレーできることは、自分の戦術レベルを引き上げることができます。

例えば、私はアリーナスと一緒のチームでプレーしていますが、これまではNBA選手の戦術や身体能力、それから実力について、本格的に理解しているとはいえませんでした。しかし彼との対戦を経験することで、自分で自分のさらなるレベルアップの可能性を知ることが出来ます。若い選手であれば、自分のレベルアップの可能性を知って、そのレベルに達することができれば、NBAの夢も遠くはありません。これは多くの選手にとって希望となります。実際、中国にはNBAはそう遠くない選手もいます。

――CBAにいるNBA選手から学ぶことは何ですか? たとえば、ガードとしてステフォン・マーブリー(北京)とマッチアップをして感じることは。

私はマーブリー(馬布里)とアリーナスは同じレベルの選手だと感じています。彼らの技術、戦術はとても成熟して安定している。自分にとって、マーブリーからはとても貴重なものを見取ることが出来ます。

一般にバスケットボール選手は30歳を過ぎると力が衰えて、だんだん引退していきます。でもマーブリーは35歳を過ぎてもまだバスケットボール選手の最高峰としてプレーしている。このことは私にとって非常に大きな啓発です。良質な練習とバスケットボールへの執着、身体のケアがあれば年齢は問題ではないということ。マーブリーのように身体を維持することができれば、少しでも多くのシーズンをプレーすることができます。彼らには、試合以外でもこうした情報をもらって交流しています。
 
 
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