Wリーグヘッドコーチインタビュー [WJBL]

星澤純一羽田ヴィッキーズ ヘッドコーチ

「全国にクラブチームが成り立つ必要性を、羽田から説いていきたい」

Wリーグが1リーグ制になって2年目。チーム形態・リーグ運営が転換期を迎えた中で、戦力格差は否めない。そんな中で、「地域密着型クラブチーム」として、チームの在り方や強化をWリーグ界に発信しようと2013年に誕生したのが、企業のエバラ(荏原製作所)から、一般社団法人化へと移管した羽田ヴィッキーズ。Wリーグの指揮官に就任した星澤純一ヘッドコーチにチーム育成プランを聞いた。

インタビュー・文・写真/小永吉陽子

一般社団法人のクラブチームとしてスタートした羽田ヴィッキーズを率いる星澤純一ヘッドコーチ

星澤 純一 (羽田ヴィッキーズ ヘッドコーチ)
「全国にクラブチームが成り立つ必要性を
大田区の羽田ヴィッキーズから説いていきたい」

Wリーグが1リーグ制になって2シーズン目。
チーム形態・リーグ運営が転換期を迎えた中で、戦力格差はすぐに解決されるものではない。
そんな中で、新潟、山梨に続く3番目の「地域密着型クラブチーム」として
チームの在り方や強化方針をWリーグ界に発信しようと、2013年度に誕生したのが
企業のエバラ(荏原製作所)から、一般社団法人のクラブチームへと移管した羽田ヴィッキーズである。
高校の指導者を勇退後、Wリーグの指揮官に就任した星澤純一ヘッドコーチに
チーム育成プラン、そして東京・太田区の羽田ヴィッキーズから伝えたいメッセージを聞いた。
 
 
「これからは地域密着を掲げたクラブチームの時代。
地域の支援に感謝しながら、ヴィッキーズに第2のコーチ人生を託したい」

金沢総合高(旧富岡高)をインターハイとウインターカップで計4回の全国制覇を果たす名門チームへと導き、U18代表のヘッドコーチも務めた高校界の知将、星澤純一。高校教師として定年を迎えた勇退後、数あるオファーの中で第2の人生として選んだのは、2013年度から一般社団法人としてクラブチーム化した羽田ヴィッキーズだ。

その理由は「企業チームからクラブチームへと生まれ変わるタイミングであり、地域とともに成長していくクラブチームの可能性を証明したかったから」と話す。多くの教え子をWリーグに送り出し、その後の選手活動を見てきたからこそ、女子バスケットボール界の在り方を考えたうえでの行動だった。メンバーは昨年度から半数が変わり、星澤ヘッドコーチ自身も高校からの転身であり、チームはまさにゼロからの出発となる。

目標は「8年以内で日本一」。東北楽天イーグルスが創部9年目で日本一になったことに感銘を受け、「楽天よりも1年早く日本一を達成したい」ことが理由だ。

オールジャパン(全日本総合選手権)までの前半戦は1勝12敗。2月終了時点で3勝23敗。初年度は厳しい状態に変わりないが、「急に8年目を迎えるのではなく、1年、3年、5年と修正を重ねて成長していくチームでありたい」と中長期計画でチームを強化していく方針。今はまだその一歩目を踏み出したばかりだ。
 
 

「金沢総合高の武器であったチェンジングディフェンスを用いて上位に挑戦したい」と語る

――最初に、羽田ヴィッキーズのヘッドコーチのオファーを受けた理由からお聞かせください。

この歳になってオファーを受けるには、今まで自分がやってきたことを突き進んで行く道と、別なやりがいを求めていく道と2つあると思うんです。

言ってみれば、Wリーグで常勝の高いレベルのチームを采配するのと、県立高校レベルから再スタートを切る羽田ヴィッキーズを強くするのと、どちらを選ぶか。せっかく金沢総合のような県立高校を強くしてきたのだから、これからもその手腕を生かすなら、羽田ヴィッキーズということになるでしょう。県立高校のような羽田ヴィッキーズを強くするのは僕にしかできないのでは、と思ったことがオファーを受けた理由です。

また、私は学生時代10歳から25歳までの15年間大田区の学校に通い、大田区に育ててもらいました。改装する前の大田区総合体育館で試合をして2回骨折していますから(笑)。まさか、ここがバスケットボールの会場になって、しかも羽田ヴィッキーズのホームコートになると思いませんでしたが、ゆかりのある土地で恩返しをしたい気持ちでいっぱいです。大田区や東京、ひいては関東でバスケットボールを根付かせたいという思いがあります。

――地域密着のクラブチームは、Wリーグでは山梨、新潟に続いて3つ目となる新しい形です。クラブチームにどのような可能性を感じていますか。

Wリーグのチーム形態は考える時期に来ていると感じています。企業チームの援助だけでは景気に左右されてしまいます。将来的には、地域密着のプロクラブチームの経営を安定させることによって、子供たちの受け皿を増やせると思っています。サッカーはJリーグが設立されて今日があるように、クラブチームにはその可能性があるでしょう。子供たちは今、野球よりサッカーを選んでおり、バスケットボールもうかうかしていると選手を持って行かれる状況です。

クラブチームといってもクラブ選手権に出る程度のチームではなく、企業チームと対等に戦える力をつけて、チーム数を増やしていくことが求められます。地域密着を掲げているので社員ではなくて、地域のファンを増やし、私たちの試合を見ることで、アァンの方々が明日からの仕事を頑張れるような活力あるプレーをお見せしたいという思いがあります。

羽田ヴィッキーズが荏原製作所からクラブ化すると聞いたので、これからの女子バスケットボールの発展を願い、一般社団法人のクラブチームに第2の人生を託してみたいと思ったのです。先ほどの質問につながりますが、それが羽田ヴィッキーズのコーチを引き受けた理由でもあります。
 
 

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