インタビュー<前編> [海外]

渡邊雄太セントトーマスモア校

「こっちに来て、全部プラスだなと思います」

アメリカに渡ったのが昨年9月。アメリカで自分の能力を発揮するには、日本にいたとき以上に自信を持ち、強い気持ちで戦わなくてはいけない。そんな環境に、渡邊は意外なほどすんなりと入り込んでいた。2014年1月末、進学先を決めた渡邊雄太の近況を取材。決して驕りではなく、自覚と自信があるからこその本音を聞くことができた。<前編>では、近況と日本とアメリカの違いについてインタビュー。

インタビュー・文・写真/宮地陽子

進学の準備段階といえるプレップスクール、セントトーマスモアでプレー。進学先をジョージ・ワシントン大に決めた

インタビュー<前編>

渡邊雄太 (セントトーマスモア校)

「バスケも勉強もメンタル面も
こっちに来て全部プラスだなと思います」
 
 
渡邊雄太がアメリカに出てきた意味とは。
自覚と自信があってこそ語る本音

 山間の細い道を進むと、左手に正門が見えてきた。正門といっても、低い石垣と植木の合間に、気を付けていないと見落としそうなぐらいの木の看板がたっているだけ。そこに “Saint Thomas More School” と、学校名が書かれていなければ、学校だということも気づかないほどだ。その横の小道を入り、少し進むと、右手に緑色の三角屋根の体育館があった。

「ものすごい山の中なんで、来たときには本当にびっくりしました。(出身地の)香川も田舎だなと思っていたんですけれど、こっちにきたら、香川は別にそうでもないなって…」

 渡邊雄太は、そう言って笑った。

コネチカット州の片田舎にあるセントトーマスモア

 体育館も、アメリカの施設は立派なはずと想像していたらとんでもなかった。レトロ、と言えば聞こえはいいけれど、古く、こぢんまりとした建物だ。寒さ対策のためか、壁には窓がひとつもなく、薄暗い。コートサイドに、応援にきた生徒たちが座れるような4段の階段式ベンチシートがある以外は、日本の学校の体育館と比べても見劣りするぐらいだ。それでも壁やフロアに学校のロゴが描かれ、正面の舞台奥の壁には、大きく “THIS IS OUR HOUSE!” とあるのを見ると、NCAAに多くの選手たちを送り込んできたバスケットボール・チームの伝統を感じさせる。

 そんな場所に、渡邊はいた。半年前までいた日本とはまったくの別世界。そして、そこで経験するバスケットボールもまた、日本で知っていたのとは別のスポーツだった。渡邊と同じように2メートルを超える選手が、チームメイトにも、相手チームにもいる。長身の上に瞬発力がある選手も珍しくなく、ゴール下で軽くレイアップにいこうものなら、どこからともなく手が伸びてきて、ブロックされる。負けず嫌いな選手にとって、これ以上の環境はない。実際、渡邊はその中で、アグレッシブにドライブインにいき、ブロックされないようにダンクを決めたりしていた。

「日本にいたときは(レベルに)物足りないと思ったことはなかったですけれど、たぶん、今帰ったら物足りないだろうなと思います」と渡邊は言う。

 この中で生き延び、自分の能力を発揮するには、物怖じしているわけにはいかない。日本にいたとき以上に自分に自信を持ち、強い気持ちで戦わなくてはいけない。そして、そんな環境に、渡邊は意外なほどすんなりと入り込んでいた。

 インタビューでも、日本にいるときだと周りに気を遣って口にしなかったのではないかと思われるようなコメントが多く聞かれた。決して驕りからくる言葉ではなく、それだけの自覚と自信があってこその、本音の言葉だ。どんなことを言ったかって? それは、この後のインタビューを読んでみてほしい。読めば、渡邊が18歳(現在19歳)の年齢でアメリカに出てきた意味がわかるはずだ。
 
 
◆次ページからはインタビュー<前編>を紹介
前編は「アメリカ行きの決断・近況・日本とアメリカの違い」についてインタビュー。
次のページは「アメリカ行きの決断・近況について」

 
 
渡邊雄太  WATANABE , Yuta

1994年10月13日生まれ、19歳/201㎝/香川県生まれ/高松市立牟礼中→尽誠学園高→セントトーマスモア校/高い打点から放たれるシュートやドライブインを武器とする2メートルのオールラウンダー。ウインターカップでは高校2、3年時に準優勝を遂げ、2年連続ベスト5を受賞。高3時にはU18代表のキャプテンを務め、アジア選手権に出場。高校2年時に日本代表候補入りし、高校卒業と同時に12名の代表入りを果たす。日本代表として東アジア選手権、アジア選手権に出場。今秋からの進学先はNCAAディビジョンⅠのジョージ・ワシントン大に決定。両親は日本リーグで活躍した父・英幸(熊谷組)、母・久美(旧姓・久保田、シャンソン化粧品、日本代表)。
 
 
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