第15回Wリーグ プレーオフ [WJBL]

森 ムチャトヨタ自動車アンテロープス#22

「攻守の軸になっていかなくては、という自覚はあります」

トヨタ自動車アンテロープスに入団して3年目。まだ波があるとはいえ、インサイドの軸になっているのが、森ムチャだ。レギュラーシーズンはスティール部門で1位。今季はミスが減り、得点力が増してチームに貢献している。今季、変わってきたことは何か。プレーオフに懸ける思いも聞いた。  

取材・文/舟山緑   写真/一柳英男

今季の森はインサイドプレーが増えてきたが、ブレークに走ることやミドルレンジのシュートでも貢献している

「チームプレーで戦うトヨタ自動車で、
攻守の軸になっていかなくては、という自覚はあります」

森ムチャ
(MORI, Mutya /180 ㎝/C/25 歳/トヨタ自動車#22)

 
180㎝の身長は、5番としては決して高いほうではない。
だが、運動能力の高さと独特のシュートリズムは、高校、大学時代から折り紙つきだった。
Wリーグの舞台で今季で3シーズン目。レギュラーシーズンは、全試合でスタートを務め、
得点、そしてリバウンドでも大幅に数字を残し、確かな成長を見せている。
個人賞では、スティール王に初めて輝いた(合計94本:1試合平均2.85本)。
昨年5月には日本代表候補となり、アメリカ・ヨーロッパ遠征を経験してきた。
「チームの中心選手になってほしい選手」と、後藤敏博ヘッドコーチの期待も大きい。
トヨタのキーマンになりつつある森に、今季、どんな部分が変わってきたのか、
プレーオフへの意気込みとともに聞いた。
 
 

■ 3シーズン目の決意

「昨シーズンとは違った自分を出していきたい――。今季はそう目標を立てて
“点を獲りにいくこと”を強く意識してプレーしています」

――レギュラーシーズンの個人賞で、スティール部門で1位になりました。合計94本、1試合平均2.85本という数字です。チームはスティール数でもリーグでナンバーワンです。トヨタ自動車は、久手堅(笑美)選手をはじめ、スティールの巧い選手が多いですが、シーズン中、意識してきたのですか。

相手のわずかなミスを突いてスティールをねらっていく。成功するかどうかは、その読みとタイミングにかかってくる

ランキングでトップを走っていたのは、マネージャーさんから聞いて知っていました。ディフェンスはセンターが司令塔だと思っているので、一番下からパスがどこにいくのか、見やすいからスティールがしやすいというのはあります。

スティールは高校時代(福岡:中村学園女子)から教わってきて、さらにトヨタ自動車に入って1年目がチョンさん(丁海鎰=チョンヘイル・ヘッドコーチ)だったので、そこでさらにどう予測し、どんなタイミングでねらうかを教えてもらいました。

――今季は得点面でも大きな貢献をしています。昨シーズンは、レギュラーシーズン21試合で176得点(1試合平均8.38得点)に対し、今季は33試合で352得点(1試合平均10.67得点)と、確実に数字にもチームへの貢献が出ています。全試合でスタートも務めましたが、今季、自分が掲げたテーマは?

昨シーズンは21試合中、スタートになったのが最後のほうでした。それまでは途中で出て、パスを回して合わせることが多かったのですが、今季は「得点にからむ」というか、自分から点を獲りにいこうと臨みました。「昨シーズンと違った自分を出していきたい」と思ってシーズンに入りました。自分に足りなかったのは、得点を獲ることだったし、チームとしても後藤さん(後藤敏博ヘッドコーチ)から「センターの得点が足りない」と言われていたので、よけいに今季は“点を獲ること”を強く意識してプレーしています。

――後藤ヘッドコーチは「ポストプレーの強化を図ってきた」と言っていますが、具体的には?

今シーズンは果敢にゴールをねらっている。25得点をあげたオールジャパンの準決勝、富士通戦から

ポストプレーは2年目の昨シーズンから取り組んできたことで、さらにプレーのバリエーションを加えたという感じです。今季はゴール下でシュートにいくプレーが増えたと思います。

――5番としては図抜けた高さはありませんが、フェイクやステップを使ってのシュートなど、独特のリズムでのシュートが巧いですね。

高さで勝てない分、どうしたら相手の守りを崩せるか、相手が嫌がるか、そうしたプレーを後藤さんから教わっています。試合では相手の状況を見て、使い分けてプレーしています。高校や大学時代(拓殖大)は主にジャンプシュートで勝負することが多く、ポストプレーはあまりやっていませんでした。今はフェイクをかけたり、いろいろなシュートを覚えたので、バリエーションが増えたと思います。

――今シーズン、ここまでの戦いで特に手応えのあった試合はどの試合ですか。

オールジャパンの準決勝、富士通戦ですね。すごく緊張したけれど、試合も70-43で勝てたし、トータルでみたらよかった試合だと思います(25得点、リバウンド11本)。でも、リーグ戦を通して見ると、まだまだ波がありました。

――そのオールジャパンの準決勝は持ち味が全開の試合になりましたが、JX-ENEOSとの決勝戦はチーム全体に元気がなかった印象です。最後に追い上げて61-69としましたが、前年に優勝した勢いが見えませんでした。何が原因だったのですか。

トヨタで3年目。まだ好不調の波はあるが、森の持ち味が発揮されつつある(撮影/舟山緑)

自分たちの問題でした。私も全然、自分のプレーができませんでした。もっと相手(JX-ENEOS)に向かっていかなくてはいけないのに、どこかで引いていたかもしれないですね。そんなつもりはなかったのですが……。

――JXはインサイドが強力でダブルポストだから、そこを抑えるのが難しいところではありますが。

JXは、センターも強いですが、ガードの吉田さん(吉田亜沙美)を含めて「手強い3枚がいる」という感じです(現在、吉田選手はケガで離脱)。リーグでのJX戦は12月に3敗しましたが、自分たちとしては感触がつかめた部分もあります。相手の守りに対して、中でも外でも点が獲れるところが見えてきたからです。そこでバランスよく攻めることで勢いづく瞬間がつかめたのは、負けた中でも収穫だったと思います。
 
 
◆次ページは、代表活動で得たこと、そしてトヨタのバスケットについて

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