2011 インカレ [大学]

光山慈能早稲田大4年

4年生たちのラストゲーム──最後のインカレにかける思い<女子編>

大学4年生にとってインカレは一年間の総決算。ベスト8以上のチームはオールジャパンが残されているが、大学日本一を決めるインカレへの思いは特別。最後のインカレで活躍し、インパクトを残した4年生の思いをインタビューで贈る。女子編は早稲田大の光山慈能選手のインタビュー。

文・写真/一柳英男  Text ・ Photo/Hideo Ichiyanagi

4年生たちのラストゲーム

光山慈能
(こうやま・いのん/早稲田大4年 #33/171㎝/SG/東京成徳大高)

初優勝に導いた影のMVP
「泥臭いことを頑張れるようになって、自分のバスケが変わった」

初優勝を遂げた早稲田大において、4年生で唯一のスタメンを務める。粘りのあるリバウンドやディフェンスで下級生たちを牽引し、みずから勝負強いシュートを決める。萩原ヘドコーチが「今大会のMVP」と指名するほど、信頼されている。学生最後の大会ですべてを出し切った。 (文・写真/一柳英男)

チームの精神的な支えとなり、準決勝、決勝で勝負強いシュートを決めた光山

――ヘッドコーチが新しく就任して、何のために大学でバスケをやっているんだと言われて、具体的のそのことを聞いて何を感じましたか?

オーさん(萩原ヘッドコーチ)が「何のために大学でバスケをしているのか考えよう」と言ってくれたんです。私たち早稲田大学のバスケ部はバイトも禁止されてないですし、拘束される時間も他のチームより練習量も少なかったりします。そんな中でオーさんに言われた「なぜ自分がバスケをやっているのか」というのを一人一人考えました。バスケットに向かう姿勢をよく考えて生活していたんだと思います。

オーさんに言われたからというわけじゃないですけど、私は大学に入ってバスケットを続けるか続けないか迷った時期がありまして、いろんな方に相談したんです。その時に言われたことが、集団生活のこととか、一つのことに打ち込むことの大切さでした。バスケを辞めてもそういうものは大事なことになってくるので、そのための勉強をしようとして、また一から自分のチームでの役割は何なのか、できることが何なのかを考えて練習してきました。

――インカレで優勝できた要因は何だと思いますか?

私たちが1年生の時は試合に出る人、出ない人がはっきり分かれていて、上は目指せないなという感じがありました。ただ上級生になるにつれて、選手層も厚くなって、監督も代わって、勝つことにこだわって練習してきたので、上を目指せるチームになれたと思います。

――光山選手は中学・高校(東京成徳大)で優勝した経験がありますが、大学の優勝とは違いますか?

中学・高校の時はやらされているバスケでした。でも大学に入り、自主的にやるようになり、勝ちたいという気持ちが強くなりました。

――準決勝の愛知学泉大戦は苦しい試合となりましたが、最後に逆転勝ちできた要因は何でしょうか。

今までだったら巻き返された時にみんな下を向いてどんどん離されてしまうんですけど、試合中にコミュニケーションを取りながら「絶対に勝つ!」って意志の疎通が取れたし、あきらめないでできたのが本当に良かったと思います。

――大会を通して光山選手個人の出来をどのように評価しますか。

私はいつもリバウンドとディフェンスを頑張ろうと決めているのですが、良かったと思います。試合に出ている4年生が私だけなので、いちばん勝ちたい気持ちを前面に出して、後輩たちを引っ張っていくことができました。後輩たちも私についてきてくれたので、本当に助かりました。攻撃面は大事なところでジャンプシュートを落としてしまったり、よくない面もありましたが、その分、ディフェンスと気持ちで頑張りました。

――4年生として最後のインカレに向けて、どのように気持ちを高めていきましたか?

とにかく私はこのチームが大好きで、現役でやるバスケが最後だということもありますし、ベンチに入れない練習を頑張ってくれている4年生もいます。その選手たちの代表として試合に出ているので、そこは責任を持って、コートの中で表現して、それで勝ちたいと思ってプレイしました。

仲間を最後まで信じて戦ったインカレ

――準決勝のあと取材した時に、「1、2年の頃はルーズボールやディフェンスをやらなかった」と言ってましたが、その気持ちが切り変わったのは萩原ヘッドコーチが来たからなのか、選手層が厚くなり勝てる可能性が出てきたからなのか、それとも何か他にきっかけがあったのですか?

1、2年生の頃からずっと試合に出ていて、でもバスケにあまり集中できない時期があったんです。それで3年生の頃、今までずっと出ていたのに試合に出られなくなって。なおかつ、なかなか去年は勝てないチームになってしまって…。能力の高い選手はたくさんいるけど、なんで勝てないんだろうと、ちょっと客観的に考えてみようと思ったんですね。

それプラスある日、友達から「とにかく泥臭いことを全力で頑張ってみたら何か変わるかもしれないよ」と言われたんです。私は1、2年生の時、100%でやることがなかったので。あ、友達というのはバスケットやっている人ではないです。逆に、私はバスケやっている人とかよりも、そうじゃない人からヒントをもらっていたことも多くて。それでちょっと泥臭いことをやってみようと思ったのもあるし、このチームに足りないのは華やかなプレイをできる人はたくさんいるけど、リバウンドとかルーズボールとかそういうのを一生懸命やる人が足りないなって思ったので。それを頑張るようにしたら、結果が出たのですごくうれしかったです。

――どちらかというと、今まで目立つタイプのプレイをしていたと思うのですが、今までやれなかった泥臭いプレイをやろうとすぐに思えたのですか?

なんでだろう…………。やっぱり、勝ちたいって気持ちがあったので、やることができましたね。

――まだオールジャパンもありますが、光山選手にとって、今回でインカレは最後になります。下級生に伝えていきたいことは。

あります。今言ったように、私、1、2年生の頃はリバウンドとかルーズボールとかやらなかったんですよ。それで本当に自分はダメ人間だと思っていました。もちろん周りもそう思っていたと思います。でもチャランポランな私でも地味なことや泥臭いことを頑張れば、チームに必要とされるし、貢献することもできるんだと気づきました。それを伝えたいです。