第15回Wリーグ プレーオフ [WJBL]

新原 茜 JX-ENEOSサンフラワーズ#9

「ファイナルは、自分自身との闘いだと思っています」

Wリーグの頂上決戦で6連覇をめざすJX-ENEOS。この大舞台で司令塔を担うのが、ベテランの新原茜だ。長年、控えのまとめ役を担ってきた新原が、ケガで戦列を離れた吉田亜沙美に代わって初の大役を務める。控えメンバーとしての葛藤、そんな中からつかんだBチームであることの自負。ファイナルへの決意とともに、これまでの思いを聞いた。

取材・文/舟山 緑  写真/一柳英男

プレーオフのセミファイナル。JX-ENEOSは、富士通に2連勝してファイナル進出を決めた。第2戦は勝負どころの第4クォーターで自分たちの強みを出して逃げ切った。富士通#10町田瑠唯の守りをかわしてドライブする#9新原茜

「主力として挑むチャンスを、生かすも殺すも自分次第。
ファイナルは、自分自身との闘いだと思っています」

新原 茜

(NIIHARA, Akane /165 ㎝/PG/30 歳/JX-ENEOSサンフラワーズ#9)

 
 
Wリーグのプレーオフ、頂上決戦・ファイナルは、4月17日、秋田での第1戦からスタートする。
女王JX-ENEOSが迎え撃つのは、ファイナルへ初めて駒を進めたデンソーだ。
6連覇がかかるJX-ENEOSで司令塔を務めるのは、今季11シーズン目のベテラン新原茜である。
左ヒザのケガで戦列を離れた吉田亜沙美に代わって、スタートに抜擢された。
長年、Bチームのまとめ役として主力を陰で支えてきた新原にとっては、
大きなチャンスであると同時に、これまでにないプレッシャーがかかった舞台でもある。
大神雄子と吉田亜沙美という、日本を牽引するガードが2人もいるという環境の中で、
どんな悩みを抱え、その葛藤を乗り越えてきたのか。
これまでの思いを聞くととともに、ファイナルに挑む決意を語ってもらった。
 
 

■プレーオフ・セミファイナル

「タク(渡嘉敷)が走っているのが見えたので、迷いなくパスを出しました。
あんなにきれいにブレークが決まったのは初めてじゃないですか」

――プレーオフ、セミファイナルの対戦は富士通。富士通にはレギュラーシーズンの最終戦(3月22日)で58-63と競り負けています。何が敗因でしたか。

今季で11シーズン目。新原に大きな挑戦の舞台が巡ってきた

自分たちのバスケットができなかった試合でした。メイ(間宮佑圭)とタク(渡嘉敷来夢)が点を獲りましたが、ウイング陣の外角が当たらず、走れなかったです。相手にシュートを決められては“セット、セット”になってしまって。富士通はこの試合を勝たないとベスト4には残れないという瀬戸際で、5人ともにドライブで切ってきました。一方うちは、ガード陣がボールを持ったらパスしか探していなかった。その差が出てしまいましたね。フリースローの差にも大きく出ています(富士通14本に対してJXは11本)。私を含めてガード陣の“攻める気持ち”が前に出ていなかった試合でした。

今シーズン、1戦目で快勝しても、2戦目の試合の入り方が悪くて競ってしまう試合がいくつかありました。そこは清美さん(佐藤清美ヘッドコーチ)からも注意を受け、たとえ1戦目で勝っても、2戦目は必ず気持ちを切り替えるよう、全員が意識するようになっていたのですが、最終戦でまた悪いクセが出た感じでした。

――その富士通に対して、プレーオフのセミファイナルはどう準備しましたか。

まずはみんなの気持ちが切り替わっていました。負けた試合は#15山本(千夏)選手と名木(洋子)選手にやられていたので、そこは止めようと。1戦目、その守りはうまく絞れたと思います。2戦目は、相手がレギュラーシーズンの最終戦で勝ったときのように勢いがありましたが、自分たちも3戦までもつれたくなかったので、「ここで決めよう!」とゲーム前には声をかけました。

――第1戦は79-67で快勝しましたが、第2戦は第3クォーターまで一進一退。第4クォーターの半ばでようやくリードを奪って73-61で勝利しました。その第2戦で印象的だったのが、後半、渡嘉敷選手がブレークに走った2本です。ダイナミックなレイアップで、見ていて豪快でした。両方ともに新原選手のアシストだったと思いますが、迷いなく飛ばしたパスでしたか。

新原からのパスを受けて鮮やかにブレークを決めた#10渡嘉敷来夢。これぞチームの真骨頂だった

はい。タク(渡嘉敷)が走ってくれたので、迷いなくパスを出しました。1本目はアース(宮澤夕貴)のリバウンドから、2本目はメイ(間宮佑圭)のリバウンドから私がボールを受けて、タクが全力で走ってくれたのでブレークが決まったと思います。あんなにきれいにブレークが決まったのは初めてじゃないですか。これまでウイングからのパスはあったと思いますが。あれが清美さん(佐藤ヘッドコーチ)が目指すバスケットですね。全員がリバウンドを獲って走り、ガードがパスを出す。あのブレークで流れをグッとつかんだと思います。

――パスを出したほうもスカッとしたのでは?
「あ、よかった!」と思いました(笑)。2本目は少しパスが弱かったのですが、それでもタク(渡嘉敷)がちゃんとキャッチして決めてくれました。ああいうプレーが出ると、自分たちの流れになっていきますね。

――その後、新原選手自身のドライブイン2本も、富士通にとっては痛い2本だったと思いますが、あそこもねらっていましたか

あそこはセンター陣を使うよりも、「自分で行ってしまえ」と思った場面です。ディフェンスが反応しなかったので、楽にレイアップに行けました。
 
 
 
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