NBLクライマックス [NBL]

篠山竜青 東芝ブレイブサンダース神奈川#7

「さらに成長するために、 自分の理想のPG像を模索中です」

NBLの初代王者をめざす東芝ブレイブサンダース神奈川の若き司令塔・篠山竜青。ルーキーシーズンは最下位、昨季は準優勝と、チームは大きく前進している。司令塔である篠山に、この3シーズンを振り返ってもらうとともに、PGとして追い求める姿、そして目前のトヨタ東京との決戦について語ってもらった。

インタビュー・文/松原貴実  写真/NBL  一柳英男

NBLの初代チャンピオンをめざす東芝神奈川。チームの司令塔である#7篠山に寄せられている期待も大きい(C)NBL

NBLプレーヤー インタビュー

篠山竜青
(SHINOYAMA, Ryusei/178㎝/PG/25歳/東芝ブレイブサンダース神奈川#7)

「さらに成長するために、
 自分の理想のPG像を模索中です」

イーストカンファレンス1位でプレーオフ進出を決めた東芝ブレイブサンダース神奈川。
レギュラーシーズン46勝8敗、勝率8.52の成績はリーグ全チームのトップであり、
優勝候補筆頭の呼び声も高い。
だが、その東芝はわずか2シーズン前、リーグ最下位というどん底のシーズンを味わった。
ポイントガードを務める篠山竜青もまたその一人だ。
泥沼の中で葛藤したルーキーシーズン、そこから這い上がるために目指したもの、つかんだもの、
その3年の歳月を振り返るとともに、さらなる高みを見据える『今』について語ってもらった。
若き司令塔が挑むカンファレンスファイナル、トヨタ自動車アルバルク東京戦は5月10日から始まる。
 
 

JBLで最下位になった2011-12シーズン、新戦力が加入して急成長した昨シーズン

「苦しいシーズンを経験したからこそ得ることができたものは
たしかにあると思います」

――昨シーズンに続きプレーオフ進出を決めた東芝ですが、篠山さんがルーキーとしてコートに立った3年前(JBL 2011~2012シーズン)は8 勝34敗で最下位。いきなりどん底のシーズンを味わったわけですが、まずはその年から振り返っていただけますか。

3シーズン目の今季。篠山自身も大きな手応えを感じている

あの年はやっぱり、ものすごくきつかったです。特に前半戦は自分がまだまだ慣れていないところがあったし、技術的にも通用しないところがあったし、どうにかしたくてコートに出ていっても何もできなくて帰ってくることもあったし。でも、後半戦になって「とにかく自分にできることをやる」と開き直ってから、自分もチームも少しずつ上向きになっていったような気がします。接戦ができるようになってきたし、トヨタとアイシンにも1勝できたし、そういう手ごたえみたいなものはみんな感じていたと思います。選手間でかなり話し合いもしていたんですが、今シーズンが無理でも来シーズンにつながる戦いをしようと、チームのまとまりも強くなっていった気がします。

――大声を張り上げてコートを走る篠山さんの姿も印象的でした。

周りからは「明るい」とか「ムードメーカー」とか言われてますが、正直、自分は根っからそういうタイプではなくて、ヘコむときはヘコむし、暗い気分のときは暗いですし、でも、チームの中で自分の役割を考えたらやっぱりそういうことを一番やるべき人間なのだからやるしかないという気持ちでした。

どんなに負けていてもそれだけはやっていこうと決めていて、今もそれは変わっていません。あのシーズンは早めに最下位も決まってしまい、その中でベクトルを自分に向け、その試合で自分が何ができたかということを常に考えるようにしていました。試合には負けたけど、ここはできたとか、ここは足りなかったとか、チームの勝ち負けより、その中で自分はどう戦えたのかを考えて次に向かうみたいな感じでした。

――その経験が今の糧になっていると言えるものはありますか?

今季は1月のオールジャパンで8年ぶりに優勝。リーグ制覇に弾みをつけている(C)NBL

ありますね。忍耐力というか、我慢する力というか、試合でも練習でもプレーがうまくいかなくなったときでもキレずに、またそこから奮起する力を養えたと思います。苦しいシーズンでしたが、それを経験したからこそ得ることができたものはたしかにあると思います。

――そして翌シーズン、ニック・ファジーカス、辻直人、ジュフ・磨々道といった選手が加入して、チームが一気に上昇気流に乗りましたね。

そうですね。やっているフォーメーションとかは1年目も2年も変わっていなかったんですが、1年目はうまくいかなかったから半信半疑というか、「このセットプレーって意味あるの」とか「このセットプレーやったって決められないじゃん」とか、みんなの心にどんどん?マークが増えてきたみたいなところがあったんですよね。

でも、ニックや辻といった決定力のある選手が入ってきたことによって、その?マークが「自分たちがやってきたことは間違いじゃなかったんだ」という自信に変わっていきました。それからはこれまでのフォーメーションもそうだし、新しいことを取り入れるときもそれまで以上に前向きに取り組めるようになったと思います。

――ファジーカス選手、辻選手、磨々道選手が入ってきたとき、どんな印象を持ちましたか?

第一印象だけで言えば、ニック(ファジーカス)は「大丈夫かなぁ」と(笑)。デカいけど別に身体がゴツイわけじゃないし、走り方は変だし、たしかにシュートは入っていたけど、試合では大丈夫なのかなぁと、そんな印象でした。でも、開幕戦のプレーを見て、「やっぱ、こいつすげー!」って、勝手に感じていた不安が一気に吹っ飛びました。

1試合平均26.35点。抜群の得点力を誇る#22ファジーカスの存在は大きい

マドゥ(磨々道)はレバンガ北海道にいるときのプレーを見ていて、ボールを持ったらなかなか離さないで1対1やっちゃうし、ちょっと自分が、自分がというのが強い選手なのかなぁと思っていたんですけど、全く違いました。

一番強烈に覚えているのはシーズンが始まる前に選手だけでミーティングをしたときのこと。その年のチームスローガンを決める話し合いだったんですが、「そんなの何だっていいじゃん」みたいなゆるい雰囲気で、みんなヘラヘラした感じだったんですね。そしたらマドゥが、チームに来てまだそんなに日が経ってないのに「もっと真剣にやれ」と言い出して、「このチームは日本一を目指すチームなのに、そんなにヘラヘラしててどうする」みたいなことをバーッと言ってくれたんです。

東芝ってみんなすごく仲いいんですけど、これまでそういうことをはっきり言える人がいなかったんですよね。だから、マドゥのその言葉を聞いたときは「ああ、いいおっちゃんが来てくれたなぁ」って、こういうことを言ってくれる最年長のベテランが来てくれてほんとによかったなぁと思いました。プレー面でもチームを大事にしてくれるし、パスもさばくし、リバウンドやルーズボールにも絡んでくれるし、最初の印象とは大きく違いました。

――2人には最初の印象をいい意味で裏切られたわけですね。その2人と違い、辻選手のことは前から知っていたわけですが。

そうですね。僕が知っている辻のまんまでした。ただオフコートでももうちょっと我が強いやつかなと思ってたんですが、意外にそんなことなくて、思ったよりいいヤツでした(笑)。選手としてもチームにいい影響を与えていると思います。あいつは口で何かを発信するタイプではないんですけど、たとえばセットプレーの中で決まったプレーではなく、全然違う動きをすることがあるんですね。ディフェンスを見て判断した動きなので、北(卓也ヘッドコーチ)さんもダメだとは言いませんし、周りもそれを見て、ああこういう動きもあるんだなと、あいつは入団当初からそういうのが多かったですね。いい意味でセットプレー通りに動くことが全てじゃないということをチームに浸透させていったと思います。コートの中ではめちゃめちゃ気が強いし、がっちり信頼してますね。
 
 

◆2ページ目は「企業チームである東芝神奈川を選らんだ理由、そして自身の性格について」
 
 

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