バスケと学業を両立するNCAAプレーヤー [大学]

大西ムーアダイアンハワイ大

アメリカで「99%やり切った」“スチューデント・アスリート”

アメリカでは大学で、学校を代表してスポーツをする選手のことを総称して『スチューデント・アスリート』と呼ぶ。NCAA傘下の大学では、練習や試合に出るために単位の数や成績の基準をクリアしなくてはいけない。ハワイ大でプレーする大西ムーアダイアンに、アメリカの大学でバスケットボールをすることの大変さ、充実感、現役を終えての本音を聞いた。

インタビュー・文・写真/宮地陽子

桜花学園を卒業後、アメリカに渡った大西ムーアダイアン

バスケと学業を両立するNCAAプレーヤー

大西ムーアダイアン
(176㎝/22歳/F/ハワイ大)

アメリカで「99%やり切った」“スチューデント・アスリート”
 
 

インタビューでは、バスケに学業に充実した大学生活を語ってくれた

 今年2月、大西ムーアダイアン選手(桜花学園卒業。ハワイ大)がツイッターに、こう書きこんでいた。

「練習出てないと試合にはやっぱ出してもらえんか…。でも授業に出ないと練習にも行かせてもらえん訳だし…難しいとこだなこれ」

 アメリカでは大学で、学校を代表してスポーツをする選手のことを総称して、『スチューデント・アスリート』と呼ぶ。NCAA傘下の大学では、チームに入るため、そして入ってからも練習や試合に出るために単位の数や成績の基準をクリアしなくてはいけない。まさに文武両道の理想を追いかけているわけなのだが、実際には、多くの選手たちはスポーツを続けるために楽な専攻や授業を選び、スポーツの練習時間を優先したカリキュラムを選んでいる。

 しかし大西選手の場合は違った。NCAAディビジョンIのハワイ大でバスケットボールをやりながら、授業も課題も大変な建築学を専攻していた。練習と重なる時間の授業もあった。練習に遅れることで細かな戦術面の理解が足りないと思われて試合に使われないことがある一方で、もし授業を休めば成績が下がって結局は試合には出られない。チーム・スポーツだからこそ、そして真の“スチューデント・アスリート”だからこその、ジレンマに陥っていたのだ。

 もっとも、このジレンマは、それだけ文武の両方に真剣に取り組んでいることの証でもあった。結局、彼女はこのジレンマを抱えたままで3月にシーズンを終え、現役を引退した。そして、大学でのバスケットボールは「99%やり切った」と断言する。

 なぜ99%なのか。残りの1%は? アメリカの大学でバスケットボールをすることの大変さ、充実感、そして今後の夢──。現役を終えての本音を聞いてみた。
 

■NCAAディビジョンIの大学へ

「日本のウインターカップやインカレに出ている選手だったら
NCAAディビジョンIで通用する!」

──アメリカに出てきたときには、バスケットボールをやるつもりではなかったと聞いたけれど?

なかったです。

──それはどうして? 高校までに十分やって満足だったから?

やりきったっていうのもあるし、学業にも専念したかったので。小さい頃から、アメリカの大学に行きたいってずっと思っていて、次のステップに進むためにお父さんの出身地のベイエリアに行って、おじさんといっしょに住んで、最初は地元のコミュニティ・カレッジに行きました。

でも、やっぱりバスケやりたいって思い始めた頃に、大学の練習に顔を出して見ていたら、監督から『やってみないか?』って誘われたんです。ただ、最初はバークレー(カリフォルニア大バークレー校。勉強のレベルが高い)に行きたいと思っていたので勉強もしたいと悩んで、3週間ぐらいその監督とのやり取りをして。『やりなよ。D1(ディビジョンI)でできるかもしれないよ』って言われて、『それならやるか』みたいな感じで、やることになりました(笑)」

──D1でやれるというのが刺激になった?

それもあったんですけれど、それよりも、バスケやりたいっていう気持ちが強かった。

──英語は、アメリカに来たときから話せたのですよね?

英語は大丈夫です。日本ではずっと日本の学校で、インターナショナル・スクールに行ったことなかったので、最初は読み書きが大変だったかな。しゃべるのは全然大丈夫だったんですけれど。今はどっちかというと、日本語が書けるかなって(笑)。一回、桜花に戻ったときに、スピーチをやってくれって言われて。どうやって喋ればいいんだろう…英語のほうが簡単になってきたかなって(笑)

──日本のときのポジションはパワーフォワードだったけれど、こっちでは?

3番か、4番。中に大きい選手が2人いるときは外に出ることもあるんですけれど、主に中かな。大きい人が自分についたときに、外に引っ張り出してシュート打つっていうのが多いかな。一応、シューターって使われているんで(笑)。本当に3がポイント必要なときとかに使ってもらったりしていたので。その分、シュート練習をかなりしました。

高校ではパワープレーが得意だったが、大学では外角のプレーの質を上げた

──同じパワーフォワードでも、日本とアメリカだとだいぶ違うのでは?

全然違いますね。身体が、毎日アザだらけ。シーズンになると、すぐに『あ、シーズンだな』ってわかります、身体見ると。あざがそこら中にあるんですよ(笑)

──いつ、どこでシューターにと言われたの? シュート力を認められたから、そうなったわけでしょう?

ジュニアカレッジのときに、自分のチームはすごく弱かったんですよ。バスケ経験がある子が自分しかいなくて。それで得点を取るようになってから、シュートを打つ機会が多くなって、練習しなきゃという思いも強くなったし。その頃から、練習すればするほどシュートも入るようになってきて。ジュニアカレッジは、2年間ともアベレージが20点以上だったんで。ハワイに来てからの練習でも、シュート率がチームで一番よかったんで、いざとなったらいつでも打てるようにしろとは言われていました。

──ジュニアカレッジは強いところではなかったのに、そこからディビジョンIにリクルートされたのね。つまり、チームが弱くても、その中で一番でやっていれば、ディビジョンIから声がかかるっていうことだよね?

はい、そうですね。アメリカは色々なところに機会が転がっています。ある程度は試合とか、監督のつながりっていうのもあると思うんですけれど、でも、その中で、大会とかで自分を見せることができれば、人づてに広まっていくと思うんで。

──チームメイトがバスケットをあまりやったことがなかった人たちばかりだと、物足りなかったりしなかったかの?
高校時代がかなり懐かしく思えました。みんとまたできたらなぁと(笑)

──日本から見ると、アメリカはどこもバスケのうまい人ばかりという印象があるかもしれないけれど、ジュニアカレッジ・レベルだったら、そうでもないところもけっこうあるものね。

はい。ディビジョンIでも、日本のウインターカップやインカレに出ている子とかだったら、全然通用すると思います。

──特に女子は、日本の高校のレベルでやっていれば通用するよね。

はい。身体の作りが違うっていうだけなんで。その身体がしっかり強くすることができれば、女子は通用すると思います。
 
 
◆次ページでは、バスケと学業の両立について
 
 

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