2014インターハイ女子インタビュー<2> [高校]

加藤優希桜花学園高#7

「『優勝してから泣く』って決めていたから、晴れて泣けました(笑)」

「今年はエースがいない」と言われた桜花学園で、存在感を大きく示したのはオールラウンダーの#7加藤優希だった。チームが苦しいところで得点をつなぎ、大事なリバウンドを奪取。残り5分を切ってからの3連続ゴールは見事だった。加藤にインターハイ優勝の勝因を聞いた。

取材・文/舟山緑   写真/一柳英男

チームが苦しい場面で踏ん張りを見せ、大事なシュートを決めた#7加藤

2014インターハイ女子インタビュー<2>

「自分は辛いことがあっても絶対に泣かない。
『優勝してから泣く』って決めていたから、
晴れて泣けました(笑)」

加藤優希(桜花学園高#7/178㎝/PF/3年)

インターハイの女子決勝。互いに譲れない一進一退の展開が続いた第4クォーター、
残り5分からの攻防が明暗を分けた。
昭和のタイムアウト明けに3連続ゴールを決めたのは、桜花の#7加藤優希(ゆうき)だった。
昭和のエース・赤穂さくらに速攻に走られて1ゴールを返された後、ミドルショットを沈めたのも
加藤だった。「ここで1本欲しい」という場面で得点をつなぎ、
大事なリバウンドを奪取し、ブレークに走った加藤。
高辻とともにチームを大きく牽引した加藤に、喜びの声を聞いた。

■高さを誇る昭和学院への作戦――走ってブレークを出すこと         

「今年のチームスタイルは『走る!』。相手ガードにプレッシャーをかけ、
赤穂(さ)選手にボールを簡単に入れさせないことを徹底しました」

――ズバリ、勝因は?

178㎝と図抜けた高さはないが、オールラウンダーであることが強みの加藤

ブレークです。それが桜花のスタイルなので。高さでは勝てないけれど、絶対に走ってブレークを出せばと、昨日のミーティングからずっと言ってきました。「そこは絶対に負けないぞ」って思っていました。ディフェンスでプレッシャーをかけて相手に態勢の悪いシュートを打たせ、全員でボックスアウトし、リバウンドやルーズボールを拾ってブレークにつなげる――ずっと練習してきたことです。そのブレークが何本も出せたから勝てたと思います。

――昭和のセンター#12赤穂さくら選手をどれだけ抑えることができるかが、カギでしたね。

はい。そこはステファニー(#15馬瓜)が予想以上にがんばってくれました(笑)。

――馬瓜選手はさらにリバウンドを獲り、ドライブから得点をしたのも大きかったのでは?

そこも練習どおりでした。相手は身長があるので、パワーで勝負というよりもスピードで勝負だと。私とステファニーの2人のセンター陣でドライブするのは、ずっと練習してきたことです。

――後半、拮抗した場面では、高辻(真子)選手と加藤選手の2人で得点をつないでいきました。特にブレークに走ったときに高辻選手からいいパスが入りましたね。

ラナ(高辻)からのパスは、(中学から)一番つきあいが長いので、「あ・うん」の呼吸で分かります。自分にとっても一番やりやすいです。

――決勝戦は、立ち上がりから気持ちの強さが出ていました。意識しましたか。

加藤は、ディフェンスをスルリとかわすプレーが上手い。今大会もそれは遺憾なく発揮された

ポストプレーで勝負というより「走る!」のが今年のチームスタイル。ディフェンスでガードにプレッシャーをかけて、赤穂(さくら)選手にボールを簡単に入れさせないことを徹底しました。そこはうまくいったと思います。

――前半を10点リードで終えて、後半は一時、逆転されました。しかし、勝負どころの残り5分、赤穂さくら選手にポストプレーをなかなかやらせなかった。あそこが勝負の分かれ目になったのでは?

ハーフタイムで10点差。去年のインターハイも大きくリードしながら、後半に追いつかれました。リードすると、どうしても気が抜けてしまうところがあるので、第3クォーターの始めに「ここはしっかり1本決めていこう!」と言い合っていたんですが、やっぱりやられてしまいました。相手が勢いづいて、流れが一気に昭和に行ってしまった。でも、そういう流れの中でも「ブレークを出して桜花の流れに持って行こう!」と声を掛け合っていました。

――走れば大丈夫だと?

はい。あとはボックスアウトをしてリバウンドを徹底して獲るというのは、(井上)先生からずっと言われていたことなので、そこはがんばりました。

■決勝戦の舞台は“完全アウェー”状態                

「昭和への応援はもうヤバかったです(苦笑)。でも、あの大声援を、
自分たちへの応援だと思うことではね返していました」

――自分たちの代での初めての優勝。その味は?

泣きました(笑)。去年、3冠をしたのは先輩たちなので、自分たちの代で、自分たちで勝ち取った1冠目。ここがスタートです。自分は辛いことがあっても絶対に泣かない。「優勝してから泣く」って決めていたから、晴れて泣けました(笑)。

――これで2冠目(国体)、3冠目(ウインターカップ)への弾みがつきましたか。

はい、自信がつきました。

――決勝戦、自分の仕事はできた?

ディフェンスは課題として残りましたが、オフェンスはブレークにどんどん走り、パワープレーもしたし、ドライブからの得点もあり、リバウンドも獲れたので、そこはよかったかなと思います。井上先生からは「おまえは自覚と責任感が足りない」とずっと言われてきたんですが、ようやくそれが果たせたかなと思います(笑)。

勝負どころをよく読んで一気に昭和を突き放した桜花。加藤や高辻の“勝負勘”が光った一戦だった

――今年は千葉での開催。地元の期待を背負って昭和学院への応援がすごかったですが、そのプレッシャーは?

もう、やばかったです(苦笑)。試合が始まる前から完全に“アウェー状態”。緊張している子もいたんですが、声を掛け合いました。先生からは「この応援は昭和への応援じゃなくて、桜花への応援だと思え!」とハッパをかけられました。あの大声援を、自分たちへの応援だと思うことではね返していました。

――インターハイの前にチェコで開催された「第3回FIBA U-17女子世界選手権大会」(6月28日~7月6日)に出場し、中心選手として活躍してきました。そこでの経験はプラスになっていますか。

はい、ゲームのかけひきの面でプラスになっています。日本代表では3番で1つポジションが上がり、ボールをつないだり、ドライブしたり、アシストが自分の仕事でした。桜花では4番ですが、自分としてはオールラウンダーになりたいので、ポストアップもドライブもいつも意識をしています。U-17での経験はいい勉強になりました。

――国際試合を戦うと、国内での試合に余裕が生まれたりしますか。

それはあります。昭和は#12赤穂さくら選手(184㎝)、#8赤穂ひまわり選手(183㎝)、#15中村美羽選手(180㎝)と大きいですが、海外の選手はみな長身でパワーもあるので、そのディフェンスをどうドライブで抜くかが課題でした。その経験が、インターハイの決勝で生かせた部分があります。さくら選手がいても「行くぞ!」って強気で臨めましたから(笑)。

――10月の国体、12月のウンターカップへ向けて、今後の課題は?

チームとしても個人としてもオフェンスはもっと一人ひとりが積極的に攻めていくことです。細かいところでは、モーション・オフェンスやセットプレーでしっかりスクリーンをかけたりすることです。また、ディフェンスからのブレークが今年は武器なので、もっともっとディフェンスを徹底していきたいです。
 
 
加藤優希 KATO, Yuki

桜花学園高#7/178㎝/PF/3年/1997年2月3日、愛知県名古屋市生まれ/若水中→桜花学園高。若水中では高辻とともに2年、3年と全国中学校大会で優勝。3年時にはベスト5に選ばれる。桜花では2年時の昨年、U-16日本代表の主力として「第3回FIBAU-16女子アジア選手権」で2位。今年6月、チェコで開催された「第3回FIBA U-17女子世界選手権」(7位)でも中心選手として活躍した。また今年10月、ヨルダンで開催される「第22回FIBA U-18女子アジア選手権」の代表候補にも入っており、国際試合を数多く経験している。178㎝は決して大きくはないが、球際に強いのが魅力。ポストプレーはもちろん,ジャンプショット、ステップイン、ターンシュートなど多彩なシュートが持ち味。態勢を崩しながらもきっちりシュートをねじこむ強さも持っている。愛称は「ナウ」。