左膝・前十字靭帯断裂からの戦列復帰 [WJBL]

吉田亜沙美 JX-ENEOS  #12

「復帰」から「復活」を目指して

昨年2月15日、左ヒザの前十字靭帯を断裂し、懸命にリハビリに励んでいた吉田亜沙美が、昨年12月20日のWリーグで待望の復帰を果たした。新春のオールジャパンにも出場し、今後の復活が待たれる。再スタートを切った吉田亜沙美に、リハビリ期間のこと、戦線離脱した日本代表のこと、今後のこと。そして、復帰を迎えた心境を聞いた。

インタビュー・文・写真/小永吉陽子  写真提供/WJBL

12月20日、羽田戦で復帰を果たした吉田亜沙美。心強い司令塔がコートに帰ってきた(写真提供/WJBL)

「復帰」から「復活」を目指して

吉田亜沙美
(YOSHIDA , Asami/165㎝/PG/27歳/JX-ENEOS #12)

昨年2月15日、左ヒザの前十字靭帯を断裂。手術後は懸命にリハビリに励んでいた吉田亜沙美。Wリーグ・プレーオフをベンチで見守り、日本代表の活動では、みずからの手でつかんだ10月の世界選手権の出場も断念しなければならなかった。

そんな中、リハビリに専念していた吉田の状態は予想以上に早い回復力を見せ、昨年12月20日、21日の羽田戦で待望のリーグ復帰を果たした。現在は、フルゲームをこなすのは無理な状態だが、時間配分をしながら、チームの勝利に貢献する働きを見せるまでに回復した。年明けのオールジャパンでは、準々決勝の新潟戦で12分46秒の出場で6アシスト、6リバウンドを記録。準決勝での出場が期待されるところだ。

しかし、吉田は先を急ごうとはしていない。「復帰はしたけれど、復活まではまだまだ時間がかかる」と言いながら、今は自分のやるべき目の前の仕事に邁進している。復帰直後には伸ばしていた髪をバッサリと切って心機一転。再スタートを切った吉田亜沙美に、リハビリ中のこと、戦線離脱した日本代表のこと、今後のこと、そして、復帰を迎えた心境を聞いた。

◆左ヒザの靭帯を損傷――吉田亜沙美の試練 (2014年3月10日)
 
 

懸命にリハビリに励んだ“復帰”までの道のり

「コートに立って最初に感じたことは、やっぱりバスケは楽しい!」

「焦らずに目の前の試合を頑張り、自分の仕事を果たしたい」と話す吉田(1月4日、オールジャパン試合後撮影)

――復帰おめでとうございます。まず、Wリーグの年内最終ゲーム2試合(12月20日~21日、羽田戦)でコートに立った感想から聞かせてください。

楽しかったです。コートに立ってそれを一番に思いましたし、またこの仲間とバスケができる楽しさを感じました。ケガをしてバスケットから離れて、改めてバスケットが大好きだと知ることができたので、本当に楽しかったです。

練習に戻ってきて5対5をやったとき、それまで実戦から離れていたから合わないかなと思ったんですけど、これまで自分たちで作ってきたものがあったから、信頼関係がある中で練習を再開することができました。実際、試合になったら、どんなパスでも取ってくれようとしてくれたし、自分ももっと取りやすいパスを出してあげようという気持ちになれたので、本当に楽しくバスケができた感じです。

――年内最終戦で復帰すると決めていたのですか?

本当はオールジャパンで復帰と決めていたんですが、佐藤ヘッドコーチから「オールジャパン前にゲーム勘を慣らすために、年内最終戦に出てみるか?」と言ってもらいました。そう言われて自分でも、年内に出ようか、延ばしてオールジャパンに出ようかとずっと悩んでいましたが、ゲーム勘がなくなっていたので早く出たほうがいいかなと思って決心して、「最終戦に出させてください」と言いました。

――実際にコートに立ってみて、久々に出たゲームの感触は?

パスの感覚は大丈夫でしたが、体力が全然ないです。オフェンスは感覚的に覚えているんですけれど、イメージに体がついていかないんです。すぐ疲れてしまうし、疲れるとパスミスが多くなったり、ディフェンスができなかったり、パフォーマンスが下がるのが見えてきたので、そこを修正しないといけないです。でも、それをオールジャパンで気がついたら大変なことになるので、年内に2試合やって、自分の課題が見えてきたのは良かったと思います。

――ディフェンスでの足の運びなどはまだ不安ですか?

はい。やっぱり、(靭帯を)切る前とは動きが全然違うので、周りの人にカバーしてもらっています。試合が始まれば、自分が切れていたことを忘れるくらい走ってるんですが、でもやっぱり足が思うように動かないなというのはあります。リバウンドを取りに行って切ったので、リバウンドに行く怖さは今でもあります。でも、これも慣れてくれば大丈夫だと思います。

リハビリ中に日本代表の練習に顔を出すことも。順調なリハビリの様子がうかがえた(2014年6月撮影)

――予想していたより復帰は早かったように思うのですが、復帰の目途はいつ頃だと思っていたのですか?

自分でも復帰は早かったと思います。自分のペースでリハビリをして復帰していいよと言われていたのですが、周りの人がたくさんサポートしてくれて、自分の納得いくタイミングで復帰できました。本当に感謝しています。

当初の予定では、少しの時間でいいのでオールジャパンに出られたらと思っていました。オールジャパンの最初の1、2戦で出られたらいいなと。膝は順調に治って、早い段階で5対5の練習に入れたので、リーグ戦も出られるのであれば出たいという気持ちがありました。今シーズンに入ってチームの流れが悪かったので少しでも助けてあげたかったし、離脱した分、早く復帰してコートで返していかなきゃいけないと思っていました。

――JISS(国立スポーツ科学センター)で黙々と一人でリハビリに励んでいましたが、この時期、大変だったことは何ですか。

やっぱり…ずっと一人でリハビリをしていたので、それが一番しんどかったです。トレーニングがきついというより、一人だったので精神的な部分でしんどかったです。今まではみんなと一緒に練習していたし、つらい練習もみんながいてくれたから乗り越えられましたが、リハビリはずっと一人でやってきたので…。リハビリそのものより、一人でこなすことが辛かったですね。

だから、一人で練習する個人競技の選手は本当にすごいなあと思いました。自分にはできない。自分はみんなで練習する団体競技で、みんなに支えられてここまで来たんだなと思いました。平日はJISSでトレーニングをしていて、土日は尞の体育館に戻って練習していたんですけれど、その時、チームのみんなの顔を見たり、チームのみんなが頑張っている姿を見て、自分も頑張ろうと思ったし、そうやって、毎週毎週、過ごしていました。

――一人でいると、地道にリハビリをする気持ちが揺れ動いたり、何を目指しているのかわからなくなってしまうような、そういう辛さでしょうか?

そうですね。なんでケガしちゃったんだろうって思い返しちゃったり、何のためにリハビリをやってるんだろうって、色んな思いがありましたね。でも、それでも頑張ってきて復帰の日を迎えたので、それはそれで良かったと思います。

――ケガをしたことで辛いことがたくさんあったと思いますが、ケガをしたことで、あえて気付けたことはありますか?

ケガをしてよかったなんて絶対に思わないですけど、ケガをしてベンチで、選手の一人一人の良さや欠点を見ることができたので、それをどう変えていけるか、どう声をかけてあげたらいいのか、少し離れたところから見ることができたのは自分の経験のプラスになると思います。

Wリーグのファイナルを見て、こんなにすごい人たちとバスケをしていたんだと感動したんです。それは自分のチームだけでなく、他のチームや日本代表でやっていた選手を見て、こんなにすごい人たちとやれていたんだと改めて誇りに思いました。だから早くコートに戻りたいという思いだけでした。ケガをしたからこそ、感謝をしたり、周りが見えてきたこともあるので、そういう思いを知れたのは、これからの支えになると思います。
 
 

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