躍動!オールジャパン2015<男子編>  [オールジャパン]

広瀬 健太日立サンロッカーズ東京#24

「決勝は自分の全部をコートに出したかった」

オールジャパンでゴールにアタックし続ける姿は印象的だった。決勝で20得点、6リバウンド、3アシスト、3スティール、3ブロックと大活躍した広瀬健太は、日本人では数少ないオールコートを突進するプレースタイルが魅力の選手だ。日立東京躍進の理由とアグレッシブなプレースタイルについて、そして、プレーの幅を広げようとしている現況を聞いた。

取材・文/小永吉陽子   写真/一柳英男

昨年の低迷を払拭する快進撃が続く今季の日立サンロッカーズ東京。オールジャパンで悲願の優勝を手に入れた。ファンに手を振る広瀬健太(左はし手前)

躍動!オールジャパン2015<男子編> 

広瀬健太
(HIROSE, Kenta/日立サンロッカーズ東京#24/193㎝/F/29歳)

「決勝は自分の全部をコートに出したかった」

オールジャパンのファイナルで、ゴールにアタックし続ける選手がいた。
20得点、6リバウンド、3アシスト、3スティール、3ブロックをマークし
日立東京の初優勝に貢献した広瀬健太だ。
アグレッシブにゴールに突進する姿から、ついたニックネームは“ハリケーンボーイ”。
昨年は「代表に走る意識を出したい」(長谷川健志ヘッドコーチ)という理由で
ジョーンズカップのメンバーに選出され、若手代表のキャプテンも務めた。
大会ベスト5を受賞した広瀬健太に、日立東京が躍進した理由と
日本人では数少ないオールコートを突き進むプレースタイルについて
そして、それだけではないプレーの幅を広げようとしている現況を聞いた。
 

■優勝に貢献した“ハリケーンボーイ”

 
「パナソニックで優勝したとき、「もっとやれたな」という思いもあった。
同じことを繰り返したくなかったから、
今日は全部コートに置いていこうと思いました」

――オールジャパン初優勝の感想を聞かせてください。

決勝はたくさんのお客さんの前でプレーできたのが気持ち良かったですし、そんな中で優勝できたのはこれ以上ない喜びです。

――最初から最後までゴールにアタックしていましたが、自分のパフォーマンスはどんな手応えがありましたか。

淡々とした口調ながら優勝をかみしめながらインタビューに応えてくれた広瀬

リーグ戦だと飛ばし過ぎると連戦で体がもたないことがあって、無意識のうちに後半に温存してしまうことがあったんですけど、天皇杯の決勝は最後の一試合だし、行けるところはどんどん行って、自分の全部をコートに出して、コートに全部置いてくるつもりでやりました。どんどんアタックすることを意識したら、気持ちがノッてきましたね。決勝はそれがうまくハマったかなと。あと広島が追い上げたところでバスカンを取ったり、ブロックできたり、そういう部分で相手の勢いを止めてチームを立て直すことができました。そこで萎縮せずにアタックできたのが良かったです。

――それにしても、体がキレキレでオールコートを走り回っていましたね。

外れたと思ったシュートが入ってラッキーなのもありました(笑)。でも、フィニッシュが甘いところもあったので、そこはもったいなかった。せっかくいいプレーしていたのに、ツメの甘さは反省点です。

――広島に対しての印象は? そして、どう対策を練って臨んだのですか。

新しくできた若いチームなので勢いがあるし、若いチームは乗せたら脅威になることはわかっていたので、簡単な試合になるとは思っていなかったです。やっぱり、(竹内)公輔さんのところをどう止めるかですよね。そこは(竹内)譲次さんに任せて、手が回らないときに周りがヘルプに行こうと思いましたが、でも今日は譲次さんがしっかりと止めてくれたし、外国人選手も体を張ってディフェンスができたので、自分たちのペースで試合することができました。広島の若い選手に負けないように、逆にこっちが勢いでまさるように、プレーうんぬんではなく、メンタルで勝とうとゲームに入りました。

――2年前(2013年)にパナソニックで優勝しましたが、移籍して新しいチームでの優勝はまた違う気持ちですか?

そうですね。前回パナソニックでは優勝はしたんですけれど、自分自身はプレー面で思ったようなことができなくて、うれしさもあったけど、「もっとやれたな」という思いがあったので、今日は同じようなことを繰り返したくないと思って試合をしました。それでアタックしようと意識していたのもあります。まあ、もう30(歳)に近いので、ファイナル二度目という経験は出せたんじゃないかなと思います。

――そういう意味では、元パナソニックの同僚・木下(博之)選手が今シーズン移籍してきてやりやすい面はありますか?

ありますね。木下さんも僕のことを知っていますし、僕も木下さんがどういうプレーをやるか知っているので、それはチームメイトに伝えています。今シーズンは木下さんと試合中にしゃべることが多くなりましたね。すごいベテランの選手で勝ち方も知っているので、任せられる安心感があります。

広瀬のスピードあるドライブからの合わせプレーも日立の武器になっている

――昨シーズンの日立東京はプレーオフに進めず低迷し、今シーズンは開幕から上位。何がいちばん変わったのでしょうか。(前半戦終了して、20勝5敗でイースタン・カンファレンス1位)

こういう言い方はよくないかもしれませんが…いちばんは人が変わりました。ヘッドコーチが変わって、外国人選手が変わり、木下さんが入り、人が変わったのが大きいと思います。最初は勝てるのかな、という感じで今シーズンに入ったんですけれど、シーズンの最初にやってきたことが出せて勝ちグセがつきました。そのうち、勝っていることで逆に受けに回って悪い方向にいってしまった時期もあったんですけど、それでもやっぱり「俺たちは勝てるんだ」って気持ちでやれる試合のほうが多くて、去年は「勝てるかな…」という気持ちでやっていたので、その差は違うと思います。

――試合中に声を掛け合うシーンが増えたと思うのですが、これはチームで意識改革をしたのでしょうか。

木下さんが入って選手同士でも言い合うようになりましたし、外国人選手がすごく人格者なんですよ。(ジョシュ・)ハイトベルトは特に声をかけてくれます。アキ(・チェンバース)もチームに意見を与えてくれて。外国人、日本人が分かれているんじゃなくて、お互いに声をかけあって、オンでもオフでも言い合えるようになったので、その部分で去年より成長できていると思います。

――技術面ではインサイドの強さが目立つのですが、そのあたりの変化は感じますか。

今年はリバウンドを取れているのが好調の要因だと思います。それ以外にもハードにディフェンスをしたり、周りを生かすプレーをしたり、ベンチから出てくる選手が活躍したりとか、そういうことすべてが好循環につながっていますが、いちばんはリバウンドですね。リバウンドを取れるからそのあとに走れる。バスケットはリバウンドが大事だと再認識しています。
 
 
◆次ページは「“ハリケーンボーイ”だけからの脱皮」について
 
 

1 / 212