女子アジア選手権総括と女子代表の今後 [WJBL]

大神雄子JXサンフラワーズ

すべては日本代表につながる。常にそのマインドを持つべき!

日本代表のキャプテン、JXのエースである大神雄子が、2011年8月に開催されたアジア選手権の敗因を検証し、日本の現状に苦言を呈した。そこにあるのは日本のバスケを「世界レベルに引き上げたい」との使命感だった。

文・写真/三上 太  写真/高野 洋  

  中学時代から未来を嘱望され、事実、日本の女子バスケット界の顔として10年間走り続けてきた大神雄子。アテネオリンピックに出場し、WNBAの舞台に立ち、世界のリーディングスコアラーにもなった。

  それでも大神の10年は決して順風満帆なものではなかった。日本代表から落選したこともあれば、Wリーグではプレイオフ進出を逃したこともある。WNBAではここ3年、そのコートに立てていない。そして何よりも大神自身を苦しめているのは、アジアを勝ち抜けないことだ。8月に行われたアジア選手権でもアジアの頂点に立つことは叶わなかった。なぜ勝てないのか。どうすれば勝てるのか。日々、自問しながら、もがき、苦しみ、それでも前を向かなければならないと、立ち上がろうとする。

 2011年10月12日、20代最後の誕生日を5日後に控えた大神を訪ねた。アジア選手権のこと、9月30日に開幕したWリーグのこと、そしてこれからの日本のバスケット界についてのことを聞くために。そこで返ってきた言葉は、自他共に認める日本のエースが、本気で日本のバスケットを変えたい、変えなければいけないという魂のこもった本音だった――。

 

Wリーグが開幕しても心の中の迷いがプレイをかき乱す

 

アジア選手権から2ヶ月、WJBL開幕から1ヶ月。アジア選手権の敗因を考える毎日

――今シーズンのリーグが始まって4試合が終わり、3勝1敗(取材をした10月12日時点の成績)。現在のJXの状態についてどう感じていますか?

率直に波があるなと思います。オフェンスもそうだし、ディフェンスでもそう。ウチはディフェンスからリズムを作るチームなので、ディフェンスがよくないとオフェンスにもうまくつながっていかない。負けたゲームも競っているゲームも得点が60点台というのがその証拠です。相手を60点台に抑えて、ウチの得点が70点台後半から80点台になるとウチのペースなんですけど、逆に得点が60点台にされると向こうのペースと言えます。だから4試合のうち2試合はちょっと相手チームのペースに持っていかれているのかなと思います。

――ディフェンスがうまくいっていない原因は何でしょう?

1つはチームディフェンスの確立ができていないことです。ウチはノーミドル(コートの中央側を抜かれないこと)で守っているのに、開幕戦のトヨタ戦では川原(麻耶)さんにガンガン、ミドルラインをドライブされてしまった。そうなるとタク(渡嘉敷来夢)がブロックに跳びたがるから、インサイドに寄りすぎて、矢野(良子)さんのいる外にキックアウトされる。2週目のシャンソン戦は、パスランが攻撃スタイルのチームだから、ディフェンスとしてはパスをされたらジャンプ・トゥ・ザ・ボールが基本なのに、誰かが簡単に前を切られてしまう。そうなると他の選手がヘルプに動くから、ディフェンスのズレが簡単にできて、相手の攻撃を助けてしまう。つまり相手のスタイルに乗っているんですよね。どちらも2試合目にしっかりと修正をしていけるのもウチの力だと思うんですけど、それでも1試合目と2試合目とで差が出ていることからも、チームディフェンスが確立できていないことははっきりしていると思います。

――オフェンス面はどうですか?

相手チームはギャンブルに近いくらいのことをやってこないとウチのインサイド――渡嘉敷、山田(久美子)、諏訪(裕美)、間宮(佑圭)、木林(稚栄)にはなかなか太刀打ちできない。特にシャンソン戦はそれがはっきりとしていて、ダブルチームの寄りがすごく早くて、近い人が上からも下からも来ていたんです。3人で囲むこともありましたけど、それに対してウチのインサイド陣がうまく処理できなくて、パスミスになる。相手がガチャガチャ守っているのに対して、ウチのオフェンスもガチャガチャしてしまう。インサイドとアウトサイドのバランスがうまく取れていないわけですね。さらにいえば、ここ4試合を見ているとウチのフォワード陣が点数を取れていない。これも2戦目になると修正されるのですが、60点台で終わるのか、70点台に乗るのかは、フォワードの得点次第なのかなと思います。オフェンスに関しては全体的なバランスが今後の課題かなと思っています。

調子が上がらない中で開幕。3連覇を目指すJXのエースとしてやらねばならぬ

――大神選手自身の状態はいかがですか?

う~ん…正直よくないですね。それは別にシュートが入らないとか、そういう問題ではなくて、はっきり言いますけど、気持ちが入っていかないんです。(アジア選手権のことが)整理できていないですよね。なんで負けたのか、何が足りなかったのかという原因を突き止められず、開幕まで1カ月あった期間も落ち込むことが多かったから、「じゃあ、リーグに向かおう!」っていう気持ちにまだなれていないんです。だから全部が中途半端で、その気持ちがプレイにも出ているんじゃないかって思います。

――まだふっきれていない。

それも悔しいですけどね。プロだから、次に自分がやるべきことに向かっていかなければいけない。それがプロとしての仕事だとわかっているんですけど、やっぱり中国に負けた原因を考えるとね…。雑誌やネットの記事を読んでも、「確かに書いていることはわかるよ。でも、じゃあ、個人的にはどうだったんだろう?」って考えてしまうんです。

加えて、日本代表の指揮官は中川(文一)さんで、その中川さんが総括として「(敗因は)大神以外の選手が得点を取れなかったことだ」と言っている記事を読んだんです。確かにそれはそうかもしれないけど、それだけじゃないしょ、とも個人的には思ってしまうんですよね。自分以外の点数が伸びなくても1点差、2点差のゲームはできたはず。それなのに中国戦のように20点差をつけられたり、韓国戦のように17点のリードを追いつかれて逆転負けをしてしまうゲームを思い起こすと、大村での7ゲームは自分たちにとって何だったんだろう? って思ってしまう。1点差、2点差のゲームで最後に自分がシュートを落としたのであれば、自分の責任だし、ただひたすらに次に向けて練習をすればいい。でもそういうゲームではなかった。中国に対して20点開いてしまった、韓国に対しては17点もリードしていながら逆転負けをするっていうのは何か問題があったはずなんです。そこをはっきりできていないところがあって、プレイ以前の問題として心に何かが引っかかっているんです。

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