2012 李相佰盃(日韓学生選抜) [大学]

石川海斗日本大4年(日本学生選抜)

「小さいからこそ、もっと経験したい!」――海外対戦を望む学生界の司令塔

学生界のスピードスター石川海斗。韓国を相手に、持ち味の走力を展開することはできた。しかし、司令塔としてはチームをまとめきれなかった反省も残る。日本の弱点として「経験のなさ」をあげる石川は、この敗戦によって、海外との対戦を強く望んでいる。

文・写真/小永吉陽子

日本学生選抜 石川海斗インタビュー
(174㎝/PG/日本大4年/明成高)

◆第35回李相佰盃レポート/韓国との実力差を突きつけられた3連敗

「コミュニケーション不足からチーム力で試合ができなかった」と司令塔の石川は反省を掲げた

 普段から多くを口にはしない選手だ。しかしバスケットボールにおいては強気の姿勢を持ち、重要なことはしっかり伝えることからもチームメイトからの信頼は厚い。学生界ナンバーワンを誇るスピードと運動量で相手をかき回し、柔軟なボディバランスからのシュートでとどめを刺す。身長の低さを補って余りある石川のプレイは、コートでひときわ目をひく存在だ。

 そして、何よりの魅力は、常にチームでもフル出場を求められている底抜けのスタミナと走力。今大会、日本学生選抜の中でいちばん走力あるプレイを出すことができた選手でもある。

 しかし、日本で抜群のスタミナを誇る石川でも今回は「後半にバテてしまった」という。身長差を補うスタミナ強化という課題が、日本でいちばん小さく、そしていちばんのスタミナを持つ石川からも浮き彫りにされたのだ。

 石川にはガードという視点から選抜チームでゲームを作る大切さ、国際大会で課題となる身長の低さを補うための攻防について聞いた。そして、インタビューの最後に出てきた「もっと海外のチームと対戦したい」という切望の言葉は、何も長身者だけにかぎったことではないので、強化関係者には耳を傾けてほしいと願う。

長身者をかわすシュート力、小さいからこそ動き回る体力、コミュニケーション力が必要

――3戦を振り返っての感想は。

できれば2勝したかったし、去年勝ったこともあって(※)、こんなに大差で負ける相手ではないとやっていて感じたこともあったし、でも韓国のシュート力のすごさも身にしみた3戦でした。(※昨年度は2戦して1勝1敗。一戦目、日本は劇的な大逆転勝ちを収めた)

――個人的に通用したところと課題はどこですか。

個人的にできたのはスピードゲームは通用したし、シュートは打てているので、そういう面では通用するところが見えました。でも自分は小さいぶん、誰よりももっともっと動かなきゃいけない。センター陣のヘルプだったり、そこでちょっと足が動かなかった。前半は動けていても、後半は動けなかったから体力をもっとつけないといけない。全体的に韓国のほうが走れていたので、振り切られてしまったこともありました。

――チームとしての動きがなかなか作れませんでしたが、ガードとしてどのようにゲームを組み立てようとしたのですか。

今回はバスケットの戦術うんぬんではなくて、一番大切なチームとして声を出すことやコミュニケーションが全然ダメでした。たとえば誰かが「ディフェンス」という言葉をかけても、それに反応することが少なかった。コートに出ている5人で戦えなかった。僕としてみれば、日本のエースは比江島だと思っているから、勝負所で比江島に攻めさせて、チームを乗らせたいというのがあったんですけど、それができなかった。そういう面でもまだ自分の判断の甘さもあるし、チームとして戦えてなかったのが、40点近い差になったと思います。

――今までの反省の中で「コミュニケーション不足」と「後半に落ちた体力」という点が上がりましたが、これは技術の差というより、練習で解消できること。この2つだけでもできていれば、もっと戦えていたのではないですか。

そう思います。日本の試合でも疲れて走れない時間帯があるとつけ込まれるけど、韓国とか外国のチームとやると、それが出るとその瞬間に一気につけこまれたり、やられたりする。ディフェンスも足が動かなくて一歩詰められなくてスリーを打たれたりする。今ここでやられてしまう、という瞬間が自分としても見えたし、各個人もあったと思う。常に走ってなきゃいけないわけじゃないけれど、走らなきゃいけないところで走れなかった。

チームとしては、1戦目は全然走れなくて、2戦目の前半はみんな走っていていい流れができていたのに、後半は脚が止まってしまった。逆に向こうは後半走って点差が開いた。3戦目も走れているときは流れがいいけれど、走れていないときは止まっちゃって、コミュニケーションを取って動くことができなかった。チームとして声を出したり、チームとして戦えていたら、まだ違う戦いができたと思います。

――ガードとしてマッチアップした5番のキム・ジワン選手は石川選手より身長が15㎝も大きい189㎝の選手ですが、どのように対応しましたか。

国際大会ではこれくらい当たり前で、自分の相手にはそんなに身長差は感じなかったです。ディフェンスではしつこくつこうと思ったんですが、オフェンスでは止まってしまいました。それは1対1で守られて止まってしまったというよりも、中(センター)のディフェンスが高いからボールが止まってしまったことが多くて……。

正直いえば、あとから出てきた6番(イ・ウォンデ、183㎝、建国大4年)のほうがディフェンスとシュート力があってイヤでした。5番は去年も出ていて、ドライブ中心だとわかっていたので、気をつけることはできました。そういった面では去年よりは対抗できたと思う。大きいのにつかれてもスピードで負けてはなかったし、やれる手応えはありました。ドライブにいってスクープショットを打ったりすることはできたと思います。

――自分より大きな選手相手に打つスクープシュートのようなシュートは、かなり練習しているのですか。

スクープシュートはまだ安定していないけれど、日本でもやってますし、相手が大きかったら身につけなきゃいけないシュートです。スリーもノーマークだったら全部入れられるシュート力をつけないといけない。

スピードで振り切る持ち味は随所に出すことができた

――こういう悔しさを日本で忘れないことが大切だと思うけれど、それにはどうしたらいいと思いますか?

自分としては、まずチーム(日本大)の状況が良くないので、そこで頑張ることです。今は青学、東海、拓大とかが強いですけど、個人的に優勝チーム(青学)を倒すことを目標にしています。京王杯ではいい感じだったんですけど、トーナメントでは歯車があわなかったので。自分の場合はいい敵が日本にいるので、そこを倒すことをまずはやっていかなきゃいけない。日本だったら(張本)天傑も永吉もデカイので、それを相手に決められるシュート力を身につけたい。今年はキャプテンですし、まずチーム力をあげないと……。

――では質問を変えて。これだけ惨敗したら何かを変えていかなくてはならない。日本の学生が向上するためには、大学界で何をしていくことが必要だと思いますか?

やっぱりすごく思ったのは、海外との経験をやっていないことです。日本にいると難しいとは思うんですけど、このままでは日本の大学で活躍していても世界を相手にしたら戦えないと感じました。日本ではチーム内で活躍して満足している選手が多いし、自分が活躍してもチームが勝たなきゃ意味がないのに、そこで満足している選手もいる。

今年自分が掲げていることに、チャンピオンを倒すという目標があるんですけど、それをチーム全員が掲げてやれるくらいであれば向上できると思うし、日本の大学自体がレベルアップできると思います。

韓国だけじゃなくて海外遠征がしたいですね。各チームで海外遠征をするなり、海外のチームを呼ぶなりして、試合をすることがいちばん必要だと思います。ガードとして日本でやっていても個人として張り合えることは少ないし、海外は知らない選手ばっかりなので、自分はもっともっとやりたいです。自分は小さいし、ガードだからこそ、たくさん経験していろんなバスケを知りたいです。個人的には海外でプレイしてみたい気持ちもあります。韓国にかぎらず、ヨーロッパとかアメリカのチームともっともっと対戦したいです。そこで負けてもいいから経験してみたいです。