2012 李相佰盃(日韓学生選抜) [大学]

永吉佑也青山学院大3年(日本学生選抜)

日本一パワフルな学生センターが訴える「体作りの重要性」

学生界でナンバーワンのパワーを誇るセンター、永吉佑也。韓国に3連敗を喫した中でも、日本でいちばんゴールに向かっていった選手だ。日本では味わえない、自分より高さと技を持つセンターと対峙した中で痛感したのは「体作りの重要性」だった。

文・写真/小永吉陽子

日本学生選抜 永吉佑也インタビュー
(199㎝/C/青山学院大3年/延岡学園高)

◆第35回李相佰盃レポート/韓国との実力差を突きつけられた3連敗

当たりの強さのみならず、テクニックを持つ韓国のセンターにパワーで対抗した永吉

 大会終了直後に行ったインタビュー中、ふと永吉佑也の腕を見ると、ひっかき傷だらけだった。「こっち(韓国)に来てからこんなになったんですよ」と傷を見ながら日本の大黒柱は苦笑いした。

 李相佰盃の一週間前に行われた関東トーナメントでは傷ひとつつかなかった腕が、韓国との3戦だけで傷だらけになっていたのだ。韓国には、日本にはない空中でのリバウンド争い、ポストでの体のぶつけあい、ディフェンスでの当たりの強さがあることが、無数の腕の傷が物語っていた。

 学生界のセンターとして、ナンバーワンのパワフルさを誇る。韓国側からも「11番は力強い」との声が上がった。しかし、韓国のセンター陣と対峙してみては「パワーもテクニックもあるし、ディフェンスの戻りも速い」と、自分にはない巧さと強さを実感させられることになった。また3戦を通じては、持ち味であるパワフルな攻防は出せるようになっていったが、一試合を通じてコンスタントに力を出すことについては、課題として持ち帰ることとなった。

 同い年のセンターが韓国代表に名を連ねて活躍している今、永吉は「同世代には負けられない」と燃える心を抱いて帰国した。

韓国は“がっつき”が激しい!負けてめちゃくちゃ悔しいけど、あの熱さはやっていて楽しい 

――3戦振り返っての感想は。

去年も李相佰盃に参加させてもらったんですけど、自分は去年よりもインサイドで自分のプレイを発揮できたかなというのはあります。大学でトレーニングを継続してやれたので自分としては成長した感じはあるし、でもまだディフェンスとリバウンドではやられてしまっているので、センターとしての役割は果たせなかった。振り返ってみれば、もっとリバウンドが取れれば食らいついて行けたのかなあと。3戦とも点差が開いちゃったじゃないですか。率直にいうとめちゃくちゃ悔しいです。

――腕にたくさんの傷ができていますが、リバウンド争いや体の当たりの強さは日本とはどう違いますか?

こっち(韓国)はがっつきが激しい。すっごいがっついてくるので、日頃からすごい争いの中で生きてるんだなあ、というのを身に染みて感じましたし、そこが日本人と違うと思いました。もっと自分たちも日頃から練習の中でそうやっていかないと成長はないのかな、と思います。

――今回は3戦とも大差がついたわけですが、韓国との力の差をどのように感じましたか?

ひとつひとつのスキルが韓国のほうが上でした。パス、ドリブル、ディフェンス、コミュニケーションの取り方もだし、格がひとつ上かなと思いました。センターでいえば、自分は力で押していくタイプだけど、韓国のセンターはパワーも技もある。ディフェンスでも「もう戻っているの!?」と思うほど速かった。

主に3人のセンターを相手に戦った永吉。トレーニングの成果により、個人としての手応えは感じている

――韓国のセンター、キム・ジョンギュ(207㎝、慶煕大3年)は、現在韓国代表の2次合宿メンバー15名まで残っており、去年は韓国代表としてアジア選手権に出場した選手(※)。大学3年生で同い年ですが、負けたくない気持ちはありますか。

やっぱり、意識するところはありますね。去年も相当ボロクソやられてるし。ジョンギュとは高校のときにナイキキャンプで出会って、その時からすごい選手だなと思ってました。同い年だというのは去年知ったんですけど、会うたびにすごくうまくなっているなと。去年から比較したらパワーもついているし、気持ちも出してくる。俺も日本で頑張らないといけないなと思いました。

――キム・ジョンギュにしても、普段は優しい顔をしているのに試合になると気持ちを出して向かってくる。韓国の選手はスタミナがあるから集中力も切れない。そういう精神面の強さを試合から感じたことはないですか。

あります、あります。韓国は気持ちを出してきますよね。韓国とやると、たいがいはボロ負けなんですけど、でも楽しいんですよね。青学とヨンセ(延世大)はよく試合をしますけど、そのときもいつも楽しいし、熱くなれるというか。そういう熱さは日本にはないので吸収するものはたくさんあります。試合が終わったあと、いかに韓国と対戦したときの熱というか、気持ちを忘れずにやるのかが大切なんじゃないかと、いつも思います。

――でも日本に戻るとその熱さを出すのは難しい。日本だと永吉選手より高い選手もあまりいないし、プレイでも腕に傷がつくことはない。日本で「がっつく」ためにはどうしたらいいでしょうか。

……それ、すっごい難しい質問ですね。でも、そういうことを考えるのが重要なんですよね。正直言って、韓国の場合は今回のメンバー見てもセンターをとっかえひっかえできて、それは日本からするとうらやましかったりします。自分はずっと出ていて、現に3試合終えて疲労もハンパじゃないし、そういう違いがあります。もうちょっと休めれば、自分ももっとできたんじゃないかという甘えもあったんですけど。やっぱり国際大会というのは一人で乗り切るのは大変なことだし。でも、日本では日頃の練習から激しくやるしかないですね。

――現実問題として、日頃の練習と日本の大学リーグで頑張ることがもっとも大切なこと。では、帰ったら何から頑張っていきますか。

自分はセンターとしてリバウンドを取るための体作り、ディフェンスのフットワークをもっとやり込んでいけば、もうちょっと対抗できるかなと思いました。シュートだったり、体力だったり、もっとやり込むことだと思います。韓国の選手はガツガツくるからそれに対抗できる体を作らなきゃいけない。すべてにおいてだけど、まずは体作りをしなきゃならない。自分だけじゃなく関東の大学のみんなが体作りができるシステムを作れればいいと思う。

それと、もっとこういう試合をやりたいですよね、国際試合が。トーナメントで優勝したときもうれしくてまた頑張ろうと思ったんですけど、改めて李相佰盃で試合をして、もっとやらなきゃなと思いました。

※5月29日、韓国協会は7月にベネズエラで開催される「オリンピック世界最終予選」に出場する韓国代表メンバーを発表。キム・ジョンギュは昨年に続いて代表12名入りが決定した。