ロンドンへの道――石川幸子 中国奮闘記<2> [海外]

石川幸子WCBA 雲南曲靖立得

かけがえのない海外での経験。今度は自分が伝える役目

ロンドンのコートに立つため、海外挑戦を続けてきた石川幸子。日本代表入りは果たせなかったが、彼女もロンドンオリンピックを目指した一人だった。中国奮闘記<2>では、中国プロリーグ(WCBA)の実態と日本人の海外進出の可能性、そして、海外挑戦を通して見えた「日本が世界と戦うために必要なこと」を語る。

文・写真/小永吉陽子

ロンドンへの道――石川幸子 中国奮闘記<1>
日本の速さは生かせる。そのためには対応力と経験が必要

 
 

日本人選手は世界で通用する。でもその前に、日本人の存在を世界に知ってもらう必要がある

スペインでは自分で売り込むしか方法がなかった
でも苦労して切り拓いたからこそ、今の中国での経験がある

 WCBAの外国人枠はチーム所有「1」。アジア人枠「1」。チームに2名までのアジア人を含む外国人枠が認められ、外国人のオンザコートも「2」まで可能。そのうち軍隊チームとしてWCBAに所属している「八一」と「沈部」のみが中国籍の選手で構成されている。中国の場合、アジア枠があることが、石川の活躍の場につながったわけだが、このルールが昨シーズンから変更された。アジア枠の外国人選手は国家代表歴がある選手に限定された。

 一昨シーズン、早稲田大1年だった藤生喜代美(元シャンソン化粧品)がプレーオフのみWCBAに参戦した。藤生の場合は日本代表歴がないため、昨シーズンであれば参戦できなかったのだから、貴重な経験ができたといえよう。

 中国はガードの層が薄いため、日本人としてはアジア枠を有効に使えば、海外経験を積めるリーグとして、今後、市場開拓はできそうだ。ちなみに昨シーズン、北京は元韓国代表のベテランガード、キム・ヨンオク(38歳)を獲得し、初優勝へと駆け上がっている。

――石川選手の中国リーグ入りに関しては、エージェントを通してのオファーですよね。

はい。私はアメリカのエージェントから声をかけてもらったんですが、そのアメリカ人のエージェントが、中国リーグに詳しい中国人のエージェントと情報を交換していたみたいで、私の場合はアメリカ人と中国人の2人のエージェントを通しているんです。「中国で日本代表クラスの選手を探しているからやってみないか」と声をかけられました。海外でプレイするのは、エージェントの力は大きいなと実感しました。あ、でも個人専属エージェントではないです。中国でプレイするにあたって、契約の間に入ってもらっただけです。

――日本人だと、海外事情に精通しているエージェントが仲介することはなかなか難しいですよね。石川選手がDVDを作成してスペインの全チームに配ったように、最初の一歩は自分の売り込みから始まるケースもありますが、それをやってのけたのは本当にすごいこと。大変だったのではないですか。

私の場合はそれしか道がなかったから…。けど、自分からの売り込みはオファーを受けるわけではないので、契約の条件はよくないですよ。私もスペインでは練習生から入ったのでその時は無給でした。でも売り込まないと存在を知ってもらえないので、DVDを作ってアピールしなければなりませんでした。今思えば、それがあったから、ここまでプレイできたのなかと思います。

――日本人選手だったら、どういうタイプが海外で通用すると思いますか?

まず、シューターは通用すると思います。でも最初はパスをもらえない可能性はあります。結果を出して、信頼されればちゃんとパスがもらえるのは、中国もスペインも同じでした。

あと、中国でいえば、日本人のガードも通用すると思います。中国って本当にガードらしいガードがいないんですよ。私も去年はけっこうガードをやらされましたから(苦笑)。中国は本当にうまい代表クラスの選手や背の高い選手もいれば、うちのチームのように、新しいチーム(雲南はチーム設立5年目)には若い選手たちもいます。チーム状況によっては、日本人は十分通用すると思います。

WNBAプレイ歴があるアメリカ人センター、リンゼイ・テイラー。2人でよくチームの体制に怒りながらも、協力しあってチームを引っ張った

――先ほど、「存在を知ってもらうためにアピールしなければならない」と言っていたけれど、国際大会でアピールする以外の方法はないのでしょうか。そうなると、日本代表の選手はいいですけど、そうじゃない選手が海外挑戦するのは大変なことですよね。

その辺はどうなんでしょうね…。2年前の世界選手権でシン(大神雄子)が得点王になって、フランスのチームからオファーがありましたよね。でも、世界選手権の得点王だったらもっとオファーが来てもいいと思うんです。日本としてもシンに得点が偏ってしまったのはあったんですけれど、それでも得点王って、すごいことだと思います。海外の選手は「代表選手」とか「得点王」とか、自分を売り込めることは何でも利用するし、肩書きにプライドを持っています。シンみたいに速くて得点が入るガードを欲しいチームはたくさんあるような気がします。もっと下手な選手でも自信を持ってやっている人とかもいますよ。

――日本人は世界ではあまり知られていないんでしょうか。2年前の世界選手権(チェコ)でも大神選手をはじめ、日本選手に興味を持って質問してくる記者は多かったですよ。日本人のプレイスタイルが異色だから珍しいのもあると思うんですけど。そのときに感じたのは、日本選手は世界ではあまり知られてないんだ、ということでした。あのときは8年ぶりの世界選手権だったので、これは世界レベルの大会に出続けなければいけないと痛感しました。

日本人が知られていないというのは私も感じます。世界選手権やオリンピックに出れば、もっと日本人のことを知ってもらえるし、情報を得ることができますよね。私、スペインに行くときに本当に情報がなかったから……。私はスペインと中国しか経験ないですけど、そこで出会った外国選手はみんなエージェントが大切だと言ってますし、自分からいろんなところへ動いている気がします。

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