Cager Column #3 [JBL]

JBL 2011-2012 PREVIEWJBL

JBL転換期から見る2011-2012シーズン開幕

10月7日に2011-2012シーズンのJBLが開幕。JBLの転換期となった2007-2008シーズンと照らし合わせながら、今シーズン開幕時のチーム状態を分析してみた。過去と現在を比べてみると、新たな発見が出てくる。

文/渡辺淳二  写真/高野 洋  Text/Junji Watanabe Photo/Hiroshi Takano

10月7日、代々木第2体育館で開幕を迎えた日立vsレバンガは日立が接戦を制する

 エンターテインメントには、いろいろな楽しみ方がある。そこで今回のJBL展望記事では思い切って過去に遡り、2007年、2008年の状況と照合しながら各チームの今を探ってみようと思う。

 なぜ、2007年、2008年かといえば、2007年にJBLは現在の体制でリスタートを切ったこと。そしてディフェンディングチャンピオンであるリンク栃木がトップのリーグに参入したのは2008年という、まさに歴史の転換期だからである(※2010-2011シーズンは東北地方太平洋沖地震により、シーズンチャンピオンはなしとなった)。

 なお、紹介する順は、昨シーズンのレギュラーシーズン最終順位に準ずる。改めて被災された方々にお見舞いを申し上げるとともに、JBLという名のエンターテインメントを楽しませてもらおう。

 

転換期の2007-2008シーズンから見える2011-2012シーズン開幕

アイシンシーホース

 4年前の2007年、ルーキーとしてチームに入った竹内公輔がまさか今シーズン、トヨタに移籍することになるとは!?  その翌年の2008年にキャプテンとなった網野友雄が今シーズン、リンク栃木に移籍し、しかも当時、スタメンガードとしてチームをリードしていた佐古賢一は昨シーズンをもって引退。いわばアイシンの黄金期を築いたガード、フォワード、センターを一気に失ったチームは、ターニングポイントを迎えたという見方ができる。それでもチームのスタイルを変えず、桜木ジェイアール中心のインサイド・バスケットを展開するのか。それとも朝山正悟、古川孝敏らガード、フォワード陣のプレイエリアがより広がるのかが楽しみだが、いずれにしても司令塔・柏木真介のコンディションが万全ではない様子なだけに、リーグ序盤は苦戦を強いられそうだ。

パナソニックトライアンズ

 現在、秋田県立能代工業高校の監督を務める佐藤信長にとってラストシーズンとなった2007年。同年、チームに移籍してきた二人の大型フォワードが山田大治(リンク栃木)と大野篤史だった。その大野は昨シーズン途中からコーチに転身し、新たな立場でチームに貢献し始めたが、彼らに匹敵するほどのスケールの大きいフォワードが今シーズン加わった。明治大から鳴り物入りで入った金丸晃輔である。2007年にはキャプテンだった永山誠が膝のケガにより復帰の時期が未定なだけに、得点源の後継者としても期待できる逸材と言える。ここ数年、チャンピオンまであと一歩の位置につけていたチームにとって、最後のワンピースを手に入れた、といったところか!?

トヨタ自動車アルバルク

 司令塔・正中岳城とシューター・岡田優介がチーム入りした2007年。同年、キャプテンを務めていた古田悟は昨シーズンをもって現役を引退し、指導者の道を歩み出し、さっそく今年8月のユニバーシアード競技大会に日本代表アシスタントコーチとして参加。また2007年当時のヘッドコーチは「ドイツ・バスケット」の奥深さを印象付けたトーステン・ロイブル(レバンガ北海道)。その流れを汲むチームはドイツリーグでなが気に渡って指揮を執っていたヘッドコーチ、ドナルド・ベックの采配の下、昨シーズンは手堅いディフェンス力を備え、リーグ最少失点を記録した。そこに今シーズン、アイシンから竹内公輔が電撃加入。強くならないわけがない…。ハードルをさらに上げて、今いる人材を有効に使い、エンターテインメント性のある攻撃を展開するチームになっているかに着目したい。

東芝ブレイブサンダース

2007-2008シーズンを最後にアシスタントコーチとった北卓也が今シーズン、ヘッドコーチに就任した。当時、節政貴弘(2009年に引退)からの絶妙なパスを受け、滞空時間の長い華麗なシュートシーンを残した名スコアラーの一人だ。おそらく、2度のリーグ優勝の武器となったディフェンス力を継承するものと推察できるが、気になるのは北や節政のようなタレントが育てられるかということだ。昨シーズンはプレイタイムをシェアしながら、戦い方を多彩にしようとするチームの意図がはっきりと見てとれた。好感の持てる戦いぶりではあったが、やはり強烈な個性が欲しいところ。2007年にチーム入りした菊地祥平の復調なるか! 新加入した篠山竜青は意外性のあるプレイを見せてくれるのか! そんな期待感が高まる。

日立サンロッカーズ

思い起こせば、2007年のキャプテンは五十嵐圭(三菱電機)だった。そして同年ルーキーとして加入した竹内譲次がついに今シーズン、キャプテンとしてチームを牽引する。その竹内をはじめ、ケガからの完全復活を目指す佐藤稔浩と酒井泰滋が万全の状態でプレイし続けられるかどうかなど、コンディショニングが鍵を握りそうだ。そうした中で楽しみなのは、2007年三菱電機のキャプテンだったポイントガード・柏倉秀徳が加入したこと。レバンガ北海道を経て今シーズン、移籍してきた司令塔がどんなエッセンスをチームにプラスするのか。さらに3年目の西村文男と2年目の小林大祐の成長具合だ。一昨年の菅裕一に続き、昨シーズンをもって上山博一も引退しただけに、アウトサイドからの仕掛けについては、西村と小林なしでは語れない状況と言えよう。

リンク栃木ブレックス

2007-2008シーズンにJBL2で優勝し、2008年にトップのリーグに参入したばかり…。だがそう思えないのは、一昨シーズン初優勝を遂げた実績に加え、主軸が変わっていないからだろう。ガード・田臥勇太、フォワード・川村卓也、センター・伊藤俊亮、そしてスーパーサブの竹田謙。彼らを軸としながら選手を少しずつ入れ替えてきたチームは今シーズン、大型補強に打って出た。ちょうど10年前、田臥とともにヤングメン世界選手権に出場したいわゆる「ヤングメン世代」のベテラン二人、網野友雄をアイシンから、山田大治をレバンガ北海道から獲得したのだ。これにより、成熟したチームという印象がより強く持たれるようになるのではないか。しかし連覇する上では、日本代表の戦列から離れた田臥の状態が気がかりではあるが…。

三菱電機ダイヤモンドドルフィンズ

2007年に現役を引退しアシスタントコーチとなったアントニオ・ラングが、ヘッドコーチとなって2シーズン目。2007-2008シーズンに4位になって以来、遠ざかっているプレイオフに返り咲かないことには、元NBAプレイヤーとしてのプライドが許さないはずだ。その当時キャプテンとしてゲームメイクしていた柏倉秀徳(日立)が一昨シーズン、チームを離れて以来、司令塔が固まらなかった感がある。五十嵐圭、中川和之、そして安部潤、いずれもシュートへと持ち込む攻撃力は際立つが、パスの出所としては安定感に欠いたのは否めない。そこが三菱の明暗を分けるポイントの一つだ。見方を変えれば、チーム内のポジション争いのようにも映る。さらに2年目の上江田勇樹が、フォワード・ポジションにおける熾烈なマッチアップで、他チームにどう対抗するかに注目したい。

レバンガ北海道

 2007年にリーグに参入したレラカムイ北海道が今シーズン、「レバンガ北海道」として生まれ変わることになろうとは思いも寄らなかった。しかも折茂武彦が選手としてだけでなく、一般社団法人の理事長としてチームを支えて行くことになろうとは――。得点源である折茂の体が激務に耐えられるのかなど不安材料は尽きないが、その一方で楽しみな面もある。2007年にトヨタを率いたトーステン・ロイブルが日本に帰ってきて折茂とタッグをまた組んだことだ。そしてロイブルの指導の下で、桜井良太が本来のダイナミックなプレイを蘇らせることを大いに期待したい。ちなみに2007年にレラカムイ北海道が立ち上げられた時のキャプテンは佐藤濯だが、彼の高校時代の同級生であるポイントガード、宍戸治一が今シーズン、新加入。阿部友和とともに折茂や桜井が蓄積してきたものを存分に引き出してほしい!
 
 こうした8チームの状況の中で特に、竹内公輔がトヨタにフィットするのか。パナソニックのスーパールーキー・金丸晃輔がさっそく爆発するのか。そして川村卓也(リンク栃木)が4年連続得点王を獲得するのか、などにも注目が集まる。チームとして下馬評が高いのはトヨタだが、リーグがどう展開するか読み切れないのがJBLの醍醐味だ。それは一昨シーズン、新鋭のリンク栃木が3連覇を狙うアイシンにスウィープ(3連勝)して初優勝を遂げたことからもうかがい知ることができる。10月7日に開幕したJBLは、来年の3月まで開催される。ぜひ皆さん、このバスケットボール・エンターテインメントをご堪能あれ!