Cager Column #4 [JBL]

トーステン・ロイブルHCレバンガ北海道

レバンガ最大の補強となった指揮官が意気込みを語る

今シーズンの注目はなんといってもレバンガ北海の新たな船出と、日本をよく知る指揮官トーステン・ロイブルがレバンガの指揮官に就任したこと。開幕2戦を粘りのバスケットで1勝1敗とし、どんな手応えをつかんだのか。

文/鈴木栄一  写真/高野 洋  Text/Eiichi Suzuki   Photo/Hiroshi Takano

チーム作りに時間はかかるが手応えあり。「北海道の状況は自分にとって特別ではない」

4シーズンぶりにJBLで采配をふるうロイブルHC

レバンガ最大の補強は
ヘッドコーチのロイブル氏

 昨シーズン途中から明らかになったチーム消滅の危機を乗り越え、なんとかリーグ参入にこぎつけたレバンガ北海道。ただ、当然のようにチームの資金繰りは苦しく、複数の主力選手たちが他のチームへと移籍。そして契約選手の数は、リーグの規則ぎりぎりとなる12人など、かなり苦しい戦力事情だ。しかし、そんな中にあってレバンガがオフに1人の大物の獲得に成功。それはトーステン・ロイブル・ヘッドコーチだ。

 ロイブルHCは、かつて2006-07年シーズン、07-08年シーズンにトヨタ自動車で指揮を執り、06-07年にはリーグ制覇、07-08年はファイナル進出と抜群の実績を残した。

 07-08年シーズンは、前年の優勝メンバーから折茂武彦、桜井良太の主力2人がレバンガの前身であるレラカムイ北海道に移籍と、戦力が落ちた中でも3戦先勝のファイナルで優勝したアイシンに2勝3敗と惜敗だったことで、一段と評価を高めた感すらあった。そのトヨタを去った後は、現在、日本代表の石崎巧が在籍しているドイツリーグ2部のケムニッツで指揮官を務めるなど、母国でも順調なキャリアを築いていた。その彼が、レバンガに来たことは多くの驚きを与えた。

 そして、もっと大きな驚きだったのは、下馬評では大きく力が劣ると言われていたレバンガが、日立の開幕2連戦を1勝1敗で終えたことではないだろうか。今回は、改めてその能力の高さを示したロイブルHCが、10月7日、8日の2連戦の終了後に語ったチームの展望に関するコメントを紹介していきたい。

「私たちにスーパースターはいない。辛抱強く一歩一歩、上っていくだけ」

堅守速攻で、ハードに戦うことをモットーとする

 レバンガといえば、資金面と含め環境で大きな不利にあることがよく取り上げられている。しかし、ロイブルHCは、「予算の少ない経営状態のチームを率いることは、過去にも経験があります。だから、北海道は自分にとって特別な状況のチームではありません」とコメント。そして、「『絶対に言い訳をするな』と選手には言っています。それを始めたら、他のチームよりもいっぱいありますし、また、みんなが私たちの言い訳を理解するはずです。しかし、試合が始まったら勝つことだけを考えて、言い訳はしないように伝えています」と、現在の苦境を嘆くことはない。

 また、目指すチームのスタイルについて「私は、ファーストブレイクをどんどん仕掛けるのが好きなHCですが、同時にディフェンスも重視しています」と堅守速攻を目指していく考え。そして「プレイを速くすることは大事ですが、焦ってプレイしてはいけません」とし、惜敗した7日の試合終了後には「(チームが始動してから開幕までの)3週間はスピードをコントロールすることに重点を置いていました。しかし、今日はうまくコントロールできずペースを上げすぎてしまった」と振り返っている。

 今回、開幕2連戦を1勝1敗と上々のスタートをきったことで、周囲の期待はさらに高まっているはず。しかし、指揮官は、「チームは辛抱強く一歩一歩、上っていかないといけないことを認識する必要があります。私たちにグットプレイヤーはたくさんいますが、スーパースターはいません。だからやるべきことはたくさんあります。もしかしたら、私はいいコーチかもしれませんが、ハリーポッターではありません。私にも時間が必要です。魔法の言葉を唱えて何かが起こる訳ではありません」と、自身が目指す形になるには、まだまだ時間がかかると冷静だ。

41歳の折茂武彦はレバンガのエースであり、チームの代表としても奔走している

 さらに、「これからはベンチの力をもっとつけないといけません。折茂(武彦)は41歳、(ジェフ)磨々道は34歳。(ティロ)キレットも33歳で、彼らがすべての試合で30分プレイすることは不可能。だから若い選手とプレイタイムを分け合う必要があります」とベンチメンバーとなる若手の成長が欠かせないと語る。そして大黒柱ではないかもしれないが、チーム躍進の鍵を握る選手として、bjリーグでプレイ経験があり、帰化選手として加入したジェフ・磨々道の存在を挙げている。「彼は素晴らしい選手で、チームに勢いを与えてくれます。ただ、3年のブランクがあり、まだ本来の力を取り戻すにはしばらく時間がかかるでしょう」。

 最後に指揮官は、北海道のファンについては「以前、ライバルチーム(トヨタ)のHCだった時、北海道のホームゲームは多くの観客が入り、良い意味でクレイジーで、アウェーにも応援に来る熱狂的なサポートがあるのを見てうらやましかったです。けど、今はそのファンが私の味方です。チームがサイズの差、選手層の差を乗り越えるのに、ファンの声援が助けとなります」と、地元での大きなサポートに期待を寄せている。そして「植物の種を蒔いて目が出て、若葉が出て、どんどんそれが大きくなっていくようにレバンガというチームにもたっぷりと水をやって、どんどん大きく育てていきたい」と意気込みを語っている。

 今回の2試合終了後、ロイブルHCがよく語っていたことは「辛抱」であったり、「時間がかかる」というフレーズだった。ただ、それは見方を変えれば、まだまだチームには多くの可能性があり、強くなれると指揮官が感じていることの表れではないだろうか。果たして、これからシーズンが進むにつれレバンガがどんな成長を遂げていけるのか、引き続き注目していきたい。