橋本和子――「進化する30歳」 [WJBL]

橋本和子三菱電機コアラーズ #54

幾度もの入替戦を乗り越えて、進化し続けるベテラン

今季、Wリーグで上位を脅かしている三菱電機。オールジャパンではベスト4入りを阻まれたが、この負けをバネに、プレーオフ・ファーストラウンドへ照準を定めている。チームを束ねている30歳の司令塔、橋本和子に、今季の手応え、代表活動で得たもの、シーズン後半への意気込みを聞いた。

インタビュー・文/舟山 緑  写真/小永吉陽子

橋本和子――「進化する30歳」

HASHIMOTO, Kazuko
三菱電機コアラーズ#54

今季、Wリーグで上位陣を脅かしているのが三菱電機コアラーズだ。
攻撃的なディフェンスを武器に、大きく崩れないゲーム展開を見せて、レギュラーシーズンは16勝6敗の5位。
オールジャパンではシャンソン化粧品に敗れて準々決勝で敗退。ベスト4入りを阻まれたが、
チームはこの負けをバネに、1月後半から始まるプレーオフ・ファーストラウンドへピタリと照準を定めている。
この三菱でチームを束ねているのが、ガードの橋本和子だ。
持ち味である点取り屋としての攻撃力は健在で、ポイントガードとしては昨年までの粗さが影を潜め、
今季は安定したゲームメイクでチームを大きく牽引している。
リーグ在籍8年目を迎えた2012年春には、日本代表候補にも初めて選出された。
三菱で幾度もの入替戦を経験してきた橋本が、今季はどんな手応えを感じて戦っているのか、
代表活動で得たもの、そしてシーズン後半への意気込みを聞いた。
 
 
 

トヨタ、富士通から白星を奪ったレギュラーシーズン

「今季は、競った試合でもチームで我慢が出来るようになり、
大きく崩れる試合がなくなりました」

「今季は我慢が出来るようになった」と語る橋本。トヨタや富士通から白星を勝ち取った粘りが、今季の三菱を象徴している

 三菱電機コアラーズがWリーグに復帰して2年目。今季は、昨年のリーグ5位から、プレーオフの4強入りをうかがっている。12月9日に終了したレギュラーシーズンは5位だが、3位トヨタ自動車、4位シャンソン化粧品と並んで16勝6敗。開幕3戦目ではトヨタ自動車から、また11月17日には2位富士通からそれぞれ白星を奪って、しぶとい戦いを見せている。三菱は攻撃的なディフェンスを武器に、オフェンスでは189㎝のセンター王岑静(ワンツェンジン)の高さを生かし、宮元美智子(175㎝)や櫻木千華(180㎝)、ルーキーの佐藤梓(168㎝)らが3ポイントやスピードあるドライブインで、リーグの台風の目になっているのだ。

 そんな若手や中堅の成長で、ガード橋本の存在も今季は一段と生きている。ガードとしてゲームをコントロールしながら、持ち味である点取り屋としてはアグレッシブな攻撃でチームを牽引。苦しい場面で突破口を開いているのは、いつもベテラン橋本の踏ん張りだ。
 
 
――リーグが開幕して3戦目。10月6日のトヨタ戦の勝利は、前半11点のビハインドを後半、ジワジワと詰めていって逆転。橋本選手が最後にダメ押しのジャンプショットを決めて3点差で逃げ切った試合でした。2戦目はトヨタに勝ち星を譲りましたが、トヨタから奪った1勝は大きいですね。

そうですね。ここで1勝したことが、その後のゲームにつながったと思いますし、チームとしての自信になりました。昨シーズン、WⅠからWリーグに復帰してトヨタに勝ったことがなかったので、やはり大きいなと思います。トヨタは昨年2位のチームですし、三菱が今季上位4つを狙うとしたら、去年のベスト4から最低でも1勝ずつ奪わないといけないなと思っていましたから、そこが1つクリアできました。試合は前半が終わって11点差でしたが、今季はどんなにリードされても、様々なシチュエーション練習をしてきているので諦めるという意識はなかったです。ハーフタイムで修正をし、後半はゾーンからスティールを狙って速攻で流れを作りました。結果は54対51のロースコアなので、ディフェンスの勝利です。実は私自身は残り2分ぐらいから足がつっていました。いつものことなのですが(笑)

――攻撃的なディフェンスを仕掛けているから、足がつったりするのですか。

そうですね、デンソー戦やシャンソン戦でも太ももの裏がつっていました。プレータイムがフルに近い時はだいたいつっていますね(笑)。去年はここまでひどくはなかったですが、痛みでプレーできなくなることはないです。大腿部の裏がつって自分でも「おおーっ」と思うけれど、「あっ」となって動きが止められるというか……(笑)。トレーナーさんからは「大腿部を使っている証拠だ」と言われています。

――リーグ中盤、11月17日の富士通戦での1勝も大きかったと思います。試合は終始、ディフェンスでプレッシャーをかけて富士通のバスケットをさせませんでした。最後まで競った試合を69対64で勝利。2位を走っていた富士通に黒星をつけた一戦でした。勝てた要因は?

試合はいつも精神力のあるほうが勝つと思っています。今季は競った試合がずっと続いていたので、我慢のバスケットをし続けたら、最後に流れは来ると思っていました。勝ったデンソー戦もそうですが、負けたトヨタとの2戦目やシャンソン戦でも、競った試合をずっとやってきて、我慢というか、「負けない」という強い気持ちで最後まで戦えるようになってきました。富士通戦は残り5分からの勝負所を、強い気持ちでしのげたのが大きかったです。

――チームとして“我慢”が出来るようになったのは今季からですか。

そうですね。去年もそういう試合はありましたが、今季は競った試合でもぐっと耐えられるというか、崩れなくなりました。“我慢”を覚えたことで、大きく引き離される試合がなくなっています。

――何か転機になるようなことがあったのですか。

やっぱり、選手それぞれが成長しているからだと思います。きつい練習をずっとやってきたので。いつも、山下さん(山下雄樹ヘッドコーチ)やコーチ(古賀京子コーチ)は「練習は裏切らない」と言ってくれます。対戦相手の練習を見たことはないですが、その言葉を信じてやってきましたから、間違ってなかったなと思います(笑)
 

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