ファイナルに懸ける注目の“キープレーヤー” <1> [WJBL]

川原麻耶トヨタ自動車アンテロープス

「強い気持ちで戦うことで流れを引き寄せたい」

切れ味鋭い3ポイントとドライブインで強い存在感をアピールしている川原麻耶。今季はシーズン途中で1番も務めるなど、プレーの幅が広がった。「乗せると怖い」存在ゆえに、ファイナルでも厳しいマークが予想される。川原にファイナルへの意気込みを聞いた。

インタビュー・文/舟山 緑  写真/小永吉陽子、一柳英男

チャンスに強いシューター。2年連続Wリーグのベスト5を受賞

「強い気持ちで戦うことで 流れを引き寄せたい」

川原麻耶 (トヨタ自動車アンテロープス #2)

オールジャパンで初優勝を果たし、今季「2冠」目のリーグ優勝をねらうトヨタ自動車。
オフェンスでもディフェンスでも組織だったチームプレーが身上だが、
中でも注目されるのが、ポイントゲッターである川原麻耶の存在だ。
この3年、スピードとシュート力を武器に、着実な成長を見せてきた。
その川原の「乗せると怖い」シュート力と走力を生かしたディフェンスは、大きな鍵となる。
「皇后杯優勝」という大きな喜びを自信にして、ライバルJXにどう戦いを挑むのか。
シューター川原に、ファイナルへの意気込みを聞いた。
 
 

本領発揮のセミファイナル2戦目

「シーズン終盤を迎えて、オフェンスでもディフェンスでも
呼吸が合ってきて、自分たちのバスケットが出来ています」

 3月2日からのWリーグ、セミファイナルでトヨタ自動車は富士通に2連勝、ファイナル進出を決めた。1戦目は、チーム・ディフェンスが機能して最大27点のリードを奪った。しかし、そこから富士通の気迫の攻防に4点差まで詰め寄られるという反省が残った。2戦目は前半互角の展開となったが、後半は富士通に思うようなバスケットをさせなかった。トヨタが誇るディフェンス力が光り、オフェンスではセンターの森ムチャの活躍が目立った。川原は1戦目こそ当たりはなかったが、2戦目は開始早々に3ポイントを沈めてチームを波に乗せた。

テレビの勝利インタビューに答える川原。プレーが確立された今は、チームのキーマンへと成長した

――セミファイナルの自分の出来はどうでしたか。

1戦目はアジャストされて3ポイントのチャンスはありませんでしたが、私がカッティングすることで誰かがノーマークになるので、外が入らないのは気にしていませんでした。2戦目はチャンスがあれば打っていこうと思い、1発目が入ったことで、乗っていけました。

――セミファイナル前のファーストラウンド最終戦は欠場。ケガでしたか。

以前から足首の内側を痛めているので、欠場しました。セミファイナルでも調子はあまりよくなかったですが、後藤さん(後藤敏博ヘッドコーチ)からは「シューターは打たないと入らないから、落ちても気にせずに打っていけ」とアドバイスをもらっていました。2戦目のアップの時も「シュートのアーチ(軌道)を変えることなく、いつものように打っていけば入るから」と背中を押してもらいました。だから、フリーで1本目を打った瞬間、いつものアーチだったので、「来たな!」と思いました(笑)。

――1戦目は3クォーター半ばに27点差まで大量リードしたのに、4クォーター残り2分で4点差まで詰められる展開でした。その後、再び富士通を突き放して勝利(72対64)でしたが、“貯金”が大きくなくなったゲームとなりました。

ディフェンスはどこが相手でも強いディフェンスをするという目標は出来ていたと思います。ただ、いつも3クォーターがよくなくて、あの試合でもリョウさん(矢野良子)からハーフタイムに「うちは3クォーターのはじめが悪いから気を引き締めないと」と言われていたのに、後半が始まったらやはり悪くて……(苦笑)。そこが課題として残りました。

――3クォーターで悪くなる原因は?

気持ちの問題があるのかなと思います。リードをしていると、どこか気を抜いてしまうというか……。

――このセミファイナルから左手の指を骨折していたベテランの池田麻美選手(178㎝)が戻ってきたのは大きな戦力ですね。

はい。キラさん(池田)さんが入ると、チームプレーがぐっとスムーズになります。私たちがオフェンスでバタバタと焦っている時は、必ずキラさんが声をかけてくれるので、そこで落ち着いてプレーができます。キラさんの存在は大きいですね。

――このセミファイナルではリーグ2年目の森ムチャ選手(180㎝)が2戦ともに活躍。ファイナルに向けての好材料となりましたね。

そうですね。ムチャ(森)は大舞台に強いんです。相手が強いと燃えるのかも。富士通戦では年下の長岡選手(長岡萌映子)に負けたくないという気持ちが強かったのだと思います。これまではオフェンスで1回ミスをすると、2回目、3回目の攻めがなかったのですが、今回は積極的に攻めてくれました。そこが大きな収穫でした。キラさんやリョウさんらベテランがベンチにいる時間帯にムチャが積極的にプレーしてくれると、ディフェンスがインサイドに寄るので、シューターとしてはその分チャンスが増え、ありがたいです。そういう意味では、ムチャの成長でチームとしてのプレーの幅が広がりました。

――オールジャパンの優勝を経て、攻守でトヨタのバスケットがステップアップしたように感じますが、自分たちではどうですか。

シーズンも終盤に入り、「この人がこう動いたら、こう合わせたらいいな」「ここでは、こっちにパスしたほうがいいな」という呼吸が合ってきたように思います。オフェンスでもそうですが、チーム・ディフェンスでの息も合ってきました。だから、すごくプレーがやりやすいです。
 

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