JBLプレーオフ注目プレーヤー [JBL]

篠山竜青 & 辻 直人東芝ブレイブサンダース

「プレーオフは思いっきり楽しみたい!」

プレーオフ進出を決めた中で、もっとも注目を集めるのは3位に躍進した東芝だろう。最下位だった昨シーズンから急浮上を見せた裏には、ロングシュートで勝利に貢献したルーキー辻直人と、2年目にして安定感が増した司令塔・篠山竜青の存在が光る。東芝のカギを握る2人に、レギュラーシーズンを振り返りながら、プレーオフに向けての抱負を語ってもらった。

インタビュー・文/松原貴実  写真/小永吉陽子

「プレーオフは思いっきり楽しみたい!」

大躍進の東芝をリードする 篠山竜青 × 辻 直人

昨年10月5日に開幕したJBL 2012~2013もレギュラーシーズン全日程を終え、いよいよ大詰めを迎えた。
プレーオフ進出を決めた4チームの中で、もっとも注目を集めたのは
29勝13敗、勝率0.76で3位をマークした東芝だろう。
なにしろ1年前は8勝34敗で最下位。その泥沼シーズンから見事な急浮上を見せた裏には
いくつもの要因があるだろうが、中でも開幕戦から先発メンバーに抜擢され、
得意のロングシュートで勝利に貢献したルーキー辻直人の存在が光る。
さらには2年目にして安定感が増した司令塔・篠山竜青のリード力も見逃せない。
JBLラストシーズンの大舞台で波に乗る東芝がどんな活躍を見せてくれるのか。
そのカギを握る2人にレギュラーシーズンを振り返りながら、プレーオフに向けての抱負を語ってもらった。

「辻にはここ1本を決めてくれるという期待感があります」(篠山)

篠山竜青(しのやま・りゅうせい)/1988年生まれ/24歳/178㎝/PG/日本大出身

――昨シーズンは敗戦が続く苦しいシーズンでしたが、あらためて振り返ってみてどんな感想を持っていますか?

篠山 自分が入る前の年は暫定(東日本大震災の影響によりリーグ中止になった時点での成績)とはいえ4位でしたし、東芝はプレーオフ争いをしているチームというイメージがあったのですが、自分が入った年の前半戦は本当に勝てなくて、こんなにも勝てないものなのかという思いがありました。

新人ながら(チームを)なんとかしたいという気持ちはありましたが、それがスタメンになってからはより強くなったというか。オールジャパンが終わった後半戦からは、現状を受け入れ、その中で自分ができることが少しずつわかってきたこともあり、ある意味、開き直ってやっていくことでチームの状態も徐々によくなっていったような気がします。

――辻選手はどうですか? 自分が入ると決めたチームが連敗しているのを見て…。

 やっば―、マジかよと(笑)。でも、そのころは自分自身インカレなんかで大変だったし、言葉は悪いですがまだ自分が東芝の一員でもなかったので、それほど(深く)考えることはなかったです。ただ1度東芝の試合を観に行ったとき、自分がもしここにいたらこうしてたのに…とか、その試合は外角シュートをあまり打ってなかったので、その時点で自分が持っているスキルは通用するんじゃないかなとか感じました。

――実際にチームに入ってからはどうでした? チームにはすぐ馴染みましたか?

 僕は見かけによらず人見知りなんで、自分からすぐにチームに馴染めないっていうか。時間が経てば大丈夫なんですが。ナイーブなんですね。

篠山 ハハハハ…。こいつは入ってすぐ「この時期にノースリーブはちょっと浮きますかね?」とか「赤いバスパンに黒のTシャツは東芝的にはなしですか?」とか「みんなどういう練習着でやってるんですか?」とか、いちいちいちいち聞いてくるんです。し、し、知るかい!(笑)

 だって、どういうとこかわからないじゃないですか。

篠山 いや、あれは多分うかがってたんですよ。この人にはどれほど付け込めるかどうか。栗原はもうイケるなぁと思ったら、もうすぐにガンガンタメ口だし、それを徐々に広げていくタイプですね。

 いきますね。

篠山 いくよな。

 今はもうすっかりガンガンです。

「大学時代、竜青さんのプレーを見て一緒にやりたいと思いました」(辻)

辻直人(つじ・なおと)/1989年生まれ/23歳/185㎝/SG/青山学院大出身

――大学時代も対戦しているわけですが、こうしてチームメイトになる前の互いの印象は?

 日大とやったときよりセレクトチームに入ったときの竜青さんの方が印象深いです。竜青さんはAチームでやってて、僕はBチームだったんですが、(プレーを見て)すごいな、一緒にやってみたいなと思いました。僕が東芝に入りたいと思った理由の1つにそれもあるかもしれません。

篠山 こいつは大学の春休みに練習に来てたんですが、積極的にプレーしているのを見てすごいなと思いました。僕は今まで高校とか、大学とか、鳴り物入りの後輩が入ってくるという経験をあまりしたことがなかったんですね。海斗(日大の後輩・石川海斗)とかはポジションが同じだったので一緒にコートに立つことはあんまりなかったし。

でも、こいつは青学(青山学院大)ですごい成績を残してきているし、竜馬(青山学院大PG、現アイシンの橋本竜馬)だったらここでパスくれるのになぁとか、青学だったらみんなでこういうプレーをしてたのに、東芝は違うじゃねぇかとか思われたら嫌だなぁというのはありました。人知れず僕にもそういうところがあるんです。

 竜青さんもナイーブなんですね(笑)

――では、チームメイトになった今年のレギュラーシーズンを振り返っての感想を聞かせてください。ニック・ファジーカス選手、ジュフ・磨々道選手の加入も大きな戦力になったと思うのですが。

篠山 そうですね。ただ、前半戦はそれが自分にとってマイナスになってしまった面がありました。得点も伸びなかったし、何もしないで終わったゲームもあったりして。それで後半戦は隙があったら自分もどんどん攻めて行こうと意識して、コンスタントに二桁得点できるようになりました。

今はバランス的にもチームの攻撃の抽斗(ひきだし)が増えているので、相手に的を絞らせないようなオフェンスをちょっとずつ察知しながら楽しくやれてますね。ポイントガードとしても少しずつ余裕が出てきて、後半戦はいい意味で覚めた感じでゲームを見られるようになったと思います。

 オフェンス面では自分がやりたいようにやらせてもらっているし、そのおかげでこういうときはこうした方がいいとか学ぶこともできたし、通用するプレーともっとスキルが必要なプレーがわかってきて、自分なりにレベルアップできたのではないかと思っています。

ただ、得点が必要だからもっと攻めなくちゃいけないという気持ちがあって、その分ディフェンスをおろそかにしてしまった部分がありました。それがリーグ中盤ぐらいにやっぱり出てきてしまって、ディフェンス面でチームに負担をかけてしまったところがあると思います。1対1でもちゃんとやれば守れるのに、それに気づけなかったというか、もったいない時期がありました。それに気づいてからはちゃんと頑張ったんですが、それでも守りきれない選手がいて…。

――たとえば?

 川村(卓也、リンク栃木)さんとか金丸(晃輔、パナソニック)さんとか古川(孝敏、アイシン)さんとか。スクリーンを使って動き回る選手というのは、ついていて当然しんどいんですが、トップレベルの選手になるとそれプラス個人技で点を取りにくるから、やっぱり一人で守るのはキツイです。自分に足りないディフェンスの足の強さだったり、身体の強さだったり、これからの課題となるものが見つかりました。

――篠山選手はそんな辻選手とプレーして、先輩としてどんな印象を持ちましたか?

篠山 辻がチームの勝ち星に貢献しているのは間違いないし、ここ1本を決めてくれるだろうという期待感はあります。アイコンタクトとかあうんの呼吸とか、まだそこまではいってませんが、自分がディフェンスに囲まれて周りの状況が見えない場面でも「スペースが空いてるところにパスを出しておけば辻が走り込んでくるだろう」みたいなのはありますね。実際、パス出したらそこにやっぱり辻がいたということもあったし。これはまだたま~になんですが(笑)、これからはそういったプレーがもっと増えてくればいいと思っています。

 僕から見る竜青さんは、走り込んでくるとき、切れ込んでいくときのスピードがすごいと思うし、中に入ってからのシュートもうまいですよね。それと自分がボールを持ってるときに一瞬ですがどこにパスを出そうか迷うときがある。でも、その瞬間に竜青さんは動き出してくれていて、そこに(パスを)出しとけば、必ずそこに動いてくれてるっていうのがあります。

1 / 212