東アジア選手3位。日本が得たものはあったのか
勝利への貪欲さが未来を切り開く!

文・写真/三上 太

東アジア選手権2013 日本代表総括レポート

勝利への貪欲さが未来を切り開く!

東アジア選手権3位――この大会で得たものはあったのか

目標が見えなかった日本の戦い

 5月16日から21日まで韓国・仁川でおこなわれた「第3回東アジアバスケットボール選手権大会」。日本は3位という結果に終わったわけだが、これをどう総括すべきか。

 JBLが4月下旬に終わったことで、日本代表として合宿ができたのは大会前の2週間ほど。しかも3人の大学生は「第62回関東大学バスケットボール選手権大会」に出場していたため、チームへの合流が大会直前となった。かつ鈴木貴美一ヘッドコーチが今大会の中心メンバーの1人に挙げた青野文彦が加入したことで、昨年の「第4回FIBAアジアカップ」のときとスタイルに変更があったと竹内公輔が明かしている。そういった諸条件の下で3位に入賞したことは鈴木ヘッドコーチが言うように「最低限の目標を達成できた」といえる。今大会最大の目的、8月にフィリピン・マニラでおこなわれる「第27回FIBAアジア男子バスケットボール選手権大会」への出場権もしっかりと確保しており、目標はクリアしたと言っていい。

韓国は将来性ある8人の大学生を選出し、地元で3連覇を飾った。国際大会のたびに成長を遂げているセンターのキム・ジョンギュ(207㎝、21歳)

 しかしそれで「よかった。さぁ、8月のアジア選手権に向けて頑張ろう」と幕引きをしてもいいのだろうか。

 もちろん8月に向かうしかないし――すでに5月末から合宿は再スタートしている――。大会最終日に鈴木ヘッドコーチが「課題もしっかりと見えた。ダメな部分を徹底的に練習しなければいけない」と言っていることからも、チームもこれでよしとは思っていないのだろう。

 それでも釈然としないところがある。

 そもそもこの東アジア選手権は日本にとって、8月のアジア選手権や、その先の未来につながる一歩になったのだろうか? 現地で見る限り、そうは思えなかった。日本は本気で勝つ気持ちがあったのか、甚だ疑問なのである。

「(今大会は)アジア選手権の切符をしっかり取ることが一番の目的であって、今の時点で完成度の高いチームを作ることが目的ではありません。8月に自分たちの目指すバスケットをすることが目的なんです」

 鈴木ヘッドコーチはそう言っているが、自分たちのバスケットを築くためにも、結果としての勝敗は別にしても、本気で勝つためにプレイする必要があったのではないか。

中国B代表は2005年東アジア競技大会から日本に5連敗を喫していた。今大会は8年ぶりの日本戦勝利となった。中国の未来を背負って立つ#4グオ・アイルン(PG、192㎝、19歳)と#14ワン・ジェリン(PF、214㎝、19歳)

 たとえば優勝した韓国は地元開催で、しかも東アジア選手権3連覇がかかっている大会だった。中国はここ数年、東アジア選手権レベルの大会で日本に5連敗している。今大会の命題の1つに日本戦の連敗阻止があったと言われている。そのうえで優勝しようとしていた。つまり、ともに勝つためのモチベーションがあった上で試合に臨んでいるわけだ。

 しかも日本が2016年、2020年のオリンピック出場に向けて若手の育成を考えているのと同様に、韓国は12人中8人が現役の大学生(しかも国内大学リーグ戦中)だったし、中国も日本と同じオリンピックに向けた平均年齢21.2歳の若いチームなのだ。さらにいえば、韓国も中国もけっして練習時間が長かったわけではない(これらについては大会期間中の韓国、中国の記事を読んでいただきたい)。同じような状況下において差が出てしまったのは、最後に「オレたちが勝つんだ!」という気持ちの差ではなかったか。

 精神論と言われればそれまでだが、根底に「相手を倒して、自分たちが勝つ」という精神がなくて、いかに勝つというのか。少なくとも日本からはゲームに勝つ意志、気迫のようなものが見えなかった。いや、もしかしたら一人ひとりはそれぞれ持っていたのかもしれないが、チーム全体としての意志は伝わってこなかった。

 だがもう一度、思い返してほしい。ここは日本代表である。日本のバスケットに関わる人々――選手であれ、コーチであれ、そしてファンさえもが一番尊敬すべき、頂点に位置するチームである。たとえ練習期間が短く、学生の合流が遅れ、チームの根幹である戦術が変わったとしても、日本代表として目の前の「勝利」に向かって一つにならなければ、すべての関係者を裏切ることになるし、選手やチームにとってもその経験は次につながらない。
 
 

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