目指すは大型化と若手の育成
10月の本番までにアジア対策をどれだけ出来るか

文/舟山 緑  写真/小永吉陽子、細田季里

キャプテンを務める大神雄子を中心に、チームはまとまりの良さを見せている

大型化と若手の育成をめざす女子代表
本番までにアジア対策をどれだけできるか

海外遠征、モザンビークとの3連戦

フィジカルの強さ、身体能力の高さでゴールを奪いにきたモザンビーク
王―渡嘉敷のインサイド、宮元らの外角が機能して勝利

万全なコンディションで代表に挑むのは初となる渡嘉敷来夢。チームの柱となってほしい存在

 モザンビークとの国際親善試合3連戦は、日本の3連勝で終わった。第1戦こそ、相手が長時間の旅の疲れによって最悪のコンディションだったこともあり、日本が100点ゲームで大勝した。しかし、2戦目以降はモザンビークもコンディションを整え、気迫あるプレーを見せてきた。これに対して日本は、王岑静と渡嘉敷来夢がポストプレーで確実に得点。外角では宮元美智子が要所で3ポイントを沈めた。特に3戦目は、スティールやディフェンス・リバウンドからのブレークなど走るバスケットも随所に出て、代々木に詰めかけたファンを大いに湧かせた。

 王-渡嘉敷のインサイドを起点に、中と外のバランスのとれた攻めとブレークに走る展開。日本が得意とするプレッシャー・ディフェンスは、モザンビークを再三「24秒オーバー」に追い込んだ。内海ヘッドコーチはこの3連戦を総括して「9月のアフリカ選手権に向けて意気込んでいるチームに対して、自分たちのゲームができた」と総括した。チームが目指すスタイルが第3戦では特によく出たとも言えるが、この3連戦から短絡的に「チーム作りは順調」と評価を下すのは早計だろう。

 理由は、モザンビークが「勝って当然」の格下の相手だったからだ。FIBAランキングは、日本の18位に対して相手は38位。アフリカではマリ(同17位)、セネガル(同20位)、アンゴラ(同23位)、ナイジェリア(同26位)に続いて目下5番手なのだ。親善試合2戦目の前半、相手にリードを許して主導権を握られた時間帯はあったが、それ以外は日本が優位にゲームを進めた。この連戦を通して国際試合の“経験”が積めたとは言えるが、チーム強化の点からは物足りなかったと言えるのではないか。

 モザンビークは昨年、トルコで開催されたオリンピック世界最終予選(OQT)では韓国と競っているが、その時に活躍したエースセンターは今回、来日しなかった。195㎝のクラリッセ・マチェングアナは、現在39歳の大ベテラン。1999年から4シーズン、WNBAでプレーした経歴があり、その後はスペインでプレー。現在はイタリアのクラブチームに所属している。

 国際舞台での経験豊富なこのベテランセンターに代わって、今回は22歳の#11ドンゲ・レイア(184㎝/C)と24歳の#14マファネラ・オデリア(178㎝/CF)をインサイドの核として、OQTを経験した9名に若手を加えて来日した。チームの最長身は187㎝の#15ジーモ・デオリンダ(25歳/C)だった。

親善試合ではマンツーマン主体だったが、ディフェンスの種類を増やし、コンビネーションを深めることも今後の課題

 32歳の司令塔、ガードの#5グレラ・デオリンダはベテランらしいプレーでチームを牽引したが、チーム全体でシュートの確率がイマイチだった。特に外角のシュート率が悪かった。一方で目を見張ったのが、#11ドンゲや#14マファネラらのゴールへの執念だ。ゴール下での身体の使い方が非常に上手く、ディフェンスのマークを受けながらも、強引とも見えるプレーで再三、ゴールを決めてきた。

 フィジカルの強さはディフェンス面でも発揮された。第2、第3戦は特に、王や渡嘉敷がポジション取りで押し負かされ、我慢できずに外に出ることとなって、面とりがうまく出来ない場面がたびたびあった。

 また、内海知秀ヘッドコーチが反省点に挙げたのは、「リバウンド」だ。第2戦は日本38本に対して相手は35本とわずかに上回ったが、第3戦では31本対42本で、完全に負けている。モザンビークは、ゴール下で何度もオフェンス・リバウンドに跳んではシュートをねじ込んできた。

 渡嘉敷は「アフリカのチームと対戦したのは初めて。ヨーロッパの選手は技術で勝負してきたが、モザンビークはパワー系で身体の当たりが強かった。とにかく身体の当て方がうまかった」と感想をもらした。内海ヘッドコーチもこの3連戦を総括して「センター陣が当たりの強いチームに対して、どれだけ嫌にならずに我慢して自分たちのプレーが冷静にできるか」と、今後の課題を挙げた。
 
 

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