第10回 U-19女子世界選手権
「タフな試合の連続になるので、総力戦で戦ってきたい」

インタビュー・文・写真/舟山 緑

前回の7位の成績を超えるべく、大会に臨むU19女子代表

U-19女子世界選手権
「タフな試合の連続になるので、総力戦で戦ってきたい」

「第10回FIBA U-19女子世界選手権大会」が7月18日、リトアニアで開幕した。
U19女子日本代表は、7月上旬、最終合宿を東京で行った後、セルビアへと遠征。
そこでセルビア代表と練習ゲームをこなした後、開催地リトアニアへと入った。
FIBAランキング12位の日本は、予選ラウンドでスペイン(同ランキング2位)、
アルゼンチン(同8位)、オーストラリア(同14位)の強豪国と激突する。
今回のメンバーの中には、昨年8月の「FIBA U17女子世界選手権大会」で4位と奮闘した
中村優花(柴田女子高→JX-ENEOS)や畠中春香(大阪薫英女学院高→大阪人間科学大)らがおり、
中村は同大会でベスト5にも選出された。
また、キャプテンの藤岡麻菜美(筑波大)は、これまでU-16とU-18でアジア選手権を、さらに
U-17、U-19 で世界選手権を経験している。
出発直前に一色建志ヘッドコーチと藤岡キャプテン、河村美幸(桜花学園高→シャンソン)、
中村優花、増岡加奈子(山村学園高→シャンソン)の4選手に
「世界」の舞台に挑戦する意気込みを聞いた。 
 
 
一色建志ヘッドコーチ・インタビュー

ベストメンバーで臨む世界選手権                   

アジア地区予選から7カ月を経て、個々がレベルアップ
ディフェンスとスピード、外角のシュートで勝負

――昨年11月のアジア地区予選で準優勝したメンバーから少しメンバーが入れ替わっています。再選考しての結果ですか。

大会期間が7月半ばから下旬にかけてなので、高校生はインターハイ出場などがあると厳しいので、アジア予選のメンバーを見直しました。宮崎早織(聖カタリナ女高3年)を外して、熊美里(聖カタリナ女高→広島大1年)を入れました。また、ケガでリハビリ中の松本咲(三菱電機)に代わって、高校生の西岡里紗(大阪桐蔭高2年)を入れました。西岡は、私がブロック大会などを観戦して決めました。インターハイへの出場がなく、184㎝ながら動けるし、走れるセンターで、シュートセンスもいいものを持っています。今回のメンバーは今、考えられるベストメンバーだと思います。

――アジア地区予選から7カ月。合宿での手応えはどうでしたか。

個々がそれぞれレベルアップしているのを感じます。実業団に入団したメンバーは、まだ3カ月余りですが、所属チームで鍛えられているだけあって気持ちが違いますし、プレーも伸びてきています。大学生も学年が1つ上がり、やはりレベルアップしています。そんな中でも期待をしているのが、増岡加奈子(山村学園高→シャンソン化粧品)、中村優花(柴田女子高→JX-ENEOS)です。増岡は高校時代よりもシュートレンジが広くなってきました。中村は、U-17で注目されたドライブに期待しています。学生の中では藤岡麻菜美(筑波大)と早坂彰恵(筑波大)、畠中春香(大阪薫英女学院高→大阪人間科学大)らのプレーが伸びていますから、アジア予選よりもかなり期待できます。早坂は昨年、まだ遠慮がありましたが、今回は思い切りやってくれると思いますし、藤岡はU-16から国際大会の経験が豊富なので、そこを生かしてほしいと思っています。

――外角のシューター陣はどうですか。

昨年のアジア地区予選では、田村未来(聖カタリナ女高→早稲田大)のシュート力に期待しましたが、初めてのアジアということで経験不足が出てしまいました。決勝の中国との戦いでは、田村や増岡、宮崎らのいずれかの3ポイントが決まっていたら勝負は分からなかったと思います。去年、こうした悔しい経験をした分、今回はレベルアップしたプレーを見せてほしいですね。

――チームのスタイルは、ディフェンスを頑張ってブレークを出す、外角を決めるというスタイルになりますか。

そうですね。それは日本にとって変わらないテーマです。パワーで負けずに、スピードとシュート力で勝負する。それは合宿で何度も念を押しています。ディフェンスは、プレッシャーでミスを誘う守りを強化してきました。世界選手権の相手はどのチームも大きいので、そのためのディフェンスを用意しました。

――リバウンド対策は?

ディフェンス・リバウンドへの意識を徹底してきました。「5人で取りにいく」といっても、なかなか出来ていなかったので、外のガード陣2人も積極的にリバウンドに飛び込むことを意識づけしてきました。

 
 
予選ラウンドで強豪スペイン、オーストラリアと対戦                

私も選手も、「日本のバスケが遅れている」という感覚はない。
チャレンジャーとして、どれだけ勝負できるか。

――一色先生は聖カタリナ女子高のヘッドコーチを退いて、今年度からアンダーカテゴリ代表チームの専任ヘッドコーチに就任されました。チーム作りで大事にしていることとは?

アンダーカテゴリの代表チームは、最終的に日本代表がオリンピック出場をめざすために、そこにつなげていく役割があります。ヘッドコーチとして最大限に力を発揮できる環境を与えていただいているので、ある意味、結果が求められますから、高校のコーチよりも大変です。ただし、日本代表と違うのは、代表が長期で強化合宿を行えるのに対して、アンダーカテゴリは3~4日の短い合宿を2、3回しかやれないことです。

そんな中で私が重視しているのは、選ばれたメンバー個々が持っている長所を最大限に引き出すことでチームを勝利に導くことです。だから、チームでのルールも最小限の約束事しか決めず、柔軟にチームづくりを行っています。

――さて、予選ラウンドは、スペイン、オーストラリア、アルゼンチンと同グループです。初戦がスペイン。試合の入り方が重要になりますね。。

そうですね。スペインもオーストラリアも強いと思います。「一戦必勝」で臨むだけです。

――日本はU-16やU-17の大会で、プレッシャー・ディフェンスからスピードを生かした展開が通用して結果を残してきました。ただし、カテゴリが上がるにつれて、ライバル国はグンとレベルアップしてきます。このU-19 ではどうでしょうか。

前回のチリ大会では梅嵜英毅ヘッドコーチの下に7位、その前のタイでの大会は後藤敏博ヘッドコーチが率いて出場しています。過去の大会がどうだったのかは、聞いています。私自身は初めての「世界選手権」なので、イメージは「中国」と毎回対戦するつもりです。チャレンジャーとして、私も選手も思い切り戦うしかありません。

――選手に「これだけは期待したい」というのは、どんなことですか。

私自身は、日本のバスケットが遅れているという感覚はありません。選手の中にも「苦手意識」はないと思います。やり方次第で十分に勝負できると思っています。国際試合を戦ってきていつも思うことは、日本の選手は本当に上手いと思います。ただし、欧米のチームや中国などはパワーが違いますから、それで押し切ってきてシュートを決めてしまう。その差ですね。

今回のメンバーの中にはU-17世界選手権を経験した選手もいますが、「世界」を知らないメンバーもいます。そこは「怖いもの知らず」で、相手に向かっていってほしいです。アジア予選の決勝では、高さのある中国に6点差と迫りました。勝負どころでどれだけ踏ん張れるか、大事なシュートを決めることができるかにかかってきます。

――ズバリ、目標は?

一戦一戦、勝ちをめざして戦うのみです。大会は長丁場で、タフな試合が続くと思いますので、総力戦で戦うのみです。選手が「世界」の舞台で一つでも多くのものを吸収し、個人としてもチームとしても多くの収穫を持ち帰りたいと思っています。
 
 
◆次ページでは藤岡麻菜美、河村美幸、中村優花、増岡加奈子選手に大会への抱負を聞く
 

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