今こそ、トップリーグと日本代表の連携を
アジア9位の惨敗で痛感した日常強化の重要性

文・写真/小永吉陽子

日本代表は9位に終わり、決勝トーナメント進出できず

アジア選手権検証レポート――男子代表の熱のなさの実態と改善策
アジア9位の惨敗で痛感した日常強化の重要性

8位、10位、7位、9位――。
アジア選手権でまったく力を発揮することができない惨状が続いている男子代表。
日本が低迷から脱することができない最大の理由は、大会ごとに、コーチングスタッフや選手
強化方針をリセットして“経験の継承”をしてこなかったことに尽きる。
課題が山積する中で、長期的な視野を持って、若い世代からの育成と強化のシステムを構築することは急務だろう。
だがその前に、先送りをせずに現実を直視しなければならない問題がある。
日本代表のコートから“戦うエネルギー”が伝わってこないことだ。
その原因は日常の国内リーグが競争になっていないために、国際舞台で尻込みしてしまうのではないか。
同じ過ちを繰り返しているということは、根本から原因を考え、改める必要があるということ。
アジア選手権での戦いを検証し、惨敗の中で得た選手の気づきから、今すぐに取り掛かれる改善策を探りたい。

判断力とチャレンジ意欲に欠けた日本は、
強烈な個性を放つアジアの熱量の中に埋もれた

イランは2大会ぶり3度目のアジア制覇。コートの内外で結束力を見せ、堂々の王者復活

 今大会は混戦と化したアジアの中で、さらなる熱狂が渦を巻いていた大会だった。躍進を遂げたフィリピン、韓国、チャイニーズ・タイペイに共通していえるのは、ドライブインとワイドオープンのシュートのどちらも決め切るガードとフォワード陣が目立ったことだ。それはディフェンスの変化に対応してオフボールの状態でスクリーンからノーマークを作り出すチャンスを何度も仕掛けていたことによるものだった。

 ディフェンスでアグレッシブにつくのは、国際大会ではもはや当たり前。その上をいくオフェンスを生み出し、自分たちのバスケットボールを貫き通す姿からは、“個性”がコート上にあふれていた。イランの優勝は、そうした個性あふれる国を凌駕する高さと、各自が役割を果たす成熟さを持ち、総合力では一枚上手の力を見せつけていた。

 そんな個性とチームカラーが強烈に輝きを放った大会の中では、判断力に欠けた日本のスタイルは浮上することはなかった。初戦のカタール戦で逆転負けを食らった日本は「チームに勢いがなく、しっくりこない」(桜井)まま臨み、2次ラウンドでフィリピン、チャイニーズ・タイペイ、ヨルダンに3連敗。フィリピン戦は1万8千人の観客に飲みこまれ、チャイニーズ・タイペイとヨルダンには痛恨のターンオーバーから失点し、しぶといリバウンドに押し込まれた。ヨルダンは前回準優勝メンバーがごっそりと抜け、昨年のオリンピック最終予選以降に新体制になったばかりのチーム。日本と状況は似ている。それでも力及ばずだったのだから、若さだけを敗因にすることはできない。まして、昨年のアジアカップで披露したディフェンスで一丸となるチームカラーまでもが失われた。もはや同じことばかり繰り返しているこの状態は“重症”だといえる。

 失意の9位に終わり、キャプテンの桜井良太は「日本はまだまだやるべきことがたくさんある」と敗因を述べたうえで、その具体例を示した。

「日本は個人で打開できる場面があまりにも少なく、そこは他の国と大きな差を痛感した。ディフェンスでは全員の脚がよく動く戦い方をしないと、アジアでは戦っていけない。若いチームにしたのならもっと遠慮なく走る練習をするべきだし、もっと声を出してチームを盛り上げていくようなこともこれからは必要」

 日本は勝利のために汗をかくことができないチームだった。多くのことを怠ったがゆえに、この順位だったのだ。
 
 

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