アジア選手権アフターレポート
「力が半分も出せず。だけど、この経験は無駄にしたくない」

インタビュー・文/舟山 緑  写真/小永吉陽子

6番手の選手としての重責を果たした久手堅笑美

「力が半分も出せず。だけど、
この経験は無駄にしたくない」

久手堅笑美
(Emi , KUDEKEN /165㎝/PG/29歳/日本代表#9/トヨタ自動車#25)

日本代表となって3年目。2年前の長崎・大村でのアジア選手権、
そして昨年のオリンピック最終予選を経て、
ポイントガードである久手堅笑美の存在感は、年々大きなものになっている。
吉田亜沙美、大神雄子らをバックアップする貴重な6番手として
内海知秀ヘッドコーチの信頼も厚かった。
このアジア選手権での手応えはどうだったのか、今後の課題とともに聞いた。
 
 

若いチームだからこその強みと自分の出来

「アジア優勝は、自チームでの優勝とはまた違った感動でした。
ただ、自分の力は半分も出せなかったという反省も残りました」

前から当たるアグレッシブなディフェンスで貢献。6番手としてコートに立っても、ディフェンスの威力は落ちなかった

――アジアチャンピオンとして表彰台上がった感想を聞かせてください。

自分が決勝のコートに出た・出ないに関係なく、本当にうれしかったです。あの感激は誰もが体験できることじゃありませんから。代表に入ること自体もそうだし、その中でアジア優勝という素晴らしい経験をさせてもらいました。トヨタとしてオールジャパンで優勝したとき(2013年1月)もうれしかったですが、それとはまた違ったうれしさでした。勝った瞬間もうれしかったけれど、日の丸が掲揚された瞬間も感動でした。表彰式で「君が代」を歌うことを目標にやってきたので、本当にうれしかったです。

――決勝戦では、いつ出てもいいように準備をしていましたか。

はい。予選ラウンドの韓国戦では自分の力が出せませんでした。その悔しさがあったので、「そこから逃げていては、ここにいる意味がない」と思い、「次に出たら、しっかり自分のプレーをやろう」と準備をしていました。結果として出られませんでしたが、優勝できたのでよかったです。

――ベンチではどのように試合を見ていましたか。

ワンプレーごとに、今、どういう状況なのかをつぶさに分析していました。流れが日本にあったので、こういう時こそ自分のプレーが思い切りできると思っていました。なので、コートに出たら自分のプレーを優先してやろうと。また、流れが悪くなった時は、今、何をすべきかを冷静に考えていました。

――勝つことでチームオフェンスもチームディフェンスもよくなっていき、非常にまとまっていったように感じます。代表歴3年目のガードとして、どう感じていましたか。

今年はチームが一気に若返り、若いから「これをやろう!」と言うと、「よーし!」とみんなが乗ってくれます。チーム全体が若い分、崩れた時に立て直すのが難しいというか、できない部分もあったりしますが、乗った時は乗っていけるというか、それが今回は見事にハマッた感じです。そんな流れがあったので、「あ、これは勝てるな」という空気を大会中、ずっと感じていました。

私自身、今までは中堅として上の人たちに引っ張ってもらってきましたが、今年は下のメンバーの若さとか元気にすごく助けられました(笑)。下から押し上げてもらい、楽しくできた感じです。下級生も「やるときはやる!」というように遠慮なくプレーするので、私も余分な気を遣わずに思い切ってできました。だから雰囲気は明るかったです。

――その中で、今大会の自分自身の出来はどうでしたか。

プレータイムが少なかったので、100%、力が出せたかと言えば、半分にも満たないですが、それは自分の実力でもあります……。代表として活動したこの半年間で、自分の努力がまだまだ足りなかったということになると思います。コートに出たときは、機動力を生かした日本のバスケットを貫くことを考えながらゲームを作っていました。ただ、そのゲームメイクの意識と自分が得点をねらう気持ちの中で、少し迷いが生じて中途半端になった部分もありました。

大事な場面で1番を任せてもらった訳ですから、そこで十分に期待に応えたかったという反省があります。今はその経験を無駄にしたくないですね。練習では、自分がやるべきことはしっかりできたと思うので、あとはそれを試合でどう表現していくだけだと思っています。
 
 

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