優勝・東海大
同級生――4年生たちが守った約束

文/松原貴実  写真/一柳英男

2年連続で優勝を遂げた東海大。ラスト1分58秒からは4年生5人が一緒にコートに立ち、歓喜のときを迎えた

同級生
――4年生たちが守った約束――

(優勝・東海大)
 
【試合結果】
決勝 東海大 73(19-24.14-6.21-13.19-11)54 明治大
準決勝 東海大 70(28-17.4-20.22-16.16-8)61 拓殖大
3回戦 東海大 77(20-11.17-12.24-15.16-26)64 専修大
 2回戦 東海大 84(20-17.17-16.23-19.24-21)73 慶応義塾大
1回戦 東海大 74(20-7.14-11.26-14.14-8)40 広島大

 

「どの学年より努力を積み重ねてきた自信はあります。だからこそお互いを信頼できた。
そんな仲間に恵まれたことに今、感謝しかありません」(田中大貴)

 大学の最後の大会、インカレは4年生の大会だと思う。たとえ下級生主体のチームであったとしても、たとえベンチを温めるだけの最上級生であったとしても、最後の大会に懸ける4年生たちの思いはみな等しく、熱い。
 ケガで腫れ上がった足をバッシュに押し込んでコートを走った専修大の宇都直輝、2回戦で東海大に敗れても「慶應のバスケットを下級生たちにつなぐことはできた」と笑った蛯名涼、準決勝で敗れ涙した青山学院大の永吉佑也も、「自分が不甲斐ない」と唇を噛んだ拓殖大の藤井祐眞も、みんなそれぞれの4年間をそれぞれの場所で走り続けてきた。
 いつか振り返る4年間の中にはきっと誰かの顔がある。思い出す大学のコートにはともに戦った『同級生』の顔がきっと浮かんでいるはずだ。

 東海大対明治大の決勝戦。残り1分58秒、69-48と東海大がリードした場面で選手交代のブザーが鳴った。大きな拍手に送られてコートに出たのは和田直樹、梅林聡貴、佐藤正成の東海大4年生。迎えた田中大貴、須田侑太郎とともに5人の4年生がハドルを組む。
「コートの上に4年生がそろったとき、やっぱりグッと胸にこみ上げるものがあった。入学したてのころ、約束したから。俺たちの代でインカレを勝とうと、絶対優勝しようとみんなで約束したから」(田中)
 残り35秒、田中からパスを受けた梅林が相手のディフェンスをかわしゴール下で71点目のシュートを決めると、ベンチの後輩たちが歓声を上げて飛び跳ねた。
 
 

梅林聡貴の意地

梅林聡貴(うめばやしとしたか/198㎝/C/東海大相模高)

 198cmの梅林は東海大相模中在学中からアンダーカテゴリーのトップエンデバーに選出され、将来楽しみな選手として注目されていた。東海大相模高時代もU-18代表候補に選ばれ、U-18トップエンデバーでは田中とも一緒にプレーした。

「大貴(田中)と初めて話したのはそのときかな。2人とも東海大進学が決まっていたので、これからはチームメイトになるんだねとか、そんな話をしたのを覚えています」

 しかし、進んだ東海大で1年生から先発メンバーに抜擢された田中に対し、梅林の出番はほとんどなかった。

「高校までずっとスタメンで使ってもらい、自分中心のチームでやってきたのに、大学ではガラッと変わって全然ゲームに出られなくなりました。フィジカル面も技術面も全然追いつかなくて…。使ってもらえない理由はわかっていたけど、それでもゲームに出られない、チームに貢献できない自分にずっともどかしさを感じていました」

 バスケットを辞めようと思ったのは3年生の終わり。「このままチームにいても出番はないし、なんの貢献もできないなら続けて行く意味があるのかなぁと考えてしまって」

 将来を嘱望された選手としてのプライドもあっただろう。その分、思うように期待に応えられない自分に苛立っていたのかもしれない。毎日の練習の中で「辞めたい」という思いが少しずつ膨らんでいった。

「思い止まることができたのは、同期に相談したとき、みんながかけてくれた言葉のおかげだった。チームには絶対おまえが必要だって、俺たちの代で日本一になるって約束しただろって、みんな真剣に何度も言ってくれて、それを聞いたとき、何だか迷いが吹っ切れて、こいつらとこのチームで最後まで頑張ろうっていう気持ちになれたんです」

 最上級生になった秋のリーグ戦で梅林はこれまでにないプレータイムを得て、全勝優勝に大きく貢献した。

「晃佑(橋本、2年)のケガでもらったチャンスでしたが、これは自分の集大成なんだという思いで戦いました。インカレで晃佑が戻ってきたらまた自分の出番はなくなるかもしれないけど、そんなことはどうでもいい。今、自分が必要とされているコートの上で精いっぱい自分のプレーをしようと、そんな気持ちでした」
 
 

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