3位・青山学院大
真髄を追い求めた苦悩と最後に見せた底力

文/清水広美  写真/一柳英男 

インカレ準決勝・明治戦。外れたラストシュートを悔やんで号泣すると3年の高橋貴大を抱き寄せる4年生の畠山俊樹と高橋智行

真髄を追い求めた苦悩と
最後に見せた底力

(インカレ3位・青山学院大)

【試合結果】

3位決定戦 青山学院大 73(19-24.14-6.21-13.19-11)54 拓殖大
準決勝 明治大 59(18-21.19-7.8-13.14-15)56 青山学院大
3回戦 青山学院大 82(22-26.23-14.18-13.19-21)74 白鷗大
2回戦 青山学院大 104(30-12.28-14.21-12.25-32)70 中央大
1回戦 青山学院大 103(20-19.33-14.24-11.26-19)63 同志社大

 
 
今の大学界の中でNBLのチームを本気で倒そうと思って挑んでいるチームは、東海大と青山学院大の2校と断言していい。しかし、今年度のインカレで青学大は準決勝で明治大に無念の敗退を喫した。脚が止まってしまう青学大らしからぬバスケットを演じてしまった。だが、敗れた翌日の3位決定戦ではチームが一丸となって踏ん張り、持ち前の走るバスケットを取り戻した。ここでチームが一枚岩となった青学大は、オールジャパンでの気迫の戦いにつなげることができたのだ。

NBLを倒す――という高い目標を持つ青学大のバスケットボールの真髄とは何か。最終的にはチームが一つになることができたが、振り返ってみると、今シーズンの青学大は苦難の連続であり、インカレでの苦戦も予想できた事態ではあった。チームの顔である畠山俊樹キャプテンの話を交えながら、ここ数年の青学大の戦いぶりを検証してみたい。
 
 

勝ち続けることの難しさ。狂い始めた歯車との戦う日々

人一倍、声を出してチームを盛り立てたキャプテン畠山俊樹。ケガに泣いたがリーグの終盤から復帰した

 遡ること2年前――2年連続4回目のインカレ制覇、関東リーグ4年連続8回の優勝と輝かしい記録を残しているが、実はその時にインカレの敗因につながりかねない事件があったことを、当時のキャプテン、伊藤駿(現日立)は気付いていた。

 2年前のインカレの準々決勝。中央大を相手にスコア上では大差をつけたものの、内容ではミスが多く、トーナメントを勝ち上がっていく気迫に満ちたものではなかった。試合後、長谷川監督は「こんな試合だったらやらないほうがいい」と報道陣の前で激怒するシーンが色強く残っている。いよいよ本番となる準決勝の前に、2人の主力が緊急ミーティングを開いた。キャプテンの伊藤駿とシューターで得点源の辻直人(現東芝)の2人は、チームが本当の意味で一丸になっていないことを薄々感じ、深刻な危機だととらえて、話し合いの場を持ったのだ。そのピンチを解消すべくとった行動は「チームが一つになっていないと、お互いに溜まっていたものを吐き出すことでした」(伊藤)

 4年生たちが確認しあった内容は、翌朝にチームメイトに伝えられた。戦う気持ちの共通理解をより深めたことから始まり、チーム崩壊に導かれてもおかしくないその綻びは最小限に食い止められたのだった。

 この意思の統一によって、チームは強固な塊となった。準決勝では天理大を、決勝ではライバル東海大を退けて優勝にたどり着いた。試合後、伊藤駿は優勝できたのは、準々決勝後に「キャプテンである自分からして腐った魚の目をしていたことを正せたこと」だと語っている。

 2年前の青学大は、勝ち続けることによって、何かを失い、狂い始めていた。2、3年生が多くのプレータイムを得ていたこの年は、支えていた4年生たちの気持ちにもぐらつきが見えた。選手同士で思っていることがあっても、常勝チームの意識の高さゆえに、「口に出さなくてもお互い理解しているのではないか」――との勘違いがチーム内に充満した。気持ちのぐらつきから一つひとつのプレーを徹底することや、チームディフェンスに綻びや緩みが見えていた。にもかかわらず、それをないがしろにしてきた面は多かった。そのツケを、大会中の土壇場で「やっぱり、こんなことではいけない」と切羽詰った思いに、4年生がたどりつくことができたからこその優勝だった。

 同様なことが昨年度もチーム内で起きていた。エースである比江島慎(現アイシン)を筆頭にオールジャパンでレバンガを倒す勝因となったチームディフェンスを披露するまでは、チーム力という点では、綻びがそこかしこに見えていた。ゆえにインカレではチームで束になって戦う東海大に王者の座を明け渡している。一昨年はぐらつきかけたが、王座だけは守った。常勝チームのチーム作りの難しさという点においては、昨年度のほうが迷った1年だったのかもしれないしれない。
 
 

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