ジョージ・ワシントン大に進学決定
アメリカの地で決断した新たな一歩

文・写真/宮地陽子

セントトーマスモアでは中心選手として活躍している渡邊雄太

渡邊雄太、ジョージ・ワシントン大へ進学

アメリカの地で決断した新たな一歩

昨夏のアジア選手権終了後にアメリカに渡った渡邊雄太。
進学の準備段階といえるプレップスクール、セントトーマスモアでは
チームの中心選手として活躍し、大学進学に向けては熱心な勧誘が相次いだ。
その中から進学先に決めたのはNCAAディビジョンIに所属するジョージ・ワシントン大。
渡邊雄太の決意とアメリカでの夢とは――

アメリカの生活にもだいぶ慣れ、勉強と練習に励む毎日。2人部屋で寮生活をしている。後ろに見えるのは2段ベッド

「グレートになることを恐れるな」

 渡邊雄太は、セントトーマスモア(去年秋から所属している米コネチカット州のプレップスクール)のヘッドコーチ、ジェリ・クインから、そう言われた。

「アメリカの子供たちは、目の前にあるもの、自分の欲しいものを全部取るのに、ユウタは、2番目、3番目におさまっている。彼のいけないところは、多くの人に敬意を払いすぎることだ。自分がどれだけいい選手なのか、どれだけ一生懸命プレーしなくてはいけないのかを知り、持てる才能をすべて使うことを恐れなくなったとき、アメリカの中でも、グレートなプレイヤーになるチャンスが生まれる」

 もっとも、後から渡邊にそのことを聞くと、「別に恐れてはいないですけれど…」と苦笑した。

「僕、親や高校の先生からも、謙虚さや初心を忘れるなっていう指導をずっと受けてきたんです。だからグレートな選手になることは恐れてはいないですけれど、自分がすごい、とは思っていないです。日本の中では自分の力は飛びぬけていると思ってはいたんですけれど、そういう態度を出すとすごく怒られていた。僕も、自分の中で謙虚さは大事にしたいと思っています」

 それではと、この先の夢を聞いてみた。

「夢は、やっぱりNBAですね。NBAでプレーしたいからアメリカ行きを決意したというのもあります」と、きっぱりと言い切った。

 NBAは子供のころからずっと思い描いてきた夢だった。最初は無邪気な子供の夢だったが、まわりの友達が現実的になっていく中で、ずっと変わらずに思い続け、あえて、言葉に出し続けてきた。

「夢を曲げずに、その結果、まだまだ全然遠いですけれど、ちょっとずつ近づけているのかなと思います」

 近づけている、と言えるのは、アメリカでプレーして手応えを感じているからなのだろう。実際、セントトーマスモアでは毎試合スターターで出場し、チームの中心選手として活躍、チームの勝利に貢献している。

 9月にアメリカに着いて以来、数多くの大学から、熱心に勧誘された。2月頭には、その中から、ワシントンDCにあるNCAAディビジョンIのジョージ・ワシントン大(アトランティック10カンファレンス)に進学することを決めて、発表したばかりだ。

 ジョージ・ワシントン大のマイク・ロナーガン・ヘッドコーチからは、今春に卒業する現4年生のスターティング・フォワード、アイザイア・アームウッドの後釜として、スターターでの起用も考えていると、かなり熱心に勧誘されたという。「大学に入って、1年からスターターで出て、試合にどんどん絡んでいきたい」と言う渡邊にとって、決め手のひとつになった。現在19勝4敗(カンファレンス7勝2敗)と、チームが好成績なのも魅力的だった。

 もっとも、リクルートのときの言葉は単なる誘い文句。実際にスターターの座を勝ち取るのは簡単ではないというのは、渡邊自身もよく理解している。

 それでも…いや、だからこそ、ジョージ・ワシントンを選んだ。簡単な道のほうがよければ、日本の大学に進学していた。アメリカに出てきたのは、高いレベルの中で自分の力がどれだけ通用するかを試し、少しでも成長したいと思ったからなのだ。最初から自分がナンバーワンだとわかっている世界ではなく、努力してナンバーワンを勝ち取らなくてはいけない世界を選んだのだ。

 渡邊がアメリカに発つ前、地元、高松空港まで見送りに来てくれた父から、「NCAAトーナメントにお父さんとお母さんを招待してくれよ!」と頼まれたという。

 その目標に、今、一歩近づいた。
 
 
【予告】
渡邉雄太選手のロングインタビューを近日掲載予定。現地アメリカでのバスケットボールライフや生活の様子、進学先を決めた理由、日本代表のことを語る。