シーズン途中での無念の離脱
JX-ENEOSの司令塔・吉田亜沙美の試練

取材・文/舟山 緑  写真/都築宜久・小永吉陽子

ケガから1週間後、横須賀での山梨戦。吉田は悔しさを胸に秘めてベンチで声援を送っていた

吉田亜沙美
(Asami,YOSHIDA /JX-ENEOS#12/165㎝/26歳)

「自分が崩れたら、チームも崩れてしまう。
すごく葛藤したけれど、
今はベンチで一緒に戦っていくだけです!」

JX-ENEOSの司令塔、吉田亜沙美が左ヒザ前十字じん帯を断裂し、今季のプレーが絶望的となった。
2月15日のゲームで、リバウンドに跳んで着地で痛めてしまったのだ。
チームはオールジャパンで優勝。目下、2冠獲得をめざしてWリーグで首位を独走中だが、
エースガード吉田を欠いた今後の戦いはかなり厳しいものになってくる。
さらに残念でならないのは、9月に開催されるFIBA女子世界選手権(トルコ)への出場も難しいということだ。
人の何倍も負けん気の強い吉田が受けた衝撃とダメージは、計り知れない。
彼女が今、何を思い、残りの試合にどう臨もうとしているのか――。
辛い状況にあるにもかかわらず、吉田がインタビューに応じ、今の率直な気持ちを語ってくれた。
(取材日:2014年2月22日)

2月15日:対富士通戦で左ヒザのじん帯をケガ

「最初はやっぱり気持ちの整理ができず、どうしたらいいのかも分からなかったです。
でも、いろいろ考えて、リーグが終わるまで一緒に戦おうと思いました」

松葉杖で横須賀アリーナでの試合に参戦。腫れがひいた後に手術を行う予定だ

――2月15日の試合でケガをしたと聞き、ビックリしました。前十字じん帯の断裂だそうですが、大きなケガは初めてですね。

そうですね。これまで重いネンザはあったけれど、これほどのケガは初めてです。

――どのような状況だったのですか。

あの試合は本当に調子がよくて、身体がすごくキレていました。点差があいたので第1クォーターの途中からベンチに下がり、第2クォーターの途中からまたコートに出たんです。自分で打ったジャンプシュートが外れたんで、そのリバウンドに飛びこんで、着地したときに痛めてしまいました。誰かと接触した訳じゃなかったからよかったです。自爆だったんです。本当に自分のせいなので……。ケガしたと分かってベンチに下がったときには「大丈夫」と思ったんですが、月曜日に病院で詳しく検査してもらったら「前十字靱帯の断裂」と言われ、すごくショックでした。

――その診断によって「今季の復帰は絶望」というのが分かった訳ですが、自分の気持ちはうまく整理できたのですか。

いえ、最初はやっぱり気持ちの整理ができなくて……。どうしたらいいのかも分からなかったです……。でも、いろいろ考えて、リーグが終わるまではみんなと一緒にいようと思いました。

――ケガをしたのが2月15日。まだ1週間しか経っておらず、ケガの状態もあるし、気持ちが揺れ動いていると思います。無理にこの山梨戦(2月22日:横須賀アリーナ/神奈川)に帯同しないという選択もあったと思いますが、自分でチームへの帯同を望んだのですか。

そうですね。今シーズン、リーグが開幕する前に清美さん(佐藤清美ヘッドコーチ)から「もうおまえのチームだから」と任せてもらい、改めて司令塔として強い決意でシーズンを戦ってきました。今の自分は、プレーはできないけれど、リーグでの戦いはまだまだ続いています。どんな結果になろうとも、「みんなと一緒に行動し、泣いたり、笑ったりしたいな」と思えたから、帯同を希望しました。

今年のチームは若いチームだから、私が帯同することで精神面だけでも支えてあげられることもあるかもしれないし。今、自分にできることはそれだけだと思うので、木曜日(2月20日)に清美さんとトム(トム・ホーバス・コーチ)と3人で話をして「試合にどうしても行きたい!」とお願いして来ました。
 
 

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