NBL 2013-2014 ファイナル総括
ディフェンス力と選手層の厚さの勝利。東芝神奈川が2冠を達成

取材・文/渡辺淳二  写真/一柳英男

和歌山の主力のケガもあり、3連勝でNBLの初代チャンピオンに輝いた東芝ブレイブサンダース神奈川。得点源である#22ファジーカスの存在は大きかった

ディフェンス力と選手層の厚さの勝利。
東芝神奈川が2冠を達成

イースタンカンファレンスを制した東芝ブレイブサンダース神奈川と、
ウェスタンカンファレンスを制した和歌山トラインズが激突したNBLファイナル。
東芝神奈川が和歌山に対してスウィープ(3連勝)し、NBLの初代王者となった。
前身リーグを含めると、9年ぶり3度目のリーグ制覇だ。
1月の全日本総合選手権(オールジャパン)、天皇杯を制した東芝神奈川にとっては
2冠を達成したことになる。

 
 
■ファイナル第2戦――残り7.7秒からのブザービーター                

「デジャヴ」を感じさせた第2戦のクライマックス

 東芝神奈川と和歌山、両チームの明暗を分けたファイナル第2戦は、まるで「デジャヴ」のようだった。勝利へと突き進む東芝神奈川に対して、和歌山の川村卓也が攻撃姿勢を失わずチャンスメークする。そして和歌山・木下博之が終了間際に3ポイントを沈めて同点として、延長戦の気配を漂わせた。
 残り7.7秒で78-78 ――。

第2戦は和歌山の粘りが見事だった。#1木下の放った3ポイントが決まって78-78の同点とする

 1月のオールジャパン準決勝では、木下が3ポイントを沈めて71-71と追い付いた時点で残り0.7秒。そのタイムアウト明けに、スローインからのパスを東芝神奈川、ニック・ファジーカスがそのまま決めたことがオールジャパン優勝へとつながった。

 NBL優勝へとつながるこの試合で違ったのは、残り7.7秒を有効に使い、ブザービーターでラストショットを沈めたのが、ポイントガードの篠山竜青だったことだ。彼がそのプレーを振り返る。

 「タイムアウトで(北卓也)ヘッドコーチから、ニック(ファジーカス)とのピックプレーをしなさい、と指示されました。その前に同じ攻め方でニックがシュートを落としていたので、今日は自分かな、と。シュートの感触はよかったので、ヘッドコーチからの指示を受けて、シュートが入るイメージしかありませんでした」

北ヘッドコーチの期待に応えてブザービーターを決めた東芝神奈川#7篠山

 その指示を出した北卓也ヘッドコーチ(以下HC)は、「その直前のプレーで(マークマンである和歌山の)木下選手にやられていたので、やり返してくれるかな」という期待を篠山に込めた。そして1、2戦ともに冷静にゲームコントロールをしていた篠山のプレーの質の高さが、勝負所を託す裏付けとなっていたのかもしれない。ともにターンオーバー(ミス)はゼロ(※続く3戦目もターンオーバーを記録していない)。まわりへのパスを最優先に考えながら、この第2戦でも大事な3ポイントを一度打って、それを成功させた。いわば大役を任せられるに足る信頼を得ていたということだ。

 しかしながら、第2戦がこれほど激戦になるとは思われていなかった。その前日、和歌山のマイケル・パーカーがファイナル第1戦でヒザを負傷し、欠場を余儀なくされたからだ。レギュラーシーズンでは得点部門3位、ブロックとスティール、リバウンド部門でいずれも2位、そして何と言ってもフィールドゴール・パーセンテージで最も高い数字を残していた(62.10%)。その万能プレーヤーを欠いての戦いだったのだ。そうした状況下での善戦に、和歌山のジェリコ・パブリセビッチHCが納得する様子も、オージャパンの時と似ていた。

 「このような大事な試合を負けてうれしいヘッドコーチはいませんが、今日の選手たちの戦いぶりはうれしく思います。各選手が強いハートを持ち、パーカーがいない状況に対応してくれました」

 パーカー抜きの戦い方に手応えをつかんだのも束の間、なんとこの第2戦でもう一人の外国人センター、リック・リカートも肉離れ……。3戦目に入ってもフルメンバーで戦える東芝神奈川に勝機を見いだすためには、和歌山としてはこの第2戦を落としてはならなかったということになる。
 
 
◆2ページ目は、天皇杯とNBLの2冠を達成した東芝神奈川の強み
 
 

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