日本と韓国のバスケ環境・意識の違いはどこにある
男子日韓バスケの差を李相佰盃から探る

文・写真/小永吉陽子

大会終了後の集合写真。選手同士はコミュニケーションをよく図っていた

勝てない隣国のライバル
男子日韓バスケの差を李相佰盃から探る

宿命のライバル――という言葉は男子バスケットボールには当てはまらない。
公式戦において、男子A代表は97年アジア選手権以来、17年間も勝利していない相手だからだ。
この隣国を倒さないかぎりは、アジアを勝ち抜くことはできない。
なぜ、日本と体格が同等の東アジアの人種でありながらも、勝てないのか。
大学生の段階で日韓の差はどこにあるのか、李相佰盃の中から探った。

取材協力/朴 康子

ページ【1】 “黄金世代”の韓国に対し、乱打戦で勝負!
ページ【2】 日本の選手が感じた「韓国との差」とこれから
ページ【3】 韓国のエリート学生の生き方と韓国から見た日本
 
 

“黄金世代”の韓国に対し、乱打戦で勝負!

善戦はできた。だがそれでも痛感する試合巧者・韓国との壁

高さで圧倒した韓国。写真左のイ・スンヒョン(高麗大、197㎝)は今年のKBLドラフト1位指名候補

今回の李相佰盃に出場した日本の平均身長は186.2㎝、対する韓国は193.9㎝。そのうち韓国には2メートル4人、195㎝を超えるフォワードが3人。日本選手の多くは、「高さに対応できなかった」ことを反省にあげた。

大型で動ける選手が揃う韓国大学界はここ数年、黄金世代の到来と言われている。特に、昨年はここ数年でいちばんの選手層を誇り、5月の東アジア選手権において8人もの大学生を選出。若きメンバーで東アジアを制したことからもそのポテンシャルの高さがうかがえる。20歳前後が黄金世代を迎えている大きな理由は、近年のアンダーカテゴリー(U17、U19代表)が世界選手権に出続けて、経験値を上げていることが最大の理由にあげられる。

そんな選手層の厚い韓国を前にして日本は「オーソドックスなバスケでは勝てない。フルコートディフェンスとトランジションオフェンスを仕掛ける」(池内監督)と乱打戦に持ち込む作戦を立て、そのための選手選考でチームを結成した。

一戦目は高さとパワーに面食らって83-66で完敗だったが、「大敗して吹っ切れた」(晴山)2戦目からは練習してきたフルコートの展開に出る。出足から運動量でまさり、速いタイミングで積極的に外角シュートを打って流れを作り、食らいついていくことができた。2戦目は116-105。3戦目は82-77と善戦。戦える手応えをつかみ、仕掛けを試したことに価値があった3戦だった。

大会を振り返って池内監督は「3戦を通じて負けてしまったけれど、2戦目には100点超えのハイスコアゲームができて、チームのコンセプトは発揮できました。あとはもっと精度を上げていくこと」と今後の課題を述べた。

日本はオールコートプレスからのハイスコアゲームを狙った

だが、手応えをつかんだその一方で、現時点では技術の壁を痛感したのも事実だ。

日本は春のトーナメント直前で本格的なシーズンの前だったが、2月のセレクションキャンプから5月の直前合宿まで、計6回の合宿を行っている。対して、韓国はリーグ戦の真っ最中で体は動いていたが、直前に2日間の合宿をしただけで大会に望んでいる。しかも、大学を振り分けて選ぶシステムのため、今回はポイントガードにおいてはベストメンバーが選ばれていない。

そのためか、一戦目で大差勝利したあとは、2、3戦目には個人技だけで打開していた印象だ。それは韓国のファン・ジュンサム監督も認めており、「練習時間が短くディフェンスの組織的な動きが作れなかった」と反省する。また現在、大学生が3人代表候補に選ばれているため「ケガをさせてはいけないので、時間配分をして全員をローテーションして戦うことが目的だった」とチーム状況を語っている。選手たちも「2、3戦目は油断していたと思う」と正直に語っていた。

油断をしていても、組織力を発揮できなくても、持っている個人技量を発揮して勝利してしまうのである。日本がいい流れをつかむと韓国はすぐさま決め返して流れを断ち切り、ここ1本でリバウンドをもぎ取り、豪快なダンクを叩きこんで息の根を止める。勝負所を逃さない試合巧者ぶりは、今も昔も変わらず韓国が一枚上手である。
 
 

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