優勝・福岡大附大濠/準優勝・明成
「勝つためにやるべきことを本当にやってきました」(大濠)

インタビュー・文/清水広美、小永吉陽子  写真/一柳英男

28年ぶり3度目のインターハイ優勝を遂げた福岡大附大濠

インターハイ優勝&準優勝チーム コーチインタビュー

福岡大附大濠 vs 明成――
インターハイ決勝は、昨冬のウインターカップ決勝の再現となった。
どちらもディフェンスを頑張るスタイルから速い攻撃が生まれ
福岡大附大濠はガードの津山尚大を中心に、どこからでも攻められるバランスの良さがあり
明成はエース八村塁を軸に内外角を攻め込み、2年生とは思えない質の高さがあった。
しかし決勝では、8月8日から開催されるU17世界選手権のために、
福岡大附大濠からは牧隼利、明成からは八村塁、納見悠仁の2年生3選手が不在という試合になった。
そんな中で3年生主体の福岡大附大濠が経験と選手層の差で上回り、最後まで主導権を渡すことなく74-53で勝利。
福岡大附大濠が1986年、岡山大会以来となる28年ぶり3度目の優勝に輝いた。

◆南関東インターハイ結果
 
 
 優勝――福岡大附大濠(福岡)

「たとえようのない最高の気分。
勝つためにやるべきことを本当にやってきました」

片峯聡太コーチ

片峯コーチ自身、2005年のインターハイで決勝に進出したが、延岡学園に敗れている。しかも会場は同じ船橋アリーナ。「あの時の忘れ物を取りに来た。でも自分のことよりも(当時コーチだった)田中先生のためにも約束を果たせてうれしい」

――優勝おめでとうございます。優勝の感想を聞かせてください。

去年の3年生だった青木(保憲)、杉浦(佑成)、葛原(大智)、堤(大喜)たちの悔しさをもってこのチームを作ってきたので、そういった意味では明成とこの舞台でゲームをさせていただいて本当にありがたいです。インターハイでまずは雪辱を果たせたのはチームにとっても、OBにとっても大きな意味のある試合になりました。

――津山選手がリバウンダーとなって活躍した試合でした。

リバウンドはセンターが取るとか、ガードが取るとか決まったものではなく、あれは彼の「ボールは自分のものだ」という強い意志の表れだったと思います。ただ、ガードがリバウンドを取った時に、うちのサイズのある選手がミドルラインをガンガン走って得点を取るパターンを作っておけばよかったかなとは思いますが。

――3Qの立ち上がりで明成に連続ゴールで11点差まで詰められたところがヤマ場でしたが、タイムアウトで立て直しました。どんな指示だったのですか。

あそこで津山が気を引き締めてしっかりシュートを決めてくれたのでよかったです。明成のゾーンに対して、あまりにも「ゾーンオフェンス、ゾーンオフェンス」と考えすぎると混乱してしまうので、僕のほうでディフェンスを引き締めることを言いました。あとはオフェンスの確認だけ。ディフェンスをしっかりやることだけを指示しました。

――去年のウインターカップ以来となる公式戦での明成戦ですが、明成の手応えは。

いやぁ、あれで2年生でしょ。かなり手強いし、もう粘り強さも勝負強さもある。これに八村、納見が加わってくると思うと、ウインターカップではかなり恐ろしい存在になる。我々は今回優勝させていただきましたが、チャンピオンではなくチャレンジャーだという気持ちで、ウインターカップまでしっかりチームを作っていかなきゃいけないなと思いました。

決勝ではチーム一のリバウンダーとなり、苦しいところではみずから得点で打開したエースの津山尚大

――ようやくこれで、9年前の忘れ物を取りに行けたのではないですか。(大濠のキャプテンとして片峯コーチが出場した2005年のインターハイにおいて、同会場である船橋アリーナにて、決勝で延岡学園に88-91で敗れている)

はい。そうですね。でも僕のことはいいんですけど、僕が就任して5年目。ヘッドコーチになって4年目ですけど、田中先生との約束をやっと一つ果たすことができて、5年間ではじめてホッとしています。

1年目にはインターハイにもウインターカップに出られずというところから始まって、ベスト16、ベスト4に入るところで苦しんで、ベスト4に入ってもまた準決勝でやられて。決勝に行ったと思ったらまたウインターで明成さんにガツンとやられたので、本当に一歩一歩でした。田中先生からは毎試合終わったあとにアドバイスもあり、そういうことが優勝につながりました。感謝の気持ちでいっぱいです。

――改めて聞きますが、優勝するというのはどんな気分ですか。

ものすごく、たとえようのない最高の気分ですけれど、正直、勝つためにやるべきことというのは、本当にやってきました。栄養指導から、コンディショニングまですべてこだわって徹底して今大会は臨みました。月に1~2回、専門の管理栄養士の方に栄養指導をしてもらっているんです。そういった面で一人一人が考えるようになって、学生アスリートらしくなったと思います。そういった勝つことへの執念とか、こだわりとかを我々が持って臨めば、生徒たちも期待に応えようとするのが見えた大会でした。これを何十年も続けている僕の師匠である田中先生もそうですし、決勝で対戦した明成の佐藤先生もそうですし、改めてそういった先生たちは偉大だなと実感しました。

――心の指導はどうされていますか?

3年生は優しい選手が多いですけど、悪く言えば、我関せずのところがありました。僕の仕事は決勝に連れていくこと。そのために普段から我慢することを教えて、泥臭くプレーすることを言い続けました。泥臭いことを忘れないために、4月から必ず全員に練習前に体育館の雑巾がけをさせています。雑巾がけから練習を始めるという習慣をつけさせ、そしてしっかり心を持ったバスケットができるようにとやってきました。人間関係も含めて、インターハイのコートの雰囲気、ベンチの雰囲気、応援の雰囲気が優勝につながっていると思います。

――準決勝の桜丘戦は15回ビデオを見て対策を練ったと言ってましたが、明成の対策は?

今回は三上君のところだけで5~6回は見ました。その思いが前半、乗り移ったのかもしれません。前半、三上君は抑えられました。

成長著しい2年生の増田啓介、インサイドの野口夏来らの高さで主導権を握った

――牧選手がU17世界選手権のために不在だったことは影響はなかったですか。

牧がいないとか、そういうことを考えずに、ディフェンスをしっかりやりました。FIBAが決めた日程なので、インターハイに重なってしまったのはしかたのないことです。FIBA、日本協会、高体連がそう決めれば、僕たちはそれに従うだけ。高校界ではどこのチームも、日本を強化しようという方向性でやっていると思います。

インターハイ前に牧がずっとケガをしていたので、不幸中の幸いじゃないですけど、中村(太地)がスタートを務めていましたので、そういう意味では不安要素はなかったです。戦力としてはそう変わらないと思います。これが、あと10試合を牧がいなくて戦えといったら厳しいと思いますけど、残り一試合だったので、サポートできる3年生と2年生はうちにはいますから。

――世界で戦う牧選手につかんできてほしいことは。

大きな大会なのでチャレンジしてきてほしいです。日本にもたくさんの留学生がいますが、世界の大会でプレーすることで、牧には留学生に対してどうプレーすればいいか習得してほしいし、コート上で自分を表現できる選手になって帰ってきてほしいと思います。自分が表現するあつかましさというか、俺がやるんだぞとか、声とか身振り手振りとか、表現力をつけて帰ってきてほしいです。

――ウインターカップに向けてのチームの課題は何ですか。

リバウンドとディフェンスをこのチームは叩き込んでやってます。この大会ではインサイド陣がリバウンドを取るところをもっと見たかったので、そこが課題になります。チーム全体としては、もっと頭と心の体力をつけなくてはなりません。全国の舞台でやれる頭の体力と心の体力を鍛えて、もう一度、ウインターカップに臨みたいと思います。
 
 
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