アジア大会銅メダルを獲得した2つの要因と今後の課題
アジアを知り、現状を出し切り、足りない差を痛感した1年

文・写真/小永吉陽子

76-72――。3位決定戦のカザフスタン戦は大接戦だったが、終盤の粘りで上回った

銅メダル獲得の2つの要因と今後の課題

アジアを知り、現状を出し切り、足りない差を痛感した1年

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中国に勝ったとき「やっと一歩を踏み出せた」と長谷川ヘッドコーチ

10月のアジア大会で20年ぶりの銅メダル獲得――。長谷川ヘッドコーチ(以下HC)が就任した初年度の大きなテーマは、これまでの日本に欠けていた「アジアを知る」と「積極性」だった。そしてアジア大会の目標が「ベスト4」だったことからすれば、今年度の目標は達成できたことになる。たとえ、アジア大会でフィリピンやチャイニーズ・タイペイ、ヨルダンが脱落して戦わずにすんだとしても、自分たちの良さを出さなければ結果にはつながらなかったはずだ。

最初から計画通りに進んだわけではない。7月のアジアカップは6位に終わり、8月のジョーンズカップは1勝しかできなかった。どちらの大会も他国が若手を多く出場させていたことを考えれば、納得のいく結果は得られなかった。ただ、今年度の最初に行った6月末の韓国遠征で、韓国代表相手に初戦の32点差を、2戦目には修正してブザービーターでの勝利につながったように、「苦しみながらもトライしてきたことが最後には形になってきた」(長谷川HC)からこそのメダル獲得だったのだ。今年1年トライしてきてきた結果、アジア大会で3位に躍進した要因は2つある。

一つ目は、ターゲットとなる試合を落とさなかったことだ。それが中国とカザフスタン戦だった。これまでの日本は予選ラウンドの敗戦を引きずってしまい、立て直しができないままに終わってしまうことが多かったが、ここでも問われたのが修正力だ。

アジア大会での日本は1次リーグではカタールに残り3.6秒でのミスにより、ブザービーターを決められて敗戦を喫した。2次リーグの初戦はイランの高さと体の強さに押されて23点差で大敗。そして、準決勝進出をかけた中国戦では、前半からリバウンドを取られて覇気が見られず、3Q中盤で最大15点のビハインドを負った。「またか…」という思いがよぎったのも事実だ。

今年度のキャプテンを務めた石崎巧。アジア大会ではスタメンの司令塔として、出足でいいリズムを作った

しかし、日本はここで踏ん張ったうえに、乗り越えることができたのだ。

中国は後半の勝負所で2メートルを超えるインサイド陣がコートに立たず、前半決まっていたアウトサイド一辺倒になった。試合後に中国のゴン・ルーミンHCは「私たちのチームは20代前半の選手ばかりでとても若く、相手を軽視してはいけないことを学んだ」と語ったが、アウトサイド陣を使い続けて崩れたのは、対応力のない若さの表れだった。日本は中国のディフェンスが甘くなった隙を見逃さずにリバウンドに絡み、竹内譲次や比江島慎のドライブインで一気に盛り返した。

また、後半のタイムアウトでは、長谷川HCが就任してはじめてとも言える“本気の雷”が落ちた。

「ルーズボールやリバウンドのこぼれ球で負けたていたら、勝てるものも勝てないだろうが!何のために日の丸をつけているんだ!」

長谷川HCの檄によって、負け続けていた選手たちの目の色が変わった。しかも、目の前にいるのは世代交代中の若い中国だ。

2年前、東京で開催されたアジアカップから始まった中国の育成プロジェクトは中国国内でも期待されており、高さの面でもアンダーカテゴリーでの国際経験の面でも、数年後には恐ろしい集団になることは間違いない。しかし、現実に目の前にいたのは“平均21.9歳”の若手。負けてはならない相手がそこにいたのだ。

日本は4Q残り4分で逆転し、79-72で中国を倒して、2次ラウンド2位でベスト4に進出するための山を一つ乗り越えた。
 
 

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