4月2日、郡山にて第1戦
“我慢強さ”を身につけた挑戦者―今季の富士通

文/舟山 緑  写真/一柳英男

ファイナル直前の記者会見から。右から富士通の#15山本千夏、#10町田瑠唯、JX-ENEOSの#12吉田亜沙美、#10渡嘉敷来夢(写真/舟山緑)

Wリーグ プレーオフFINALS

 第1戦 4月2日(木)19:00~ JX-ENEOS vs 富士通   郡山総合体育館(福島県郡山市)
 第2戦 4月4日(土) 13:00~ 富士通 vs JX-ENEOS   ぐんまアリーナ(群馬県前橋市)
 第3戦 4月5日(日) 13:00~ JX-ENEOS vs 富士通   代々木第2体育館(東京都渋谷区)
 第4戦 4月7日(火) 19:00~ 富士通 vs JX-ENEOS   代々木第2体育館(東京都渋谷区)
 第5戦 4月8日(水) 19:00~ JX-ENEOS vs 富士通   代々木第2体育館(東京都渋谷区)

【TV放映】
  第1戦~第5戦:NHK-BS1(生)  
  第3戦~第5戦:WJBLチャンネル(録画)
 
 

挑戦者:7年ぶり2回目の優勝をめざす富士通

“我慢”を覚えた今シーズン。セミファイナルを経てさらにチームが成長。

7年ぶり3回目のファイナル出場となる富士通。前回の優勝を経験しているのは#1三谷藍と#45名木洋子だけ。この2人は今季、バックアップメンバーなので、スタートメンバーはいずれも初のファイナルとなる。

セミファイナルでは、レギュラーシーズン2位のデンソーに2連勝。デンソーにリズムをつかませない堅いディフェンス力が光り、その堅守からのブレークと#12山本千夏の3ポイントの爆発によってデンソーを見事に突き放してみせた。「相手に流れが傾いたときに我慢できたことが大きい」と語ったBTテーブス・ヘッドコーチ。今季の富士通の強さは、自分たちのバスケットスタイルを明確に創り上げたことに加えて、勝負どころの我慢強さを身につけたことに他ならない。

「デンソーとの2戦目の後半、得点が止まったときに、去年までの富士通だったら、そこからオフェンスもディフェンスも崩れていた。でも、今季はそこで我慢強さが出てきた。粘って我慢をして逆転する、そこに不安がなくなった」と語るテーブスHC。その一番の要因は、「選手一人ひとりが自分のやるべきことが分かっているから」と話す。「特にリーグ終盤、選手が自分たちで“勝てる道”を見つけた。競り勝つ試合が多くなり、セミファイナルでも拮抗した試合から競り勝ったことで、チーム全体でメンタルが強くなった」。そう語るテーブスHCの言葉に、今季の富士通の自信がのぞいている。

オフェンス面では、セミファイナル2戦で平均20得点をマークした#12山本千夏が目立つが、今季の富士通の強さは、シューターの山本だけではない。チームが得意とする3ポイントは、#10町田瑠唯や#11篠崎澪、#0長岡萌映子がいて、ベテランの#1三谷藍と#45名木洋子らも控えている。インサイドには、足のケガから復帰の#12篠原恵(184㎝)がいる。「今季はチームバランスがよく、それもセミファイナルの勝因につながった」とヘッドコーチが言うように、オフェンスの組み立ての上手さも光る。スピーディなパスワークからドライブで切っていき、キックアウトからノーマークの3ポイントを打つというスタイルが大きな武器になっている。相手のディフェンスのスキを突いたドライブやセンター篠原のゴール下シュートもある。

今季の両者の対決では、吉田亜沙美を欠いた11月の対戦では富士通が圧勝。1月のオールジャパンの準決勝では、吉田が復帰したJX-ENEOSがリベンジを果たして辛勝。レギュラーシーズンの後半、3月の対戦では富士通が21点ビハインドから逆転勝利を果たし、翌日はJX-ENEOSが延長を制して1勝1敗。1月以降はいずれも競った試合になっている。

ほとんどのメンバーが初のファイナルとはいえ、セミファイナルを勝ち抜いてチームがさらに進化し、さらに我慢強く戦えるチームになった富士通。テーブスHCは「ディフェンス・リバウンド以外、今のチームに大きな欠点はない。ディフェンス・リバウンドをどれだけ取れるかがカギになる。ボックスアウトの意識を強めてファイナルに臨みたい」と語る。

渡嘉敷、間宮という強力なインサイドを要するJX-ENEOSに、富士通がどんなディフェンスを仕掛けるのかが見どころであり、攻めては武器であるドライブや3ポイント、ブレークでJXのディフェンスをどれだけ揺さぶって主導権を握れるかだ。富士通が流れに乗るには、緒戦を勝ち取るしかない。4月2日、郡山市での第1戦が注目される。

BTテーブス・ヘッドコーチ

“我慢強さ”を身につけた今季。セミファイナルで自信を深める。
ファイナルはディフェンス・リバウンドがカギに。

セミファイナルは、チームのメンタルの強さを向上させるいい経験になった。試合の波が相手に傾いたときに持ちこたえられることが証明できた。選手は自分たちで“勝てる道”を見つけた。今季は我慢強さを身につけることができている。一人ひとりが自分の仕事に迷いがないので、自信をもってプレーできていると思う。

ディフェンス・リバウンド以外、それほど大きな欠点はない。とにかくディフェンス・リバウンドをしっかり取らないと大きなヒビが入ってくる。選手によく言っているのは「ディフェンス・リバウンドを取るまでディフェンスは終わらない」ということ。ディフェンス・リバウンドが取れないとブレークも生まれない。ハーフコートばかりのバスケットでは、オフェンスがしんどくなる。ディフェンス・リバウンドを取るためにはボックスアウトを徹底させたい。ボックスアウトは、技術の問題ではなく、意識の問題。「相手の渡嘉敷選手が高さでリバウンドを取るから無理」と思ったら負け。そこの気持ちがまだうちの選手は甘い。ハングリー精神でとにかく徹底させたい。

(5戦3勝方式については)まずは目の前の試合に集中するだけ。緒戦が大事になってくる。目標は優勝のみ。選手たちには情熱をもってプレーし、オフェンスもディフェンスも常に攻撃的に攻めてほしい。また、ファイナルを戦うという経験を楽しみながら戦ってほしいと思う。ファイナルというのは、2位がどこのチームだったかは誰も覚えていない。勝つしかないです。
 
 

1 / 212