世界最高峰・アメリカ女子プロバスケットボールリーグ
渡嘉敷来夢がWNBAシアトル・ストームと契約!

取材・文/舟山緑  取材・写真/小永吉陽子

WNBAのシアトル・ストームと契約を交わしたことを発表した渡嘉敷来夢。発表会見は、Wリーグのファイナルで7連覇を遂げた翌日だけに、二重に晴れやかな表情だった

◆WNBAという世界最高峰の舞台――シアトル・ストームと契約

日本女子バスケットボールのエース、渡嘉敷来夢(JX-ENEOS/192㎝)が、WNBAのシアトル・ストームと契約したことを発表した。JX-ENEOSが渡嘉敷のプレー映像をWNBAの3チームに送ってプロモーションをかけた結果、シアトル・ストームからオファーがきて3月末の契約に至ったものだ。チームと契約を結ぶことは、トレーニングキャンプから参加することを意味している。トライアウトではなく、トレーニングキャンプからの参加という点に、渡嘉敷への高い評価がうかがえる。

渡嘉敷は5月上旬に渡米。カリフォルニア州サンディエゴで自主練習に入って調整を行い、5月17日にシアトル・ストームに合流、トレーニングキャンプに参加する。このキャンプで開幕ロスターである12名入りを目指す。

今季のWNBAは、6月6日に開幕。9月13日までレギュラーシーズンが続き、その後、プレーオフを迎える。渡嘉敷がロスター入りすれば、萩原美樹子、大神雄子に続いて3人目のWNBAプレーヤーが誕生することになる。

渡嘉敷の魅力は、192㎝の高さで走力があり、スピードがあるプレーができることだ。ゴール下プレーはもちろん、ドライブもミドルショットも得意とする。またディフェンスの脚があるのも大きな武器だ。その高いバスケット・スキルとともに、誰からも愛される明るいキャラクターの持ち主でもある。そうした武器でぜひWNBAのコートに立ってほしい。

また、JX-ENEOSの部長であり、日本協会女子強化部部長の高橋雅弘氏によれば、渡嘉敷がシアトル・ストームの一員としてのプレーが決定し、(FIBAからの制裁が解除されて国際大会出場が可能となり)日本代表に選出された場合は、8月末からのFIBAアジア選手権(リオ五輪予選)に参戦することでシアトル・ストーム側と合意しているという。

4月6日午後、味の素ナショナルトレーニングセンターで開かれた会見とその後の囲みインタビューから抜粋し、世界最高峰の舞台に挑む渡嘉敷来夢の意気込みを紹介する。

◆Seattle Storm(シアトル・ストーム) WNBAのウエスト・カンファレンス所属のプロチーム。
本拠地は米国ワシントン州シアトルのキーアリーナ。2004年と2010年にリーグ優勝を果たしている。
2014年シーズンはカンファレンス6チーム中5位。若いメンバーが多いだけに今後が期待される。
 
◆シアトル・ストーム公式サイト
◆WNBA公式サイト
 
 

◆WNBAへ挑戦する渡嘉敷来夢――発表記者会見から

「WNBAでプレーするのは、JXに入団したときに描いた夢。
自分の武器であるスピードあるプレーで勝負したい」

――いつごろから世界でプレーしたいと思っていましたか。また今回、オファーがきたときの気持ちは?

今シーズンはさらにミドルレンジからのジャンプショットの精度が増した。スピードあるドライブとともにこの外角シュートも渡嘉敷の大きな武器になる(写真/一柳英男)

入団当初から海外でプレーしたいという気持ちは持っていました。でも、まだ自分に自信がなかったので、「挑戦したい」という気持ちはメディアの前では言えませんでした。それが昨シーズン(2013年)、アジアでチャンピオンになった後に「海外でプレーしたい」というのをみんなに伝えていきたいなと思い、そのあたりから海外を意識するようになりました。また、今回、オファーをいただいたときは本当にビックリしたのと同時に、うれしい気持ちでいっぱいでした。

――契約は即決でしたか、あるいは迷ったり、誰かに相談したりしたのか。

オファーをいただいてから契約するまでは本当に悩まなかったです。アメリカの地でプレーできると考えたら、もううれしくなっちゃいました。なので、心境の変化はなかったです。ただ、この話をいただいたときはチームがシーズン中ということもあったので、第一にチームのことを考えてプレーしていました。

――今回のWリーグ・ファイナルでは、WNBAに行くことを念頭において戦っていたのですか?

はい。やっぱり準優勝でアメリカに行くと言えないです。なので、絶対に優勝して、誰もが「行って来い!」と言われる状態で行きたいと考えていました。

――WNBAというのは、いつごろからの夢でしたか。

初めて意識したのは、高校2年生ぐらいです。そのときはWNBAに挑戦したいとか、行きたいとかというよりも、「すごい所だな」というイメージが強かったです。いつか挑戦したいなと思うようになったのは、高校を卒業してJX-ENEOSに入社するときに芽生えたというか、夢になった感じです。

――昨年、トルコで開催された女子世界選手権を戦っていますが、今シーズン、“世界”を念頭に入れた戦い方は何か意識していましたか。

日本リーグでは自分よりも大きい選手がいないので、高さ対策というのはできませんが、シャンソン化粧品に自分よりも大きな選手(杉山美由希選手=196㎝)がいるので、その選手とのマッチアップのときは積極的にいろんな技を使うことは意識していました。外からのプレーをもう少し身につけたいと思っていたので、積極的に外からの1対1や外からのジャンプショットを今シーズンは意識してプレーしました。あとは、トレーニングも結構、力を入れてやってきました。

192㎝の長身でバランスのとれた身体をもつ渡嘉敷。走力とクイックスネを兼ね備えている選手だけに、日本人3人目のロスター入りに大いに期待がかかる

――どんなプレーを出して勝負したいと思っていますか。

自分は開幕からスタートになるんだという気持ちで絶対にいきたいと思います。高さの部分ではアメリカには自分と同じぐらいの身長の選手がたくさんいると思いますが、この高さでスピードをウリにやっていきたいと思います。

――渡嘉敷選手が“世界”と対戦したのは昨年の世界選手権が初めてですけど、そこで、もっと自分がやらなければならないと感じたことは何ですか?

オフェンス面でもディフェンス面でもそうなんですけど、「自分がもっとチームを引っ張っていく」という気持ちがいちばん必要だったと思います。はじめてということで何も考えず、ただがむしゃらにやった世界選手権でした。世界の舞台でいろいろな選手と戦ってみて、「自分はもっと成長できる」って、なんかわからないけど、いつもの自信になりました。「もっと自分はうまくなれるし、もう一回、この世界の舞台に戻ってきて、見返してやるんだ!」という気持ちでやってやろうと思ってからは、常に世界を意識しています。早く世界の選手と戦いたいと思っています。

――その世界選手権を戦った後の今シーズンは、プレーの幅が広がったと思います。自分ではどう感じていますか?

まだまだな部分が多いんですけど、少しは外のプレーを意識するようになったのが、昨シーズンと比べていい点だと思います。外のプレーがうまいかと聞かれたら、まだまだなんですけど。それはこれからもっと身についてくると思います。

――トレーニングによって、今季はパワーアップしている手応えはありますか?

シーズンが始まったばかりの頃は「体つきは今までの中でいちばんいいよね」と周りの方からも結構言われていたので、それはよかったと思います。シーズンを戦っていくと体重も落ちてきちゃうので、今からトレーニングをして準備していきたいと思います。
 
 

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