エース&司令塔に聞く
トヨタ東京・田中大貴&伊藤大司インタビュー

取材・文/舟山 緑  写真提供/NBL

今季、ルーキーながらトヨタ東京のエースに成長した田中大貴。ファイナルではどんなプレーを見せてくれるか

いよいよ5月23日、NBLファイナルの幕が開く。
この大舞台に駒を進めたのは、トヨタ自動車アルバルク東京とアイシンシーホース三河。
トヨタは3年ぶりのファイナルで、タイトル奪還をめざす。
今季、開幕からスタートに抜擢されてチームのエースに成長した田中大貴と、
司令塔である伊藤大司の2人のプレーヤーに、3年ぶり5回目※の優勝に懸ける意気込みを聞いた。
(※これまでのトップリーグ=日本リーグ1部、旧JBL、JBLスーパーリーグ、JBLを通算しての回数)
 
 

◆トヨタ東京アルバルク東京#24◆田中大貴
(192㎝/GF/東海大/23歳)

「天皇杯の悔しさを晴らすのは、このリーグ・ファイナルしかありません。
どんな展開でも積極的にアタックすることだけ考えて戦います!」

――いよいよファイナルが始まります。今の心境とコンディションを聞かせてください。

正直、緊張はあんまりないですが、当日になれば緊張というか、興奮してくると思います。初めてのファイナルの舞台なので、今は楽しみだという気持ちのほうが大きいです。今週月曜日(18日)にセミファイナルが終わりましたが、疲れもありませんし、コンディションも問題ありません。

――今シーズンの自分自身のパフォーマンスをどう評価していますか。

特別、すごくいいパフォーマンスができているかといったら、そこまでではないと思います。ただ、シーズン前半に比べたら、今はいい判断ができるようになってきたなとは自分では思っています。コーチからは「1試合、最低でも15~16点は取ってほしい」と言われてきたので、そこはシーズンを通して意識してきました。

――シーズン当初からスタートに起用され、その期待に応えたいという強い思いもありましたか。

そうですね。試合に出させてもらっている以上、1年目だからといって甘えが許される場面なんて一つもないですから、そこは責任をもってプレーしてきました。ただ、天皇杯(1月のオールジャパン)でいいパフォーマンスができず、とても不甲斐なく、すごく悔しい思いをしました。コーチの期待を裏切ってしまったとも思っています。その悔しさを晴らすのは、このリーグ・ファイナルしかないと思っています。

大学時代からのライバル、アイシンの比江島とのマッチアップも見どころだ

――チームはシーズン後半に26勝1敗の好成績。その要因はどんなところにあると感じていますか。

コーチが求めるバスケットを最初の頃はまだまだできていなかったのが、シーズンを戦う中でお互いのやりたいことが最初の頃よりは分かるようになってきました。また、チームはそうやって仕上がってくるものだと思います。自分はまだ1年目ですが、それなりにシーズンを通して徐々によくなってきているという手応えはあります。

ただ、周りから見れば26連勝という形に映ると思いますが、自分としては1つ1つの試合をしっかり戦った結果が26連勝だと思うので、そんなに“連勝”に対しての意識はないです。それは1つ1つの試合に対してしっかり準備をして臨めた結果としての証拠だと思うので、その点は評価できると思います。

――レギュラーシーズンでのアイシンとの対戦成績は4戦3勝。ただ、ファイナル直前の会見で鈴木ヘッドコーチは、「レギュラーシーズンとプレーオフは全くの別物」と言っていました。そこはどうですか。

自分も全く別物だと思います。今、(アイシンに)勝ち越しているからと言って、ファイナルで勝てるかと言ったら、違うと思います。本当に、そこは別物だと思います。

――アイシンはシューター金丸選手が今季、非常に乗っています。彼の良さをどう見ていますか。また、その金丸選手への対策は?

誰もが知っているとおり、金丸さんはシュート力がずば抜けてすごいし、単にオープンなシュートだけでなく、タフなシュートもしっかり決めてきますし、ドライブのフィニッシュもすごいものがあります。また、1対1でガンガンやってくる選手というよりは、インサイドにボールが入ったときにフレアスクリーンなどをかけてノーマークになるケースが多いなと感じています。なので、そこはチームでしっかりコミュニケーションをとって、チームで守っていきたいと思います。

――ファイナルでマッチアップする比江島(慎)選手に対しては、どう封じたいと考えていますか。

アイシンのペリメーター(※)の中で一番いい判断ができるのは彼だと思うし、このファイナルの大舞台でも力を発揮できる選手だと思います。マッチアップする以上、常に警戒心をもっていなくてはと考えています。また、試合の流れをつくっていける選手だと思うでの、やりたいことをやらせないように守っていきたいです。トヨタでは自分が一番、彼にマッチアップしているし、お互いによく知っている者同士なので、やりたいことをやらせないことが一番だと思います。(※ペリメーター=ペイントエリアの外から3ポイントラインの内側までのエリア)

(比江島選手は)今シーズンはケガもあったのでいいシーズンではなかったと思いますが、このファイナルだけいい仕事をされたら、それこそ“全てをもっていかれる”ので、それだけはやられたくないです。自分は今までの積み重ねがファイナルの舞台では出ると思っています。この1年間、自分は練習も試合もしっかり常にハードにやってきたつもりなので、そこに関しては自信があります。

――オフェンス面の自分の仕事は?

クォーターファイナルの三菱名古屋戦もセミファイナルの日立東京戦もそうだったんですが、変に考えすぎずに、積極的にアタックすることを第一に考えて戦うつもりです。空いたら打つし、スペースがあいたらドライブするという感覚です。どんな展開になっても積極性を失わず、守りに入ることだけは絶対しないようにやっていきたいですね。

――このルーキーシーズン、トヨタのエースになったと周りの評価は高いです。自分ではどうですか。

それは周りがそう言っているだけで、自分ではそんな風には思っていないですし、自分のパフォーマンスに満足もしていません。あまり周りの声は気にせずに、もっともっと成長していきたいとそれだけを考えています。

――気負いはないようですが、「自分が決めなくては」という思いが強いのでは?

気負いはないですが、プレーの中で自分が決めなくていけないシュートを決めないと、チームは勝てないと思っています。大学のときからそれは言われてきましたから。「決めるべきシュートは決める」という責任はしっかり果たしていきたいです。

――去年はアーリーエントリーでチームに合流し、チームはセミファイナル止まりでした。今季はオールジャパンで悔しい思いをしました。それだけにこのファイナルに懸ける思いは強いですか。

そうですね。去年はアーリーエントリーで入って東芝に負けてすごく悔しかったですが、自分が合流して何かすぐにできるかと言ったら何もできないというのは分かっていたので、プレーオフに出られたのはいい経験ができたととらえています。それよりも、今年の天皇杯での負けは本当に自分が情けなかったです。だから、その後はさらに真剣に試合に取り組んできました。その結果がシーズン後半の26勝といういい結果につながっていると思います。天皇杯での悔しさはずっと忘れずにきました。

――最後にファイナルへの意気込みを聞かせてください。

優勝以外は、みな同じだと思います。ここで勝って、みんなで笑ってシーズンを終わりたいと思っています。そのためには、小さなことを1つ1つ積み重ねていくしかないと思います。相手がどうこうよりも、自分たちのバスケットをしっかりできるように臨みたいと思います。
 
 
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