アイシン、2年ぶりのリーグ制覇
橋本竜馬――チームを鼓舞し続けた4年目の司令塔

文/松原貴実  写真/一柳英男

橋本竜馬(はしもと・りょうま/178㎝/1988年5月11日生まれ、27歳/PG/福岡大附属大濠高→青山学院大)

橋本竜馬
(アイシンシーホース三河#0)

「どんなときもチームを鼓舞し続けること。
それが自分の仕事です」

今季は全試合に出場。プレーオフでは全試合に先発した4年目のポイントガード

 今シーズンのNBLファイナルは、3勝1敗でトヨタ自動車アルバルク東京を退けたアイシンシーホース三河が頂点に立った。

 今季のアイシン三河はウエスタンカンファレンス1位をマークしたとはいえ、途中、主力のケガも響きオールジャパンではまさかの初戦敗退、その後も万全とは言えないチーム状態でレギュラーシーズンはトヨタ東京に1勝3敗で負け越す結果となった。

 しかし、ベストコンディションで臨んだプレーオフでは内外、攻守にわたり隙のないバスケットを披露。レギュラーシーズン後半を23連勝と躍進し最後の舞台に躍り出たトヨタ東京の勢いを見事に封じ込めた。

 第1戦で30得点の活躍を見せた桜木ジェイアール、第3戦でシューターとしての力量を発揮した金丸晃輔、第4戦で値千金のブロックショットを連発したキャビン・エドワーズ…勝利したゲームにはそれぞれヒーローが生まれたたが、このほかにも相手のエース田中大貴と真っ向勝負を演じた比江島慎、勝負どころでベテランらしい存在感を見せた柏木真介など個々が自分の役割を全うした戦いぶりは頂点を極めるにふさわしいものだったと言えるだろう。

 そして、その中で終始チームのムードを盛り上げていたのはPGの橋本竜馬だ。前線からしつこく喰らいつくディフェンスで相手に傾きかける流れを阻止し、劣勢のときほど声を張り上げ仲間を鼓舞し続けた橋本の働きは、優勝までの道のりに欠かせないものだった。

 青山学院大のキャプテンとしてチームに3冠(関東大学選手権、関東大学リーグ戦、全日本大学選手権)をもたらした後、アイシン三河に入ったのは2011年。それは佐古賢一、竹内公輔、網野友雄といったアイシンの黄金時代を築いた選手たちが引退、移籍でチームを離れた年でもあり、橋本は初年から新生アイシンを担うルーキーとして注目された。絶対的司令塔と言える柏木の背中を追いながら自分磨きに励んだ4年間。今季は膝の故障に苦しむ柏木に代わってチームを牽引するゲームも増え、このプレーオフでは全試合先発出場するメインガードとしての重責を担った。

「リーダーの自覚を持たなければならない」

コートの内外で鼓舞し続けたムードメーカーでもある

「(鈴木貴美一)コーチからは思いっきり行けばいい。おまえのいいところを出してチームを引っ張れと言われています」という橋本だが、彼がチームを牽引するのはコートの中だけではない。

 3点差まで詰め寄りながら敗れた第2戦の後、疲労の色が濃いチームメイトたちに進んで声をかける姿が印象的だった。
「比江島(慎)がちょっとガクッとしていたので、『おまえは全然悪いプレイはしていなかったよ。まだまだこれからだぞ』と話しに行きました。今のアイシンの中では金丸だったり比江島だったりが中心となっているわけですが、その2人を牽引するためにも自分はリーダーとしての自覚を持ってやっていかなくてはならないと思っています」

 リーダーとして、リーグ随一と言われるトヨタ東京の激しいディフェンスにも怯むわけにはいかない。

「僕がやっているように、相手も前から相当プレッシャーをかけてきますが、それを嫌だなぁと思うか負けられないと思うかは自分次第。僕は『ああ自分もこれだけプレッシャーをかけられる選手になったんだ』と考えることにしています。その中で相手のディフェンスからいかにファウルを取ることができるか、いかに駆け引きに勝つか。その駆け引きがうまくなれば自分はもっと伸びるはずだと思っているので」

 あと一歩及ばなかった敗戦は悔しいが、決して悪い負けではなかったと振り返る。

「一時は二桁リードを許しながら、それを立て直し、最後は3点差までいったわけですから、負けは負けでも全然悪い負けではなかったと思っています。僕がアイシンに入って1年目のファイナル(対トヨタ)は1勝したあと3連敗したんですが、あの時は今日みたいな『悔しい負け方』もできなかった。そのことを思い出すと、今のチームはまだまだできる、明日は絶対もっとできるという気持ちになってきます」
 
 

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