女子アジア選手権
ファウルトラブルに沈んだベテラン勢の巻き返しに期待

文・写真/三上 太

韓国のポイントゲッター、キム・ダンビに対してのディフェンスを反省した三谷藍

2011年8月23日 大会3日目

韓国に逆転負けで初黒星の日本
ベテラン2人が巻き返しのカギを握る!

 老獪(ろうかい)なベテラン選手がいるわけではない。むしろよくも悪くも“若さ”が前面に出るチームである。そういった面だけを見れば、今大会、つまり「第24回FIBAアジア女子バスケットボール選手権大会」の日本と韓国は似たようなチームである。その日本と韓国が相まみえた予選ラウンドのゲームは59―66で韓国が逆転勝利を収めた。

 会場のシーハットおおむらに試合終了のブザーが鳴ったとき、石川幸子と三谷藍はベンチにいた。日本代表の不動のスターティングメンバーに名を連ねながら、最後の瞬間、コートに立っていられない無念。石川はミックスゾーンで開口一番にこう言っている。

「個人的にはファウルトラブルに陥ってしまったので、そこは気をつけなければいけないところだったと思うんですけど…勝負どころでコートに立っていなければ意味がないと思っているので悔しいです」

 運動能力が高く、身体接触もいとわない石川は序盤から体を張ったディフェンスや飛び込みリバウンドで、陰ながらチームに勢いをつけていた。それは石川の持ち味である一方、ファウルになる可能性も十分に秘めている。結果、前半で3つのファウル、後半も始まって約3分のところで4つ目のファウルを犯し、その後はベンチで戦況を見守ることになった。

「(オフェンスだけではなく)ディフェンスでも攻めないと絶対にやられてしまうので、そこは強く行こうと思っていました。ただ今日はそれがファウルになってしまいました。もう少し早く動きだせばファウルになっていなかった可能性もあるし、そのへんはビデオを見ながら、次の戦いに向けて考えたいですね」

 後半、韓国が日本を追い上げ、追い抜いていくきっかけを作ったのはキム・ダンビ。これからの韓国代表を担う21歳の選手である。そのキムのドライブに対応しきれなかったのが三谷だ。

「3ポイントシュートは打たせてもいいと言われていたんですけど、ちょっと間合いを詰めすぎてしまったのと、ボールをもらいざまにドライブをされてしまいました。自分の(ディフェンスをする)ポジションがよくなかったです。私がキムにやられた2本のドライブで韓国にリズムが移ってしまったので、それは申し訳ないと思っています」

 もちろんドライブで抜かれて失点をしてしまうのは、三谷一人の責任ではない。抜かれた選手をカバーするチームディフェンスが崩れたこともキムのドライブ成功を生み、相手に流れを渡した要因となる。それでもやはり、一人ひとりが相手選手の特徴を把握し、間合いを的確につかんで1対1を守ることが、チームディフェンスの大前提となる。

 逆にオフェンスとの間合いが悪いと抜かれたり、シュートを打たれるだけではなく、相手の動きに対する反応が遅れて、ファウルになってしまうこともある。三谷は結局、チーム戦術としてファウルゲームを狙っていたこともあるが、残り17秒でファウルアウトをしている。

 アジアにおいて、同格かそれ以上の力を持つチームと対戦すると、守り合いの様相を呈することになる。1つのディフェンス、1つのリバウンドが勝敗を決定づけるといっても過言ではない。それも試合の最終盤、誰もが息を凝らすような時間帯にそれらがしっかりとできるかどうか。その仕事をするのは経験豊富なベテラン選手であるはずだ。

 老獪なベテラン選手が抜けた韓国は勢いで日本戦を勝ち抜いた。それはそれで韓国の新しい強さと言えるかもしれないが、一方で日本には石川、三谷といった、老獪ではないがまっすぐに経験を積んできたベテランが意気軒昂としてコートに立っている。ベテラン2人の巻き返しに期待したい。

「これからもファウルを怖れて弱気なディフェンスをするつもりはないですし、私がダメでも三谷選手や名木(洋子)選手がいるので、出ているときはアグレッシブにプレイをします」

 石川がそう言えば、三谷もこう続ける。

「ディフェンスが悪くなったときにみんなで集まって、確認し合えばよかったんですけど、それにもすぐに気がつかなかったのは、年上の選手の責任だと思っています。まずは明日、明後日の試合をしっかりと勝ち切りたいと思います」

 日本のベテランの目は、まだ死んでいない。