女子アジア選手権
世代交代を迎えた韓国若手の意地と背負ったもの

文/小永吉陽子  写真/三上 太

韓国の新しいリーダーチェ・ユナは「韓国は世代交代ができていないと言われるのはイヤ」と意地を見せる

2011年8月23日 大会3日目

新時代のオリンピック予選に挑む
韓国若手たちの意地と背負ったもの

 日韓戦後、どうしても韓国の選手たちに確認したいことがあった。今回の韓国は世代交代により、一気に若返った。しかしながら、粗さがありながらも、土壇場に強く、リーグ1位の座をほぼ手中に収めた。この自信はどこから生まれるのだろうか。試合後、韓国の選手に短時間ながらインタビューできる機会があったので、ここで、韓国選手たちの意気込みを記しておきたい。

 その前に、改めて日本の戦い方を見直してみたい。

 日本はインサイドの渡嘉敷来夢を入れて戦うのが、この大会からとなる。渡嘉敷は足首のねんざに続き、疲労骨折の前兆が出たため、大会一週間前からしか練習に合流できなかった。そのため、予選リーグの5試合を実戦の場として、渡嘉敷のプレイタイムを伸ばしつつ、「新しい日本の形」を作っていかなければならない。予選リーグでは、たとえ負けたとしても、腹をくくって、日本の「これだ」という展開を作り上げることが先決なのだ。ここまで、インサイドを担う若手、渡嘉敷、高田、間宮は、試合をするごとに自分の仕事を見つけている。あとの2試合。我慢をしながら日本の形を作れるかにかかっている。

 日本が新しい形を作らなければならないように、世代交代を迎えた韓国にしても、新しい韓国を作るために、覚悟を持って臨んでいる。そのことを、このインタビューの言葉から感じ取ってほしい。

 何が何でも、韓国と決勝で再戦し、そして勝利するために――。

■ #6 チェ・ユナ インタビュー (168㎝/PG/25歳)

「韓日戦は国家的にも注目なので集中することが大切
先輩たちがいるから、若手が思い切りできる。
準決勝からは今の倍以上頑張りたい」

――日本に逆転勝利を飾った感想は。

個人的な感想としては今日の自分の出来には満足していません。韓日戦ということで、国家的にもすごく大きな試合として注目されているので、すごく集中したかった。私たちの集中力が高かったため勝利できたのだと思います。自分の出来は悪かったけど、今日は勝ったからうれしいです(ここではじめてニッコリする)。

――開始42秒でケガをしたのは膝ですか? どちらの足ですか?

左膝をケガしました。今日は選手の人数が必要な日だったので、痛めた時は大丈夫なのかと不安になりましたが、軽いケガで良かったです。

――膝をケガしてベンチに退き、あとから出ていくときの心構えは?

勝つことしか考えてなかったです。どう逆転するか、それだけを考えていました。

――ポイントガードとして、劣勢のときにどのようにゲームを組み立てようと思っていましたか?

今日の韓国の戦略としては、ディフェンスを集中することでした。日本の選手に簡単にシュートをさせないことが戦略だったんですけれど、最初にミスが出て日本にシュートを決められてしまった。後半からは自分たちの集中力が上がって、ディフェンスがうまくいったと思う。それが良かったところ。私というより、チームの集中力が高かった。

――これで予選リーグほぼ1位が決まりました。予選リーグは思い通りの試合展開ができていますか?

予選リーグの1位はたいしたものではないと思っています。韓国の国家代表という名前をつけて戦っているので、準決勝、決勝を獲りたいと思っています。

――今大会の韓国は、#6チェ・ユナ(PG、25歳)、#9キム・ダンビ(SF、21歳)、#13キム・ジョンウン(SF、23歳)が主軸なった新しい韓国が出来上がっています。この若いチームで戦うことにどのような手応えがあり、今後、どういうチームに成長していきたいですか?

ちゃんとした世代交代で戦ったのはこの大会がはじめてです。国家代表として努力もしたいし、一生懸命にやりたいと思っています。これからの韓国の将来がもっと明るくなると期待もしています。

世代交代はしているのですが、私のポジション(PG)には2人のオンニー(お姉さんの意味。ここでは代表のベテラン選手のこと。信頼の意味を込めて、オンニーと表記する)がいますし、国家代表が長い3人のオンニー(#5 キム・ジユン、PG、35歳/#7イ・ミソン、PG、32歳/#14キム・ゲリョン、PF、31歳)がしっかりしています。だから私にはプレッシャーはなく、思い切り戦えます。私より先輩たちのほうが「負けてはいけない」プレッシャーを背負っているはずです。

私がイヤなのは、これまで韓国を支えてきてくれたオンニーたちかいなくなったことで「やっぱりまだ韓国は世代交代ができずに、オンニーたちに頼っているチーム」と言われることです。だから、そう言われないように、準決勝からは今の倍以上、頑張りたいと思います。

■ #9 キム・ダンビ インタビュー(180㎝/SF/21歳)

「中国戦では迷惑をかけたので
日本戦は年下の自分が挽回しようと思った」

――日本戦の勝因は何だと思いますか?

日本のチームもみんなで力を合わせてやっていたと思うんですが、私たちも頑張ろうっていう意志が強かったので、その意志の強さが勝因だと思います。

――韓国が4Qに逆転したゲームでした。逆転に至るまでは、どのような戦い方で臨んだのですか。

ゲーム最初は点数の差が離れすぎてしまったので、これは大変だなと思ったんですが、1Qが終わるたびに監督が「1点ずつ減らしていこう」と言ってくれたので、落ち着いてできたと思います。

――今年は長年韓国を引っ張ってきた選手が引退して世代交代の年。去年の世界選手権からスタメンになったキム・ダンビ選手ですが、去年よりも「自分がやってやる」という気持ちが強くなったと思います。自分がやらなくては、という意識が出てきたのでしょうか。

オンニー(お姉さん、ここでは引退した先輩の意味を指す)たちからは色々と学んできて、それが自分たち若い選手の勉強になったと思う。それと、中国戦(初戦)では自分がファウルアウトをしてしまって、フォワードのオンニー(#13キム・ジョンウン、中国戦で20得点)が大変だったので、この試合は年下の自分が挽回しなくてはと思って頑張りました。

――この試合はほとんどドライブインでの得点でしたが、同点の3P(57-57)を決めました。このあと、4番のキム・ヨンジュ選手の逆転3Pが決まったところが勝負所でした。キム・ダンビ選手は同点3Pを決めたとき、両手でガッツポーズをしていましたが、このときの心境は?

今日のアウトサイドシュートの確率が低かったんですが、3点差で負けていた時に、私のシュートが入り、「今日は勝つんだな」と思いました。

――日本の手応えはどうだったか。

日本は速いし、大神という有名な選手がいるので、戦うのが大変だったです。また、三谷選手は大きいし、3Pが入るので守るのが大変だったです。

――日本も新しいメンバーが多く入りました。日本が変わったなと思うところありますか。

日本も世代交代されて、すごく速くなっているし、パワーアップされていると思います。あと運動神経がすごくいい。特に、渡嘉敷来夢(フルネームで答えた)という選手が身長も高いし、運動神経もいい。この選手は将来的にもっといい選手になると思っています。