JBLファイナル キャプテンインタビュー
JBLファイナル直前! 正中岳城インタビュー

文・写真/小永吉陽子

トヨタとアイシンのファイナルは2007-2008シーズン以来の対戦となった。トヨタのキャプテン正中岳城、シューターの岡田優介、今季アイシンからトヨタに移籍した竹内公輔がルーキーの時代のことだ。そのファイナルは3勝2敗でアイシンの優勝。新人王はアイシン・竹内公輔と日立・竹内譲次のダブル受賞。アイシンの柏木真介は初のMVPを受賞し、司令塔として独り立ちしたシーズンだった。あれから4年、互いのチーム状況は当時とはガラリと変わり、再び決戦の時を迎えた。今年のオールジャパンの決勝ではトヨタが猛追するアイシンを振り切って優勝を遂げたが、リーグ後半戦はアイシンが追い上げて1位の座についた。ファイナルを直前に控えて、両チームのキャプテンにチーム状況を分析してもらい、ファイナルにかける思いを聞いた。


レギュラーシーズン2位 トヨタ自動車アルバルク
 正中岳城インタビュー  (インタビュー/4月8日セミファイナル終了後)


個人個人がチームにインパクトを与える役割を果たし“プラスα”が出せる試合をしたい

「ファイナル進出にふさわしいチームでありたいし、ファイナルにふさわしいゲームがしたい」と正中

――日立に2連勝してファイナル進出が決定しました。2連勝した手応えは。

予想していた通り、重たくタフな試合でした。審判のコールもソフトなところでは鳴らないという意識の中で、自分たちの狙いとするディフェンスとリバウンドのポイントで上回れた結果、勝てたと思います。

今日(第2戦)に関しては、向こうは上手なバスケットをしてきたので、そこで一度は追いつかれましたが、4Qになって覚悟を決めなきゃいけないときに岡田がシュートを決めてくれた。ファイナルになれば、今までのチームの力だけでは超えることができないハードルが試合の局面で訪れる。今日は岡田がチームにインパクトを与えてくれて、向こうに傾いていた流れをこっちに取り戻し、僕らの劣勢を覆すことができた。そういう存在がいたから今日は勝てたのだと思います。

これからは、自分も他の選手も、今日の岡田のような「“プラスα”のことができないと勝てない」という意識を持って戦わなくてはならない。そういう意味では今日は教訓になった試合でした。これはわかってはいたことですけど、ファイナルに向けてはしっかりと自覚を持っていかなくてはならないです。チームの決まりごとをやるだけではなくて、それぞれの選手が次のステップにたどりつかなきゃいけないことを、教えられた試合でした。

――正中選手はガードとしてあとから出て行く役割ですが、自分だったらどんな“プラスα”で存在感を示しますか?

ディフェンスでプレッシャーをかけてチームにエネルギーを与えることと、今日みたいなロースコアの時には、自分たちの良さであるテンポの速さを持ってきたい。もっと速いテンポに持っていけるようにボールをプッシュすることであったり、シューターが当たっている時はシューターにボールを配給できるようにしたり、インサイドだったらうまくボールを入れたり、そういうセットや流れを作るというか、各選手のストレスをなくすように取り組むことですね。もちろん、自分でペイントエリアにアタックして、向こうのディフェンスを割くことも一つのやり方だと思いますけど、それがすべてではないと思っています。

――去年は震災の影響でプレイオフが中止になりました。トヨタがファイナルに進むのは、正中選手や岡田選手がルーキー以来、4年ぶりということで、時間も経っている。今回のファイナルに向けてはどのような気持ちで挑むのでしょうか。

ルーキーの時のファイナルは、上の選手に連れてきてもらった大きな舞台という印象ですね。3、4年もプレイオフから離れていたら、今回がはじめてみたいな感じで、それは他の選手も同じです。プレイオフに向けてはもちろん緊張感もあったし、シーズンとは違う雰囲気なのかなと思って臨んだのですが、このセミファイナルに関しては普通に今まで通りで、レギュラーシーズンのように戦えたと思います。

ただ、ファイナルとなるとまた雰囲気がガラッと変わるし、リーグ戦を通してステップアップをし続けたチームだけに与えられるチャンスだと思っているので、自分たちもその舞台に合ったプレイをしないといけない。ファイナルにふさわしいプレイをそれぞれができれば、また違った気負いであったり、緊張感が出てくると思います。僕が1年目にファイナルに出たときもそういう雰囲気があったので、このセミファイナルとは同じようにはいかないとは思っていますけど。ファイナルは楽しみではありますけど、緊張感は持ち続けていきたいです。

――オールジャパンでは優勝しましたが、リーグ後半戦では重要な試合を落としたりしました。その辺はどのように分析していますか。

まず、前半戦の戦い方を見て、後半戦も同じようにいくのではと皆さんは推測したと思うのですが、自分たちとしては、前半戦は早い段階でチームを作ることができたので、他のチームよりも一歩も二歩もリードした状態で開幕を迎えることができたんです。だから、一巡目から年末にかけてはオールジャパンで第一シードのポジションを獲得できる状態で戦えたんです。チーム作りの核となる部分は去年から引き継いでいたものがあったので、チームが早い段階で作れたのがありました。後半戦になって各チームのケガ人が戻ってきたり、チーム作りの面でどんどんステップアップしていったことで、他のチームが熟成されてきたところがあったと思います。

それに対して自分たちの伸び率というのでしょうか、チームの成長度というのが他のチームより劣ってしまったぶん、「前半戦で勝てた、オールジャパンも勝てた、このままでいい」というような間違った錯覚ではないですけど、自分たちのやるべきことをやるだけでオッケーみたいになってしまった、ということです。

相手チームのシュートパーセンテージというのは、こっちがどれだけディフェンスやリバウンドを頑張っても、コントロールできない部分があるんです。自分たちがディフェンスをしっかりやっても、相手にタフなシュートを決められてコントロールできない部分もありました。チームとして成長していないところがあったので、後半は落ちてしまったところがあったんだと思います。

セミファイナル2戦目、重要な場面で立て続けに3Pを決めた岡田。「自分で決めようと思っていた」

――トヨタは多くの主力選手たちがプレイタイムをシェアして、役割をしっかり果たすチームです。そういった中で正直なところ、もっと出たいという思いはないですか? プレイタイムをシェアすることで役割を果たせる反面、流れが途切れることもあるかと思うのですが、やっている選手たちはどう感じているのでしょうか。

個人の考えからすれば、もっと出たいという思いはみんなあると思います。ただ、うちのコーチは流れをしっかりと見極めるコーチですし、いいシュートを決めたり、いいプレイをしていれば、代える時間帯であっても少し我慢してくれることはあります。でも、その選手が当たっているからといって、そこでばっかりで点を取ってゲームを組み立てて行く考えではないのだと思います。

チームで戦うことをそれぞれが理解しているかが重要ですね。乗っている選手にパスをし続けるチームがありますけど、トヨタはそういうチームではないです。個人個人はもっと試合に出たいとか、こういうプレイをしたいという気持ちはトップの選手だからあると思います。ただもうひとつトップの選手として必要なのは、チームの戦術をどれだけ実行できるかだと思います。コーチから与えられた時間に対して、どれだけインパクトを与えられるのか。もし代えられたとしたら、何かが足りなかったと思うべきだと僕は思っています。

――コメントを聞いていると、きちんとチーム状態は把握できています。後半戦での反省点を、プレイオフに向けてはどのように改善してきたのですか。

オフェンス面でいうと、個人で局面を打開する力がないとピック&ロールをして2人で崩したり、トライアングル・オフェンスをして3人で崩すことになる。システムで崩していくことは大事です。ただ、局面では一人で打開することができないとダメだと思います。その個人の力があるにもかかわらず、システムを重んじるばかりに、個人で何かをしなければならないという意識が足りなかった。もちろん、俺が俺が、になってはいけないですけど、「自分でこのプレイで決める」というプレイが欠如してしまったところが少なからずありました。

もちろんシステムで崩すことは自分たちの戦いのベースであるから重んじなければならないのですが、決めなければいけない場面で誰かに頼ったり、戦術に頼るのではなくて、最終的に個人がタフなショットを決めることや、ドライブでアタックしてディフェンスを引き寄せてファウルをもらうプレイが必要で、そういうプレイを再確認してきました。

このセミファイナルでも今日は重要な場面で岡田が決めてくれました。トランジションの中でズレができていい形でシュートが打てたし、ここだという場面でパスを渡す選手もいたし、それはそれで良かった。こういう形でこれからも個人で判断しながら超えていかなきゃいけないと思う。今日はそれを打開したのが岡田だったということです。あとは、他の選手が自分は何ができるかを考えなきゃいけないです。

――「自分はチームで何ができるかを考えること」が、先ほど言ったプラスαにつながるわけですね。

そうです。それぞれが、個人の力でやれる選手にならなきゃいけないです。でもそれがハッキリしていないところがあった。色々な選択肢がある中で、どうすればいいかという時に決め手に欠けるというか、色々な引き出しがあるぶん、迷ってしまうところがある。それぞれの選手が、今の場面ではどうだろうかと考えなければならないです。乗っている選手がいればその選手に託すだろうし、ガードからのピックでズレを作っていくこともできるし、何か起点になる選手が出て来ないと崩せない。それぞれがコートの中で共通理解をしていけばプラスαは出てきますし、ファイナルではそれが大事になると思います。