中国vsフィリピンの招致プレゼンテーション&開催国発表セレモニー
2019年FIBAワールドカップの開催は中国に!

取材・文/舟山 緑   写真/小永吉陽子

FIBAセントラルボードが日本で開催されたのは初。立候補2カ国がともにアジアということで東京での開催が実現した。8月7日午後に行われたワールドカップ招致のプレゼンテーション(ザ・プリンス パークタワー東京)

◆FIBAセントラルボード in TOKYO
2019年FIBAワールドカップの開催は中国に!

8月7日から3日間にわたってFIBAセントラルボード(中央委員会)が東京にて開催された。
初日午後には2019年のワールドカップ開催地に立候補を表明している中国とフィリピンの
2カ国による招致プレゼンテーションが行われ、メディアにも公開された。

両国に与えられたプレゼンテーションの時間はそれぞれ20分間。
自国がどれだけワールドカップにふさわしい魅力的な開催地であるか、
プロモーションビデオを駆使しながら熱いプレゼンテーションとなった。
両国がどのようにアピールしたかを紹介するとともに、
2019年大会から32チームに増えるワールドカップの予選システムについて触れてみたい。
 
 

◆中国vsフィリピンの招致プレゼンテーション

開催8都市のインフラの充実、国際大会開催の実績に加えて
豊かな経済力、バスケ人気の高さなどを強くアピールした中国

中国が掲げたワールドカップのテーマは「More Than Ever」(より以上に)。ワールドカップを通して「More World Cup」「More Promotion」「More Basketball」を世界にもたらしたいとアピールした。

元NBAプレーヤーのヤオ・ミン氏はスピーチの最後にFIBAのムラトーレ氏に歩み寄り、「全てはあなた方の手にかかっている」と、ボールを託す粋な演出を見せた

中国が開催予定都市としてあげたのは、北京、南京、武漢、広州、深圳(しんせん)、東莞(とうかん)、蘇州、沸山(ぶつざん)の8都市。これらの都市は国際大会の開催経験やCBA(中国プロバスケットボールリーグ)アリーナがある都市。さらに、蘇州と佛山は新たにアリーナを建設する予定という。8都市はいずれも大都市であり、開催地間の移動には高速鉄道があり、交通網などのインフラが十分に整っていること。また宿泊施設は8都市で10万にのぼる部屋が確保でき、食事のケータリングなども十分であることを強調した。

さらに中国がアピールポイントとしたのは、大規模な国際大会をいくつも開催してきたという実績だ。中国バスケットボール協会会長でありIOC副会長でもあるユ・ザンチェン氏は「2008年には北京オリンピックを開催。2010年はアジア大会を広州で開催。2014年にはユースオリンピックを南京で開催。このように中国は国際的なスポーツイベントをいくつも開催して経験を積んでいる。われわれはFIBAのあらゆる期待に応えることができる」と自信たっぷりに述べた。

同氏はまた「バスケットボールは中国では非常にポピュラーであり、国内には60万に及ぶコートがあり、毎年、何百万もの人々がバスケットを楽しんでいる」と語り、北京市副市長のジャン・ジエンドン氏は「CBAファイナルのときには17万人のファンがオンラインでチケットを購入し、2億人の視聴者がテレビ観戦した」と述べ、いかに中国でバスケットボールの人気が高いかを強調した。

プレゼンのトリを務めたのは元NBAプレーヤーのヤオ・ミン(姚明)氏だ。「バスケットボールは私に勝つ喜びを与えてくれ、敗北を乗り越える力、痛みに打ち勝つ資質を与えてくれた。ワールドカップが中国で開催されれば、中国全土に大きな影響を与え、13億の人口をもつ中国でのバスケットボールの熱意はさらに高まるだろう」と熱く語った。

  ※ヤオ・ミン(姚明)氏(34歳)=229㎝の長身から「歩く万里の長城」の愛称で親しまれた元プレーヤー。
  CBAの上海シャークスから2001年、NBAドラフト1位でヒューストン・ロケッツの指名を受けて入団。
  2011年引退。現在、上海シャークスのオーナーを務める。
 
 
「PUSO」をスローガンに、バスケの高い人気と熱気をアピールしたフィリピン

フィリピンが全面に押し出したのは「PUSO」だった

一方、フィリピンが強烈にアピールしたワールドカップのテーマは「PUSO(プソ)」。フィリピン人がもっとも大事にしているバスケットボールへの愛と熱意、魂を意味する言葉だ。

プロモーション映像では、「PUSOとは、自分よりも大きなことをしようとすること、世界に対して声を発することを意味。手を広げて人々を歓迎し、不可能なことをほほえみながら実現する。家族や友人と共有し、世界と共有するという意味なのだ。PUSOは、誇りと名誉、怖れを克服する力につながる。このPUSOの精神の下に素晴らしいワールドカップを実現したい」とアピールした。

フィリピンが開催会場として紹介したアリーナは、マニラ市内にあるフィリピンアリーナ、アラネタコロシアム、モール・オブ・アジアアリーナの3会場と、セブ島のアリーナの計4会場。マニラ市内は慢性的な交通渋滞で知られる都市だが、今後、開催に向けて道路網の整備を整えていく予定と述べた。この点においてはすでに道路や鉄道網がしっかりと整う中国と比較すると、フィリピンが一歩、後塵を拝している印象だった。

フィリピンで「レジェンド」と言われ、長らく代表を務めてきたジミー・アラパグ氏。フィリピンでいかに人々がバスケに熱中し、バスケを愛しているかを語った

フィリピンにおけるバスケットボール人気は絶大だ。「バスケットボールは国技」と言うほどで、プレゼンに立ったナショナルチームの前ヘッドコーチであるチョット・レイエス氏は「国民の96%がバスケファン」とまで言い切った。また、昨年のフィリピンリーグの開幕戦では52,000人のファンが会場を埋め尽くしたと語った。

ナショナルチームの元キャプテンであり、177㎝ながら常にアグレッシブなプレーでチームを牽引した伝説の司令塔ジミー・アラパグ氏(38歳)は「PUSOはフィリピン人のエッセンス。フィリピンでは世界中のどの国よりもSNSが活用されており、SNSによってバスケットの話題が拡散している」と、フィリピンにおけるバスケ人気の高さを力強くアピールした。

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中国が豊かな経済力と過去の国際大会開催の実績を強くアピールしたのに対して、フィリピンは「PUSO」を全面に押し出し、国民がバスケットボールをこよなく愛し、情熱を持っているかを強調。そのPUSOというプラットフォームの上にワールドカップを開催したいと主張したプレゼンとなった。

プレゼンテーション後は、セントラルボードのメンバーが別室で会議に入り、再びセレモニー会場に戻って、FIBA会長のムラトーレ氏により2019年の開催国が「CHINA(中国)」と発表された。FIBA公式サイトによると、採決は「14対7」で中国に軍配が上がったという。バスケ人気ではフィリピンも決して負けていなかったが、大会を運営する経済力や整備された交通網など、総合力で中国に軍配が上がった印象であった。

開催国を「中国」と発表したFIBAのムラトーレ会長

◆次ページは、新システムが導入される「2019年 FIBAワールドカップ予選」について
 
 

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