アジア選手権への抱負を語る
泥臭く、一生懸命に、チームを牽引するキャプテン

インタビュー・文・写真/三上 太

網野友雄インタビュー(196㎝/SF/30歳/リンク栃木)

「バスケットに取り組む姿勢」で引っ張る網野友雄キャプテン

 2010年、スタンコビッチカップ準優勝、アジア競技大会では4位になるなど、アジア諸国からのリスペクトを取り戻しつつある男子日本代表。

 しかしそれは世界へと続く長い道のりの第一歩にすぎない。二歩目は、9月15日から中国・武漢で始まる「第26回FIBAアジア男子バスケットボール選手権大会 兼2012年ロンドンオリンピックアジア地区予選(以下、アジア選手権)」。オリンピックのかかった真剣勝負の舞台で、男子日本代表の真の実力が試されるのだ。

 悪夢のようなアジア10位から2年。同じアジア選手権を目前に控えて、キャプテン・網野友雄は、チームをどのようにまとめ、アジアの強豪国に対してどのように挑もうと考えているのか。その思いに迫った――。
 
 
 
チームが“調子に乗る力”
を出せるように、泥臭く、
気持ちを込めたプレイをしたい!

 ――武漢で戦う最終メンバー12名が決まりました。今、率直にどのように感じていますか?

いいメンバーだと思います。現状ではすごくいいメンバーが揃っていると思うし、みんな目的意識も高い。(竹内)譲次、公輔の年代が中心で、その下の年代も入ってきていて、年齢的にもすごくバランスが取れているチームだと思います。

――そのチームをキャプテンとしてどのようにまとめていきますか?

大会に入ったから何か特別なことをしようとは考えていなくて、ボクの中でのキャプテン像が、ボクが若手のときに見てきた古田さん(*)なんです。古田さんの練習に対する姿勢だったり、試合中の努力がすごく印象に残っているし、チームのみんなもすごく尊敬していました。自分も古田さんのように、いつもと変わらずにやっていきたいですね。かっこつけて何かをしようとか、声をかけて…というのは、たまにはあるかもしれないですけど、一番は泥臭く、一生懸命練習に取り組むことでチームを引っ張っていくことだと思っています。

――これまでのアジア選手権ではいつも苦い思いをしてきました。そのアジア選手権で勝ち上がっていくポイントは何だと思いますか?

今までの経験を踏まえると得点力が大事になると思います。どの国とやっても10分間は互角だったり、互角以上の戦いができるときがあるのに、トータルだと負けてしまう。なので、そこをいかに粘り強く、1分でも長く自分たちの時間帯として保つか。そして、どんなゲームでもいい流れ、悪い流れがあると思うので、一度崩れたときの立ち直る力がポイントになると思います。

 ――昨年のアジア競技大会では、そのきっかけを田臥(勇太)選手が、彼独特の絶妙なアシストやスティールで作り出していました。彼がいない今大会、何で立ち直るきっかけを作りますか?

確かに昨年はそうでした。田臥のいない今大会はオフェンスリバウンドなどがカギになると思います。特別なプレイでシュートを決めるというのも方法としてあるかもしれないけど、それよりも泥臭くリバウンドに絡んだり、ルーズボールに飛び込んだり、そういう気持ちのこもったプレイがあるとチームが乗ると思うんです。そのためにも足を止めずに飛び込んでいきたいなと思っています。

――チームが乗るという意味で言えば、ジョーンズカップでは若手たちが熱い気持ちを前面に出していました。あのような熱さがこのチームにも欲しい。

そうですね、あの熱さは欲しいですね。いい意味で“調子に乗る力”というか、勢いも大事になってきますから。ジョーンズカップのときは若手ばかりだったから思いきりやっていたところもあると思います。それでもやっぱり正中(岳城)、太田(敦也)、KJ(松井啓十郎)たちは力があるので、このチームに入っても変わらずにやってほしいなと思うし、やっていかなければいけないと思います。

――若手が最終メンバーに入ったということは、そういった雰囲気作りも大切になりますね。さきほど正中選手と話していたら「メンバーが違うので、ドイツでは熱い感じを出しにくかった」と言っていましたが…。

ドイツでは少しおとなしかったですね。だからコートで声をかけるのも大事だと思うんですけど、同じテーブルで食事をしたり、バスケット以外の話をしたりしないとなかなか打ち解けていかないと思っています。もちろんドイツでもそういうことを気にしながら、同じテーブルに座るようにしていたんです。武漢でもそういうふうにして、チームを調子に乗せるような雰囲気をコートの内外で作っていきたいと思います。

(*)古田悟=元日本代表で、2006年の世界選手権時のキャプテン。昨シーズンでJBLのトヨタ自動車アルバルクを引退。現在はユニバーシアード日本代表のアシスタントコーチを務めるなど、指導者へ転身中。