アジア選手権に向けての抱負を語る
求められる黒子から大黒柱への脱皮

インタビュー・文・写真/小永吉陽子

竹内公輔インタビュー(206㎝/PF/26歳/トヨタ自動車)

インサイドの柱。この大会でリーダーとしての自覚が増し、一皮むけるか

 国内において竹内兄弟に敵はいない。だが、それは高さにおける優位性があるだけで、前所属のアイシンにおいても、代表においても、彼(今回インタビューは公輔選手)はエースという存在ではなかった。「アイシンでは(桜木)JRがいて、柏木さんがいて僕だった」と言うように、誰かを頼り、誰かを生かしていた。本人はこの状況を「どちらかというと黒子役」と表現する。

 だが、日本が勝つためには、日本代表でいちばんの高さとキャリアを持っている竹内兄弟に、チームの軸となって戦ってもらわなければならないのだ。

 これまでの国際大会で、幾度も竹内公輔、譲次兄弟には「ここで攻めてくれたら」「ここでリバウンドに絡んでくれたら」と思う場面に遭遇してきた。チームの軸になってほしいというのは、何もリーディング・スコアラーになってほしいということではない。インサイドではひるまず逃げないで勝負してほしいし、流れの悪いときには「自分」という選択肢で打破できる強さを持ってほしいのだ。

 今後、周りを生かしながらも、得点が取れる場面で1対1をするには、対応力が必要になってくる。そのためにも、ふだんから「自分が行く」という気持ちを持って試合に臨まなければならないだろう。26歳。そんなプレイの幅ができてもいい頃だ。

 ウィスマンHCに聞けば「ドイツ遠征で公輔も譲次も意欲的になってきた」と言う。この大会で竹内兄弟が一皮むけることができれば、上位進出も見えてくる。中国に出発する前の最後の公開練習である9月7日、竹内公輔に大会にかける思い、自身のプレイスタイルについて直撃した。
 
 
チームの勝利のために、「黒子役」だった
でも、それだけではダメだとドイツで思った

――ドイツ遠征中にウィスマンHCに呼ばれてリーダーに指名されたと聞きました。ヘッドコーチからどのような話をされたのでしょうか。

トム(ウィスマン・ヘッドコーチ)からは「リーダーになってほしい」と言われました。年齢が上のアミさん(網野)、タケさん(竹田)、良太さん(桜井)と、同期だったら僕と譲次が呼ばれてミーティングをしました。僕は年齢的に中間なんですけど、代表経験が長いので呼ばれました。ドイツ遠征では一戦目が悪くて、そこでトムとミーティングをしてから、チームが変わっていったと思います。そのあとにアミさんから「チームのことは俺と竹田さんに任せてくれればいい。プレイに専念してくれ」と言われました。

 ――実は、12人が決まるまでは、どういうチームになるのか、見えてこない部分がありました。今日の練習で12人が揃って、ようやく「このメンバーでやるんだ」という意気込みが感じられた気がします。どういうチームになったと思いますか?

いい雰囲気で練習できていたので、いいメンバーだと思います。田臥さんがいないとか、青野さんがいないというのはありますけど、それは言い訳にはならない。現時点ではベストメンバーが揃ったと思います。むしろ、変わりに入った正中だったり、松井や太田とか、若い選手はチャンスだと思ってやったらいいと思います。

 ――自分自身はどのようにチームに貢献しようと思っていますか?

こんなこといっていいのかわからないけれど………僕は選ばれるのが当たり前だと思っているので、そこを目指しているのではなく、アジアで活躍するのが僕の目標なので。アジア選手権でどこまでやれるか、そこだけに5月から照準を合わせていたので。12人に残るのは当たり前なので、もうやらなきゃいけない。

――プレイでやらなければいけないことは?

日本は中国やイランのようにサイズがないので、リバウンドです。女子もリバウンドが取れなくて(オリンピック予選で)負けてしまったので、リバウンドが日本の永遠の課題だと思っています。ドイツでも、メキシコでも、ベネズエラでも、リバウンドということを課題にやってきたので、その練習の成果を出したいです。

――その南米とドイツ遠征で得たインサイドプレイの手応えや収穫は?

ドイツでは身長も幅も大きい選手がいた中で、2ケタ得点取れた試合もあったし、平均して得点が取れていたので、やれる感触はありました。アジアはドイツのトップチームほどではないと思ってやりたいです。トヨタでも2週間くらいですけど、ずっと外国人選手とマッチアップして、いい練習をしてきました。

――これは前にも聞いて、これからもずっと聞いていこうと思っているのですが、国際大会を見ていると、公輔選手はもっとやれると思うし、ゴールにもっとアタックをしてほしいと思っています。実際のところ、自分の役割やプレイについてはどう考えているのですか? 今のプレイスタイルで満足しているのか、本当のところはもっとやれると思っているのか、聞かせてください。

僕はドイツ遠征まではチームのシステムを第一に考えていたので、どっちかというとシューターを生かすようなスクリーンをかけることが多く、フリーランスに攻めるというより、フォーメーションを組んでやることが多かったので、そんなに僕が1対1をするシチュエーションがあまりなかったといえばなかったんです。僕がポストで1対1をする選択肢もあったんですけど、確率のいいほう、いいほうのプレイを求めていました。どちらかというと、黒子役ですかね。ピックアンドロールをして2対2のシチュエーションを作ったほうが、確率がいいと思ってたんですね、ドイツに行くまでは。でも、そればっかりではダメだと思ったのがドイツ遠征で、そう思って自分から仕掛けていくことは、ドイツで試せたんじゃないかなと思います。

 ――ドイツ遠征で自分から仕掛けて行こうと思った理由は何だったんですか?

やっぱり、トムや上の人たちとミーティングをして、それからですね。トムに「チームを引っ張ってくれ」というのはしょっちゅう言われました。

 ――今までチャンスメイクの役割が多かったのは、チームの動きにのっとっていたからというのはわかりました。でも、「12人に選ばれるのは当たり前」と公言する選手であるのだから、公輔選手がゴールに向かっていったら、もっとチャンスが広がると思います。1対1だけじゃなく、ここぞという場面や、相手センターとのぶつかり合いで、もっとやれる場面があると思うのですが、その辺は自分のプレイのことをどう考えていますか?

僕はチームが勝てればいいと思っているので…。僕が点を取って勝てるのであれば、20点取りにいきます。20点取ろうと思えば取れると思います。でも、僕が20点取ってもチームが勝てないんじゃ意味がないと思ってましたし、チームが機能して勝てる確率が上がることをいちばんに考えたいです。逆に今年はケガ人が多くて控えがいなかったので、ペース配分も考えないといけない。アジア選手権は9連戦なので。そういうのも考えてやらないといけないと思っています。

――まずはチームの動きやルールに沿うのが第一の選択肢で、自分が生きるのであれば、チームのシステムの中じゃなくても攻めに行こうという気持ちはあるのですね。

もちろんあります。ただ、いざ試合になったらそう簡単にいかないことが多かったので…。でも、今回のドイツ遠征では2ケタ得点取れることもあったし、攻めることができるようになっていたので、あさって、しあさっての試合(リンク栃木、トヨタ自動車と練習試合)で試すのが楽しみなんですよ。この12人でやるのははじめてだし。あとは柏木さんと川村が(ケガから)戻ってきたので、この2人とどう絡んでいくか、ですよね。2人とも点が取れるので、そこで僕が無理をしてチャンスをつぶすようなことはしたくないとは思ってます。

 ――国内最後の調整試合で、チームとしてどのようなことを確認したいですか?

今シーズンはそんなにまとまって試合していないんですよ。東アジア選手権や南米もドイツもいろいろなメンバーを試していたし、ちゃんと試合をしたのはドイツとの親善試合くらいで。だから実際、練習試合が楽しみでしかたないんですよ。どういう完成度になっているのか。たぶん、僕はいいバスケットができると思いますよ。

 ――その理由は?

チームの雰囲気がいいです。ドイツでは、向こうのホームコートアドバンテージがあったことを抜きにしても、いい試合ができた時間帯もありました。ただそれが4Qのすべてはできなかったので、それが40分できたらどういうチームになるのかなという期待があります。ガードは柏木さんが戻ってくるので、ドイツでやれなかったことを試してみたい。

 ――公輔選手にとって「オリンピック」とは。

オリンピックは意識しています。出たいです。オリンピックに出ることによって、日本のバスケが変わると思う。僕はもっとバスケがメジャーになってほしいし、メジャーになるためにはオリンピックに出ることが大切だと思います。

――この2大会、アジア選手権では8位、10位と落ちていくばかりで、ふがいない試合ばかり見ました。今大会に臨むにあたっての意気込みは?

もちろん、挽回しようと思います。前回は屈辱を味わったので、どれだけやり返せるか。

――今大会の目標を聞かせてください。

優勝を目指してやっていきます。気持ちとしては最終予選にいくのではなく、アジアで勝ちたい。アジアは勝てない相手ではないと僕は思っています。去年のアジア大会では4位になりましたけれど、良かったことは忘れて、悪かったことだけ覚えといて、やりたいなと思います。去年から強化してきた集大成だと思うし、アジア選手権でオリンピックの切符をつかみたいと思います。