男子アジア選手権
宿命のライバル・韓国代表

文&写真/小永吉陽子

男子アジア選手権 海外チームレポート<5>

準々決勝で対戦する“宿命のライバル”韓国

日本が準々決勝で対戦する相手は韓国になった。韓国とは圧倒的に分が悪い日本だが、負けたら終わりのトーナメントの“大一番”で苦手意識のある韓国にどう挑めばいいのか、韓国代表の状況と12選手を紹介する。

ホ・ジェ監督と、チームメイトから信頼厚い司令塔#6ヤン・ドングン。負傷により出場が危ぶまれているが、はたして出場なるか?

今大会の韓国は前回大会と同様、KCCを優勝に導いたホ・ジェが指揮を執る。ホ・ジェHCが選考した選手の特徴は、動けてスタミナがある選手が多いということ。国内にはもっとスマートに得点を取るタイプのプレイヤーはいるが、タフに戦えるという点で選出している。

韓国バスケの特徴は伝統的なパッシングからノーマークを作り出すシューティング・バスケットボール。コンビネーションプレイでの合わせやゾーンディフェンス、裏を突いた抜け目ないプレイで攪乱することも多い。選手一人ひとりが韓国の伝統的な動きを理解しているので、判断力と積極性に長けている。そして近年では、センターのハ・スンジン(221㎝)の高さを生かすチーム作りを進めている。

6月の東アジア選手権から主力は変わらず、8月のジョーンズカップ時には12選手を固定し、徹底したチーム作りを進めてきた。今大会には満を持して臨み、仕上がりの良さを見せていたが、2次リーグに入ってケガ人が続出している。何より、絶対的司令塔の#6ヤン・ドングンがイラン戦で捻挫したことはチームに大打撃を与えたといっていいだろう。日本戦で#6ヤン・ドングンが出場しないとなると、より一層のプレッシャーディフェンスを仕掛けてミスを誘うことが有効的な戦い方となるだろう。(23日午後1時現在、ヤン・ドングンの出場は不明)

過去の試合を振り返ると、日本戦では出足でスパートして主導権を握る「先行逃げ切り」が多く、出足には注意しなければならない。何より韓国は「日本には絶対に負けない」と自信を持って臨むので、日本はその気迫に押されないことだ。

実際のところ、韓国とは「宿命のライバル」とされながらも、日本は97年アジア選手権の2次ラウンドで勝利して以来、A代表が出場する公式戦では14年もの間、勝利をあげていない(U25やB代表が出場する東アジア競技大会をのぞく)。目の前に立ちはだかる韓国を倒さずして、世界への道は拓けない。

韓国の得点源となった帰化選手#8ムン・テジョン

 【近年の主な対戦成績】*赤字が勝利
97年 アジア選手権(サウジアラビア)
2次ラウンド 日本 89-83 韓国
決勝     日本 76-78 韓国

 2006年 アジア競技大会(カタール・ドーハ)
5位決定戦  日本 76-87 韓国

 2007年アジア選手権(カタール・ドーハ)
2次ラウンド 日本 83-93 韓国

2009年東アジア選手権(日本・愛知県小牧市)
決勝     日本 58-68 韓国

 2009年アジア選手権(中国・天津)
1次ラウンド 日本 74-95 韓国

2009年東アジア競技大会(香港 U25が出場)
予選リーグ  日本 74-66 韓国 (※韓国は優勝、日本は3位)

2010年アジア競技大会(中国・広州)
準決勝    日本 51-55 韓国

2011年東アジア選手権(中国・南京)
決勝     日本 89-73 韓国


KOREA NATIONAL TEAM

(平均身長196㎝、平均体重/84.5㎏、平均年齢/27.2歳)

ヘッドコーチ/ホ・ジェ(許載)
1965年生まれ。2009年以来となる韓国代表のヘッドコーチに就任。アジア選手権は2大会連続指揮官となる。現役時代は「韓国バスケットボール界の大統領」と呼ばれたカリスマ。88年ソウル五輪では23歳の若さで選手宣誓を務め、韓国の顔となった。シューティング・ガードとしてサウスポーから放たれるシュートは芸術的で、勝負所にめっぽう強かった。世界選手権の一試合最高得点記録保持者(90年大会、62得点)でもある。2004年に現役引退し、アメリカで1年間コーチ修業をしたのちにKCCのヘッドコーチに就任、2回の優勝を誇る。指揮官としてはキャリアが浅く、代表を束ねることに関してはまだ発展途上であるが、現役時代からのモットーである「常に闘争心あふれるプレイでゴールに向かう」姿勢を現在の代表にも注入している。

4 パク・チャンヒ Park Chan-Hee 190㎝/SG/24歳/安養KGC人参公社
PGとSGを兼任する大型ガード。視野が広くパスで展開を作るのがうまい。2009年、香港で開催された東アジア競技大会優勝の立役者。今大会は3番手のPGとして起用されている。

5 イ・ジョンソク Lee Jung-Suk 183㎝/PG/29歳/ソウル・サムソン
2番手のPG。3Pシュート力があり、ディフェンス面を期待して起用されるが、歴代の韓国のPGと比べるとゲームメイクに難があり、ミスが多い。今年ジョーンズカップで日本と競ったときもイ・ジョンソクのミスで崩れていった。しかし、ヤン・ドングンの負傷により、出番は多くなるかもしれない。

6 ヤン・ドングン Yang Dong-Geun 180㎝/PG/29歳/蔚山モービス
韓国の絶対的司令塔であり、チームリーダー。東アジア選手権MVP。脅威のスタミナの持ち主。激しい運動量からゲームメイクし、抜群の1対1の力でみずから突破口を開く。ドライブで切り裂き、豊かなジャンプ力で外角シュートを的確に決める。ここ数年の韓国のPGはヤン・ドングンに頼りっぱなしである。2次リーグのイラン戦で重度の捻挫を負い、出場は不明とされている。

7 カン・ビョンヒョン Kang Byung-Hyun 193㎝/SG/26歳/全州KCC→尚武
抜群の運動神経とバネを持ち、アグレッシブなランニングプレイと要所の3Pシュートを得意とするプレイヤー。オフェンス・リバウンドにも強い。昨年度のKBL優勝に大きく貢献したが、今年から尚武(軍隊)に所属するためKCCからは離れている。現チームではスタメンであり、6月の東アジア選手権では大活躍していたが、今大会はここまでシュートが当たっていない。

8 ムン・テジョン Moon Tae Jong 198㎝/SF/35歳/仁川電子ランド
今夏から加入した帰化プレイヤー。韓国とアメリカ人のハーフで、今年7月に弟のムン・テヨン(昌原LG)とともに帰化した。これまではヨーロッパを中心に渡り歩いていたが、昨年度、KBLで衝撃デビューを果たした。3Pシュートやドライブが得意で、加入してすぐに韓国の得点源となっている。

9 キム・ヨンファン Kim Yong-Hwan 195㎝/F/26歳/釜山KT→尚武
サウスポーの3Pシューター。今年6月の東アジア選手権時に招集された時は国内から「意外」との声が飛んでいだが、決勝の日本戦で結果を残したことで今大会も選出された。チョ・ソンミンやカン・ビョンヒョンのシュートが当たらなかった場合に登場するが、出てすぐにシュートを狙うので要注意。

10 チョ・ソンミン Cho Sung-Min 189㎝/SG/27歳/釜山KT
韓国№1シューター。動き回ってみずからチャンスメイクできるシューターで、隙あらば放つ3Pシュートは高確率。腕を伸ばして顔をうしろに反るシュートフォームは、チェックしにくいと言われている。代表歴は昨年の広州アジア競技大会からだが、持ち前の勝負強さで、試合によってはスタメンを務めるほどに急浮上した。この選手をノーマークにしてはいけない。

11 ヤン・ヒジョン Yang Hee-Jong 194㎝/SF/27歳/安養KGC人参公社
運動能力、走力、ディフェンス力を兼ね備えたフォワード。豊かなバネを持ち、オフェンス・リバウンドにも絡んでくる。最近はエースキラーになることが多い。昨年まではスタメンになることもあったが、今大会は足を負傷していたため1次リーグを欠場。2次リーグで調子を戻しつつあり、プレイタイムが伸びてきている。

パワフルな若手センターとして成長著しいオ・セグン。今シーズン、KBLにデビューするルーキー

12 キム・ジュソン Kim Joo-Sung  205㎝/PF/31歳/原州東部
長年、韓国を背負ってきたタフなインサイドプレイヤー。シュートエリアが広く、体を張ってのポストプレイから3Pシュート、速攻までプレイの幅が広い。外角とのコンビネーションプレイの起点にもなる。しかし最近はややスタミナが落ちてきたのと、審判のジャッジに切れることが多く、ファウルアウトすることも。

13 ハ・スンジン HA Seung-Jin 221㎝/C/26歳/全州KCC
昨年度KBL優勝の立役者であり、MVPプイレヤー。コンディション万全だったKBLファイナルではインサイドで相手を威圧したが、今大会は足を痛めているために苦戦している。コンディションさえ整えば、間違いなくアジアで脅威的なインサイドプレイヤーになる。フリースローが大の苦手。

14 オ・セグン Oh Se-Keun 200㎝/C/24歳/安養KGC人参公社
走力、体力を誇るタフでパワフルなプレイヤー。サイズは大きいとはいえないが、誰よりも体を張ってリバウンドをもぎ取る。最近はミドルシュートの精度を上げてきた。大学時代から代表に入り、今ではすっかりスタメンに定着。だが今大会は2次リーグで腰を痛めたことにより、イラン戦ではプレイタイムは短かった。

15 キム・ジョンギュ Kim Jong-Gyu 207㎝/C/20歳/慶煕大学2年
韓国最年少プレイヤー。韓国学生選抜代表として、5月に開催された李相佰杯で来日。将来性を期待されての選出。柔らかく伸びやかなシュートとブロック・ショットを持つ。その後、東アジア選手権、今大会を経てプレイタイムが多くなり、大事な場面でも起用されるようになった。グングンと成長中。

※尚武(サンム=兵役時に所属する軍隊チーム。尚武に所属しても代表活動はできる)