男子FIBAアジア選手権 準々決勝
ロンドンへの道を断たれた準々決勝・韓国戦

文&写真/三上 太

準々決勝 日本 67-86 韓国

2011年9月23日

男子アジア選手権 日本代表レポート<5>

ケガが阻んだ日韓決戦、正ポイントガードの覚悟と悔恨

主力が相次ぐケガに見舞われた日本。柏木真介も竹内譲次もコートに立ったのは数分だった

 準々決勝の相手、韓国に完敗を喫した時点で日本のロンドンへの道は絶たれた。日本は2次リーグから主力にケガ人が続出したばかりか、自分たちのバスケットを見失っている。コートに立てなかった正ポイントガード柏木真介は何を思うのか。そして、日本にとって順位決定戦はどう戦うべきなのか。

「何分出られるかわからなかったですけど、出たら何かチームのためにやろうという気持ちはありました。でもなかなかリズムをつかむことができなくて…」

 FIBAアジア選手権の準々決勝、韓国に【67-86】で完敗を喫した直後、柏木真介は悔しさをにじませながら、そう言葉を発した。

 ここ数年アキレス腱炎に悩まされ、今大会にはなんとか間に合ったが、2戦目のヨルダン戦、残り1分くらいのところで右足太ももを痛めてしまう。以降、柏木らしい力強いプレイを出しきることができず、スタメンの座も正中岳城に譲っている。もちろん万全ではないものがスタメンで使われることはない。そこは彼自身も受け入れているところだ。それでも田臥勇太が抜けた今、自分が正ポイントガードであるという自負はある。出場時間が少なくなっても、やれることはあると考えているのだ。

「常にコントロールする必要はないと思うし、オールコートでイケイケのオフェンスが機能しているときはそれでいいと思うんです。でもそれがダメになったときに、韓国は大きくないメンバーのときでもハーフコートで時間を使って得点を重ねていき、ウチはハーフコートオフェンスがグチャグチャになって早打ちになって、外れて、相手ボールになる。その繰り返しだとどうしても点差が開いていく一方ですよね。もちろん日本の走るバスケットをベースにするんだけれども、メリハリをつけるというか、しっかりとした形で攻めることも必要じゃないかと思って見ていました」

1次リーグシリア戦からスタメンを任された正中岳城

 チームの「司令塔」とも呼ばれるポイントガードはオフェンスをしっかりと組み立てる役割を担っている。柏木のゲームコントロール力がアジア基準かといえば、そうではない部分もあるが、一日の長というものもある。ポイントゲッターの川村卓也や竹内公輔らの長所を生かせるのは自分だという思いが柏木自身の中にはあるのだ。それだけに、ケガのことがあるとはいえ、3分28秒しかコートに立てなかったことには悔しい思いが残る。

「毎朝、トム(トーマス・ウィスマンヘッドコーチ)から『足の具合はどうだ?』って話かけられていたし、出たいという気持ちは昨日の晩から伝えていました。もちろん起用するかどうかを決めるのはコーチですし、そればかりは自分がどうこうできる問題でもないですけど、今日の韓国戦に関してはしっかりと準備をしていたんです…ホント今日の韓国戦に賭けているところがあって、出たときは攻めようとも思っていたんです。正直、壊れてもいいので攻めようという気持ちはありました。ただやっぱり最後のところで踏ん張りが利かないし、そういうところは自分自身ですごく悔しい。プレイタイムも限られた時間しかなかったので、それで終わったことも悔いが残ります」

 壊れてもいい――オリンピックに出ること、アジアでベスト4に入ることとは、かくも己を追い詰めるほどの覚悟が必要なのだ。その覚悟を柏木は持っていた。ただ、その覚悟をコート上で体現するためには、やはり万全のコンディションが不可欠となる。その部分で柏木は、好むと好まざるにかかわらず、後手を踏んでしまったことになる。
準々決勝の敗戦を受け、日本のロンドンオリンピック行きは完全に消滅した。だが大会は続く。2009年のアジア選手権では屈辱の10位という成績に終わっている。この大会でもこのままズルズルと敗戦を重ねていけば8位という、2つ順位が上がったとはいえ、あまり大差のない結果に終わってしまう。

ベンチから声をかけていた柏木。しかし一試合通しては続かなかった

「せっかく春からこの大会に賭けてやってきた部分もあるし、海外遠征を2回もしてきて、一生懸命やってきたところもあるので、最後までこのチームとしてしっかり戦いたいという気持ちはあります。自分自身はプレイできるかどうかわからないですけど、チームにできることといったら、声をかけて、もう1度盛り上げることくらいだと思うんです。そういう部分でも最後までしっかりと戦いたいと思います」

 韓国戦、ベンチから声をかける柏木の姿を確認することができた。だが敗戦が濃厚になるとその口数も徐々に減っていく。真の正ポイントガードであるならば、ベンチからでもチームをコントロールできるところがあるのではないか。最後の最後まで声をかけ、鼓舞し、前を向かせる。柏木の言葉どおり、順位決定戦のコートに彼が立つかどうかはわからない。だが、日本代表内でもうワンステップ上の存在感を出せるようになるためには、順位決定戦の2試合がチームのみならず、柏木にとっても非常に意味のある、大切な試合になる。