優勝インタビュー<1>
吉田亜沙美 「最高で最強のチームになれた!」

取材・文/舟山 緑  取材・写真/小永吉陽子

2大会連続で「アジア・チャンピオン」となった日本女子代表。ここまでのプレッシャーを吹き飛ばす歓喜の瞬間だった

■FIBAアジア女子選手権大会 優勝インタビュー<1>
吉田亜沙美
(日本代表#12/JX-ENEOS/167㎝/PG/27歳)

「最高で最強のチームになれた!
オリンピックの夢を
みんなに叶えてもらった!」

アジア選手権での吉田亜沙美の司令塔としての仕事ぶりは、MVPにも匹敵するものだった。
2年ぶりに復帰した日本代表で、ヒザのケガを感じさせないプレーでチームを大きく牽引した。
日本の全勝優勝は、予選ラウンドの中国戦で辛勝したことが大きかった。
1点ビハインドで迎えた残り18秒。吉田は内海ヘッドコーチの指示を把握しながらも、
「自らが勝負を決める」堅い決意を固めていた。
右ドライブからワンフェイクを入れて冷静にディフェンスを跳ばせ、
残り3秒の逆転シュートを決めたのは、キャプテンの吉田だった。
全ゲームを通してディフェンスでプレッシャーをかけ続け、絶妙なアシストだけでなく、
苦しい場面では自らが果敢にジャンプショットや3ポイントを決めて突破口をつくり、
得意のリバウンドにも果敢に飛びこんで、チームに勝利を大きくたぐり寄せた。
連続して大会ベスト5にも選ばれ、「アジア№1のポイントガード」の称号にふさわしい存在感を見せつけた。
決勝直後のカコミ会見から、キャプテン吉田の喜びの声をお届けしたい。
 

■準決勝からの見事な切り替え

「“我慢の時間帯”をみんながすごく知り、その“我慢”を
途切れることなく最後まで集中できたからこその優勝でした」

――優勝、おめでとうございます。喜びの声を聞かせてください。

日の丸をまとって笑顔を見せる吉田。大きな重圧から解放され晴れ晴れとした表情だ

チームがスタートしたときに「アジアチャンピオンになろう! オリンピックに出よう!」と掲げた目標を自分たちの手でつかめました。日本のバスケットを40分間やれました。控えの選手たちも伸び伸びと全力でプレーできていたのは、私自身すごくうれしいです。みんなに夢を叶えさせてもらって本当に幸せだと思います。このチームのキャプテンを務めさせてもらい、ポイントガードをやらせてもらい、本当に幸せですし、みんなに本当に感謝しています!

――35点差の圧勝。最高で最強のチームだと証明できましたか。

そうですね。2年前も優勝しましたが、それとは比べものにならないぐらい、何倍もの喜びがあります。長いこと日本代表に携わってきましたが、今年は、本当に最高で最強のチームを作ってこれたと思います。

「勝ちたい」というみんなの気持ちが表れた結果だったし、シューターがやっと生き返って思い切りシュートを打ってくれたし、ドライブもすごく効いていました。最後は「気持ち」だと思っていたので、ベンチにいるメンバーも含めて全員が本当に強い気持ちをもって相手に立ち向かっていけました。今年のテーマに掲げた「勢いと挑戦」をし続けた結果が、こういう大差で勝つことにつながったと思います。

司令塔としてゲームの流れを冷静に読み、ゲームをコントロールした吉田

――「2年前のチームを越えなくてはいけない」と大会前に言っていました。それはできたと?

2年前もそうですが、“我慢の時間帯”をみんながすごく知ったというか……、その“我慢”が今大会、途切れることなく切れずに最後まで集中できました。それが全勝優勝できた要因だと思います。

誰かがダメだったら、誰かが助けてあげていた。日本の強みはスタートの5人だけでなく、すごくいい選手が揃ったことが武器だったと思います。何より、最後にレイさん(三谷藍)がコートに立って3ポイントを入れたときは鳥肌が立ちました。一緒にがんばってきて本当によかったなって思いました。

――準決勝のチャイニーズ・タイペイ戦の重い展開から気持ちを切り替えることができた要因は?

昨日(準決勝)まではみんなずっとフラストレーションがたまり、自分のプレーができなかったけれど、その中で勝ちきれる強さが日本にはありました。その準決勝は、髙田(真希)や王(新朝喜)、篠崎(澪)らが流れを変えてくれた。どの選手が出ても(戦力が)変わらない。その部分では2年前よりも、控えの選手がゲームにガンガン出られるのが、今年のチームの強さでもあったと思います。そして、重い展開の準決勝の後、それまでのフラストレーションを全部捨てることができたのが大きかったです。

■日本の大きな武器となったディフェンス力

「日本のディフェンスに対して中国を“嫌にならせる”ことができたのが、
今日の勝因になりました」

――決勝でこれだけ走ることができたのは、ディフェンスをアグレッシブにやれたから?

今朝の練習で中国の動きを確認し、相手の抑え方やスイッチの仕方などのアジャストがしっかりでき、それをゲームで徹底できたのが1つよかった点です。日本の脚の速さ、トランジションに中国はついてこられないと思っていたので、自分が積極的にプッシュしてボールを運び、みんなを走らせようというのを強く意識しました。

何よりウイングの選手(本川紗奈生と山本千夏)がよく走ってレイアップに持ち込んでくれました。本当だったら笛が鳴ってバスカン(カウント・ワンスロー)になるプレーだったと思いますが、ファウルをされても強いプレーをして2点を決めてくれた。それが流れを変えるプレーになりました。

40分間、走り切れたことが(35点の)大差につながったし、自分たちが嫌にならずに我慢してプレーし続けることができた。日本のディフェンスに対して中国を“嫌にならせる”ことができたのが、今日の勝因になりました。

脚がまだ十分ではない中、吉田は緩急をつけたディフェンスでマークマンを苦しめた。予選ラウンドの韓国戦から

――強化してきたディフェンスからのブレークが、気持ちいいぐらいに決まりました。その手応えは?

手応えはすごくあります。中国や韓国にディフェンスで勝ち切れたのはすごく自信になったし、プレッシャーをかけて抜かれても、ローテーションして守る。そういうディフェンスができました。

ずっとバスケットをやってきて、今日は今までにないぐらい楽しくバスケットができました。ディフェンスももちろん、パスの部分でもみんなが走ってくれるから、どこにパスを出してもシュートを決めてくれる。本当にやってて楽しかったです。

みんなには試合前に「楽しんでやろう!」と言いました。それがこんな大きな舞台で全員が楽しめた。バスケットを楽しんでやれたことがうれしいし、みんなもそうだと思うけど、大好きなバスケットができて、こうして夢にチャレンジでき、その夢を自分たちの手でつかみとることができた。本当に自信につながる大きな結果だったと思います。
 
 
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