2015 ユニバーシアード&日本学生選抜
ユニバーシアード総括 池内泰明HCインタビュー

文・写真/小永吉陽子

ユニバーシアードではプレスディフェンスで相手のミスを誘発させた。ディフェンスを頑張ることは日本の生命線

プレッシャーディフェンスと
シュートの大胆さにトライした2年間

2017年8月に台湾にて開催されるユニバーシアードに向け、陸川章ヘッドコーチ(東海大)のもとで強化が始まった。大学界は将来への育成と2年に一度開催されるユニバーシアードを目指した強化が行われているが、新体制の始動にあたり、2014~2015年の2年間、大学界を率いた池内泰明ヘッドコーチ(拓殖大)に話を聞き、今後に継承していきたいことを検証した。

◆ユニバーシアード2015結果(JBA特設サイト)
◆李相佰盃2015結果(全日本学生連盟公式サイト)
※メンバー表、ボックススコア、ハイライト映像あり
 
 

機動力ある選手を選考。目指したのは
フルコートのプレスから早めに攻撃を仕掛け、思い切りのいいシュートを打つこと

豊富な運動量とシュート力があるキャプテン藤井。池内バスケを率先して体現した選手

 池内ヘッドコーチのチーム作りのコンセプトは “大胆さ” にあった。ユニバーシアード代表の平均身長は188.4㎝。センターは永吉佑也(青山学院大→東芝、199㎝)しかいないことを考えれば、機動力を生かした展開は必然とも言えたが、その機動力を徹底させるカギは大胆さにあるというのだ。

「今までのバスケで勝てないのなら、やってなかったことを試そうということでスタートしました。機動力ある選手を選考したので、少々乱打戦になっても、思い切りのいいシュートを打つバスケにトライしたい。日本に必要なのはそういう大胆さではないでしょうか」(池内ヘッドコーチ)

 日本はA代表を含めて、ディフェンスでプレッシャーをかけることに関しては浸透してきているものの、オフェンスで打開することを不得手としている。パスを回してはノーマークになるまで打つことができず、最後にはタフショットを打たされてしまうのはお決まりの負けパターンだ。池内ヘッドコーチは、そんな消極的な展開を打破することをモットーにチーム作りを進めた。

「ちょっと速いかなというタイミングでも、積極的に打つことを心掛けた」とユニバーシアード代表のキャプテン、藤井祐眞(拓殖大→東芝)は語っていたが、踏ん切りのいいシュートを打つには、フルコートでプレッシャーをかけ、相手のミスを誘発するディフェンスが必要。運動量あるフルコートディフェンスとシュートの思い切り良さが二大テーマとなった。

 2015年の夏に韓国・光州市で開催されたユニバーシアードは順位こそ21位とふるわなかったが、強豪国相手に奮闘できたといっていいだろう。予選ラウンド初戦のフィンランドには1点差で接戦を落としたが、続くチャイニーズ・タイペイ戦に78-61で勝利すると、以降は勝ち星には結びつかないながらも、手応えのある試合展開ができた。

 3戦目のオーストラリア戦では大型の選手に対してドライブを試みるようになり、4戦目のリトアニア戦では走力面では対抗できた。予選ラウンド最終戦、5戦目のフランス戦はドライブからキックアウトして3ポイントという連携も何本か飛び出すようになり、試合をこなすごとにコンビネーションプレーが出てくるようになった。相手にペイントエリアで得点されているにも関わらず競り合う時間帯が長かったのは、フルコートのプレスディフェンスが効き、早い段階でシュートを仕掛けたことで手応えを得たものだ。

 しかし、試合の終盤には決まってコンタクトプレーの消耗からくる疲労で脚が止まってしまった。下位リーグに回り、勝負をかけた17-24位決定戦のチリ戦に3点差で敗れたのも、戦う気持ちとコンディションを準備できなかったことが敗因。長い大会を通して戦うスタミナとメンタルを作ることは今後の課題だ。池内ヘッドコーチは「強豪チームに手応えをつかむ時間帯はあったので、それをどう継続させていくかという次の段階には入ったと思う」と総括をしている。
 

韓国学生選抜に1勝2敗。ユニバから進歩が見えたシュートとディフェンス

国際大会でも持ち前のスラッシャーぶりを発揮した馬場。高さが立ちはだかった時、状況判断を心掛けたい

 ユニバでトライしたことをさらに強調して臨んだのが、昨年12月11日~13日に開催された李相佰盃だった。

 李相佰とは毎年5月に開催される日本と韓国の大学生の代表戦。今年度はFIBAによる資格停止処分(国際大会の出場禁止)を受けたことにより、例年5月に行われる日程から7ヶ月遅れての開催となった。変則的な日程ということもあって、両国ともに抱える事情が異なる中で行われた。

 日本は11月末にインカレが終了し、年明けのオールジャパン(全日本総合選手権)を前にした中での開催。韓国は10月に大学リーグのチャンピオン戦が終了。10月末からは4年生の有望選手がプロリーグ(KBL)へと入団するため、3年生以下の新チームで臨んでいた。本格的なシーズンインは年明けであることから、「まだあまり体を動かしていない」(#14 イ・ジョンヒョン主将)という状態だったが、現在の韓国は“黄金世代”と呼ばれる2メートル級の選手たちが中心のチーム。悪条件ながらも韓国が2勝をマークして優勝という形で大会を終えた。

 3戦を振り返れば、韓国の試合巧者ぶりにやられたといえる。1戦目は勝負所となる3Qに突き離され69-81。3戦目には出足から主導権を握られて57-80の大差で敗れた。そんな中で、唯一勝利した2戦目は日本の思い切りのいい外角シュートが当たり、目指していた形ができた試合だった。
 

ディフェンスローテーションの共通理解は合格点
そこからどうオフェンスにつなげるかが課題

 昨年度、池内体制1年目に行われた李相佰(韓国開催)ではプレッシャーディフェンスを仕掛けて3戦中、2戦は食らいつくことができたが、勝利をもぎ取るまでには至らなかった。今年度に進歩していたのはディフェンスのプレッシャーをかけたあとに、ローテーションの共通理解ができたことだ。特に勝利した2戦目は、安藤周人(青山学院大3年)の6本の3P、馬場雄大(筑波大2年)の豪快な速攻、杉浦佑成(筑波大2年)のアウトサイドシュートなど、目指していた“シュートの大胆さ”で勝利することができた。

 しかし、3戦目は韓国が修正をしてきた。速いパス回しからの展開をベースに、ドライブからキックアウト、速攻、インサイドのセットプレーなど多彩なオフェンスを組み立ててきたことで、日本は振り回されてディフェンスの綻びが出てしまったのだ。オフェンスではタフショットを打たされては、リバウンドを速い展開に持って行かれる悪循環となり、ここでもまた本来の課題がくっきりと浮かび上がってしまった。

 早めにオフェンスを仕掛け、シュートの踏ん切りをよくすることで待望の1勝をもぎ取ったのは進歩だ。だが、対応されたあとのさらなる対応力が日本は劣っていた。「シュートが当たれば勝つ」ではなく、「シュートが入らないときにどう打開するか」。この課題は国際大会だけでなく、国内で試合をする時からのテーマとして取り組んでいくことが必要となる。
 
 
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