ユニバ&李相佰を振り返って
大学生エースたちの自覚

文・写真/細田季里

アグレッシブなディフェンスとスピードあるオフェンスを展開。攻防の軸になったベンドラメ礼生

大学生エースたちの自覚

――ユニバーシアードと李相佰盃を振り返って――
 

2015年12月11日~13日に「第38回李相佰盃日韓学生バスケットボール競技大会(東京)」(以下、李相佰)」が開催された。そのスタートメンバーに名を連ねたベンドラメ礼生(東海大4年)と馬場雄大(筑波大2年)。彼らは「第67回全日本大学バスケットボール選手権大会(2015年12月)」(以下、インカレ)では、チームを準優勝、優勝に導き、敢闘賞、最優秀選手賞をそれぞれが受賞するなど学生バスケを牽引した1年間だった。また、昨年7月の「第28回ユニバーシアード競技大会(韓国・光州)」(以下、ユニバ)でもスタートメンバーとして出場し、学生代表としてこの1年間を駆け抜けた。彼ら2名が大会を通して感じた様々な想いや、今後への意気込みを聞いた。

ページ【1】 ベンドラメ 礼生(東海大)
ページ【2】 馬場 雄大(筑波大)

ベンドラメ礼生
(VENDRAME Leo/日本#14/183㎝/G/東海大 4年)

必要だと感じた“日本代表としての自覚”
「今、代表がアジアで頑張っています。
下の世代の僕たちがもっと力をつけていかないといけない」

2週間前にインカレを終えたばかりで挑んだ李相伯。「学生最後のインカレが終わって力が抜けたというか、バスケットに対する熱が前よりも無くなっているのは感じていました。それは、自分で切り替えないといけないことでしたが、なかなか…4年間やってきて、最後は(準優勝という)悔しい結果になったので」と、優勝のみを目指してやってきただけに気持ちの切り替えはやはり難しかった。それでも、ベンドラメがこのチームを牽引したことには間違いない


 
 2015年度の学生代表は、FIBAの制裁により、出場できるか不透明だった中で行われたユニバ選考合宿(2015年2月)から始まった。

「2年前のユニバ選考合宿は最終まで残ったけど、最後の2、3人で落ちました。そういうことがあって悔しかったから、自分にとって今回の合宿は一昨年の分も頑張って残りたい、という少し違う気持ちがあるのかなと思います」(ユニバ候補一次合宿・初日後)

 2年生の頃から学生代表へ選出されていただけに、当確の第一候補。すでに大会を見越した発言が聞かれると思ったが、2年前の悔しい想いを忘れてはいなかった。

 その後、最終メンバー入りを果たすのだが、それだけに留まらなかった。大会直前に強化試合として参加した「アジアパシフィック大学バスケチャレンジ(ユニバ開催地・韓国)」の途中からスターティングメンバーとなり、その後のユニバでも予選、順位決定戦すべてでスタート出場。多くのプレータイムを記録する中で、予選リーグ5試合では61得点、オフェンスリバウンド11本、15アシスト、13スティールでチームトップ。アグレッシブなディフェンスから奪ったボールを攻撃につなげ、さらにはリバウンドにも積極的に参加したからこその数字を残し、チームになくてはならない存在となっていった。

 そして、学生最後の李相佰では、主将を務めあげたベンドラメ。この1年間の代表活動を振り返る。

「僕自身、学生代表で試合に絡めるようになったのは今年が初めてでした。去年から少しずつ試合には出してもらいましたが、今年は一番プレータイムが長かったし、チームの主力として試合に出ることが多くて。その中で、“代表としての自覚”というのが出てきました」

 彼が言った“代表としての自覚”とは何だろうか。そして、言葉を続けた。

「代表経験がないメンバーが入ってきた時、経験してきたメンバーとの間に意識のギャップが出てきてしまうとずっと感じています。そこを僕や晃佑(橋本)、馬場のような経験のあるメンバーが引っ張らないといけない。ユニバも、予選が終わった後の”あの試合”は勝たないといけない試合でした。あそこで気持ちが入る言葉を出せるように…」

 ユニバでの“あの試合”とは、予選ラウンドを5位で終えたあとに迎えた17-24位決定戦・チリ戦のことだ。本来のプレーをしていれば勝利確実のはずが、どこか気持ちが入り切らず。いずれは逆転出来るだろう、とずるずるとした内容を続けてしまい、3点差で敗戦。予選リーグでオーストラリア、リトアニア、フランスなどの強豪国相手に善戦したことで手応えを得ていた後だけに、たった1試合で後悔が残る大会となってしまった。

「自分たちが予選であれだけいい試合をしたのに、下位リーグは弱いというイメージを勝手にして。何とかなると思って、第4ピリオドまで行って、結局相手の勢いを止められず、自分たちはいいプレーが出来ずに終わりました。人任せにしたプレーも多かったし、もっとスマートに簡単に攻めればいいのに、わざと狭い所に行ってブロックされて。最低というか全然ダメでした。

「僕自身、これから日本代表にも絡んでいきたいし、そうなると下っ端から始まると思いますが、そこでも積極的に物が言えるようになりたいです」と、これからに向けての言葉も自然と聞かれたベンドラメ。学生バスケを引退し、新たなるステージへの挑戦が始まる

 ディフェンスをするにしても、前から当たったのに簡単にパスをつながれるし、リバウンドもちょっと離れたら追わないし、ルーズボールも取らない。あんな試合では勝てるわけがなかったです。(順位決定戦は)トーナメントですし、1つ負ければ順位が2つ下がる。負けたらいけないし、下位リーグでは1位を取らないといけなかった。予選であれだけいいチームになったのに、日本代表として恥ずかしいプレーだったと思います」(ユニバ・チリ戦後のコメント)

 ユニバを主力として戦ったからこそ、感じたのが“日本代表”としての想い。そして、李相伯で感じたのは、シーズンオフ期間により万全ではないコンディションだとしても、3戦目は絶対に負けない、という同世代が見せた“韓国代表”としての意地やプライド。

「韓国を見ていてもそうですが、代表となるとやはり気持ちの入りが違う、強いです。試合前のアップ一つにしろ、もう少し代表らしさというのが必要だし、自分のチームでやっているような意識、むしろそれ以上の意識の高さ、“代表としての自覚”というものをアンダーカテゴリーの頃からつけていかないといけないと思いました」

 もちろん選出されたからこそは、誰もが持っていてほしい “代表としての自覚”だが、チーム全員がその想いを胸に大会に臨むことは、毎年選手が入れ替わる学生バスケでは中々難しく、実感することも出来ないままに終わってしまうこともあるのが、現状だ。その中でも、一つ一つをチャンスや経験をつかみ取ってきたベンドラメだからこそ、感じることができたその想いを、新しいステージでも忘れずに、成長の糧としてくれることを期待したい。そして、いつの日かまた日の丸を背負い、チリ戦で感じたふがいない想いを大舞台で取り返してくれることを願いたい。

「誰かが代表に初めて招集された時に、いきなり高い意識を持ってやってくのは大変だと思いますが、入ってきた時にチームの雰囲気次第でその人はこれぐらいでいいのか、と思ってしまう。僕が2年生から代表活動をやってきた中で、練習の質が体制によって良くなったり、緩くなったりすることがあって、その時は言えなかった。それは、反省すべきところだと思っています。

 今、日本代表がアジアで頑張っています。下の世代の僕たちがもっと力をつけていかないといけない、もっと若手が出て行かないといけないと思っています」
 
 
◆次ページでは馬場雄大選手のコラムを紹介。
 
 

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