竹内公輔インタビュー
個人の出来に満足はしていないが、僕は勝利のためにプレイする

インタビュー・文/小永吉陽子  写真/三上 太

「ファイナルは別物」とチームメイトたちに、自身の経験を伝えてきたという竹内公輔。これまでにアイシンで3度のファイナル経験がある竹内は移籍1年目とはいえ、ファイナル経験者の少ないトヨタの中では、リーダーになるべく存在だ。しかし、今季のパフォーマンスには物足りなさもある。そうした中でつかんだ優勝は、はたしてどんな思いがあるのだろうか。

※インタビューは共同囲み取材から、インタビュアーが質問したもので構成しています。
 

竹内公輔――移籍1年目は難しくふがいなかったが、個人スタッツよりチームの優勝を狙う

レギュラーシーズンのスタッツは36試合出場、平均23:16分出場、平均10.6得点、6.8リバウンド。負傷により、約1ヶ月戦列を離れた時期もあった

■ファイナル第3戦後のインタビュー

――2勝して今のチーム状況をどう見ていますか。

どの試合も波があったんですけど、一戦目であんな負け方をしてから、2、3戦目でちゃんと修正はできたのかなと思う。それでも20点くらい開いたのに気が抜けてしまう部分があったんですけれど、うちのスタイルはディフェンスとリバウンドなので、そこさえ40分間続けていればどのチームにも勝つと思います。ファイナルも多くてあと2試合しかないので、チームでは全部出し切るつもりでやっています。

――トヨタはファイナル進出が4年ぶり。去年はプレイオフが開催されませんでしたが、竹内選手はそれまでは毎年ファイナルに出ていました。これまでのファイナルの経験談をチームメイトに話したりするんですか?

まあ、ファイナルは別物だということは言ってるんですけど、こればっかりは僕が口で言っても経験しないと……。僕も一昨年は栃木に3連敗したり、ルーキーの時はトヨタに逆王手をかけられたり、いろんな経験をしているので、色々と言ってはいるんですけれど。言ってもなかなか経験しないとわからないと思います。

――そういった「経験しないとわからない」ことが、一戦目の逆転負けに出たということですか。

そうですね。やっぱり、若いチームなので、一戦目は19点離れてから気が抜けましたよね。こういうところで、もっともっと自分が声とか出せば良かったんですけど。とりあえず、明日の朝練で言うことは「王手をかけているとはいえ、焦らないでいこう。これで本当に明日(第4戦)負けたら、こっちがプレッシャーかかると思う。明日で決めるという気持ちも大事だけど、こっちが1勝リードしているけど優位に立っているとは思うな」とチームメイトに伝えたいです。

――トヨタに移籍してから、自分の役割をどのように考えていますか?

コーチ(ドナルド・ベック)にはリバウンドとブロックで安定した働きを求められているんですけれど、まあ、コーチはアメリカ人なのでズバッと「満足していない」と言われます。得点も少ない、リバウンドもそこそこ…みたいなことは言われます。僕自身も満足していないですし、移籍して1年目は本当に難しいと思いましたね。

――自分自身に満足していない原因は、移籍して噛み合わないところがあるのか、トヨタのシステムにマッチしていないのか、それとも技術力の問題なのか…

クセが抜けないからです。僕は35分から37分出て数字を残すというか、35分以上出て力を出し切るタイプなのに、20分くらいで力を出し切る力がついてないんです。ナショナルチームでも、大学、高校の時からそうやってきましたし。トヨタのチームスタイル上、ツープラトンなので難しかったですね。

――本当は自分が試合に出て、もっとやってやろうという気持ちを持っているのですか。

それはもちろんあります。そういう気持ちはあるんですけど、うちは誰が出ても、ベンチで本当に安心してゲームを見ていられるチームなので。でも、勝負所では自分がコートに立つぞという気持ちでいます。今のところ4Qは立たせてもらってるんですけど。

――多くて残り2試合。どのように戦いますか?

優勝しかない。個人賞とか求めてないし、誰かが得点王を取ってもチームが勝てなかったら意味がないし、コーチからしたら僕にはリバウンド王を取ってほしいと思うし、僕の個人スタッツが伸びれば優勝に近づくと思うけど、個人スタッツよりもまずは優勝。今シーズンはふがいない成績で悔しいことは悔しいですけど、必ず優勝したいです。
 

優勝チームの共通点は「家族」のような信頼関係。自分はチームが勝つためにプレイしている

■ファイナル第4戦、優勝決定後インタビュー

優勝するチームには家族のような信頼関係があると竹内は言う。「自分はどこにいってもそういうチームを作れる自信がある」

――今回の優勝とアイシンの優勝では、どんな違いや共通点がありますか。両チームで優勝経験をふまえて、聞かせてください。

いや、あまり変わらないですよ。一緒です。優勝することは素晴らしいことです。アイシンの時も家族みたいな信頼関係があるチームでした。そこは一緒です。優勝するためにはチームが家族みたいにならなければダメだと思いますし、アイシンで優勝したのは3年前でしたけど、その時は佐古(賢一)さんだったり、小宮(邦夫)さんだったり、高辻(周孝)さんというベテラン選手が引っ張ってくれて。僕自身は若造だったんですけれど、ベテラン選手が頑張っていたので、俺ら若いのも頑張らなきゃいけないという思いがありました。

――「各自がやるべき役割を果たす」という面でも共通点がありますね。

チームスタイルは違うんですけど、たとえばトヨタだったらみんなでやる感じですけど、アイシンだったら役割が決まっていたというか、点を取る人、リバウンド取る人、つなぐ人とか、だいたい決まっていたので。チームスタイルは違うんですけれど、軸になるような結束力がないと勝てないっていう意味では、トヨタもアイシンも同じだと本当に思います。

――昨日の話の続きなんですが、「今日負けたら逆にプレッシャーがかかる。こっちが優位に立っていると思うな」という話を今朝の練習で伝えると言ってましたが、それは伝えたのですか?

みんなわかっていました。僕が言わないまでも「今日決めよう」って言ってました。僕が言う間もなかったです(笑)

――ファイナルを総括すると、自分の出来はどうだったのですか?

僕自身は納得してないですけど、優勝できたことが一番うれしいです。毎年、僕が優勝できるチームにいて本当に運がいいというか、僕自身は何もしていないので、チームメイトに助けてもらって優勝させてもらいました。中には僕がトヨタに移籍して個人スタッツが下がったことに疑問視する人もいますが、チームが勝つためにプレイしているので、この優勝を勝ち取れたことをうれしく思います。

――今季移籍をしたのは「新しいチャレンジ」とのことでした。そういう考えでいうと、チームメイトに助けてもらって優勝…というよりは、今度は自身が活躍して優勝させるような選手になってほしいのですが、そういう思いはないですか。

僕自身も今シーズンには納得してないです。

――これだけ優勝をしていると、次の目標はどこにあるのでしょうか。個人の技量を上げることなのか、連覇に挑むことなのか…

それはありますね。僕自身も考えているところです。

――もっと詳しく思いを聞かせてもらえますか。

来シーズンについては、いろいろと考えていることがあります。上を目指していることは確かです。できるなら上でやりたいなと。
 
 
「上というのはどこを指すのか? トヨタで中心選手になることか? 海外挑戦をすることなのか?」と聞いた時に、「今はまだ言えないけれど、いろいろ考えていることがある、とだけさせてください。今日のフィル(フィリップ・リッチー)のような活躍ができる選手にならなきゃいけないし、チームを引っ張る年齢なので、そういったところもまだまだできていない」と自身の課題を上げて、竹内は囲みでのインタビューを終えた。優勝した直後ではあるが、竹内公輔には今のプレイスタイルで満足してほしくなかったので、今後どうやってチームの軸になるべきなのか、はたまた別に目標があるのかという質問を、優勝したこの瞬間にぶつけさせてもらった。「上を目指している」と言った決意を来シーズンは見せてほしい。